前の記事 目次 研究所 次の記事 (since 2000.05.01)
情報:農業と環境 No.93 (2008.1)
独立行政法人農業環境技術研究所

農林水産技術会議事務局が 「2007年農林水産研究成果10大トピックス」 を発表

農林水産技術会議事務局は2007年12月19日に、2007年農林水産研究成果10大トピックス を発表しました。これは、農業技術クラブ (農業関係専門紙・誌など30社加盟) の協力により、この1年間に報道された農林水産研究の成果から、研究開発の内容に優れ、社会的関心の高いと考えられる成果を選定したものです。

選定された研究成果は次のとおりです。

2007年農林水産研究成果10大トピックス

1 イネでいもち病など複数の病害に強い防御機能を発揮する遺伝子を、世界で初めて発見

2 世界で初めて日本酒、ワインから原料品種を判別できる技術を開発

3 環境への負荷がより少ない低濃度エタノールを用いた低コストの新規土壌消毒法の開発

4 自在に花を咲かせる夢のホルモン(フロリゲン)を世界に先駆け発見! 〜イネの遺伝子研究により70年の謎を解明〜

5 「ニジマスしか生まない代理ヤマメ両親の作出に成功」−マグロをサバに生ませることが可能に?−

6 開花せず花粉を飛散しにくいイネの突然変異体と原因遺伝子を発見

7 イネの遺伝子数は約32,000と推定、うち、29,550の遺伝子の位置を決定し、情報を公開

8 オーストラリア産に匹敵する高品質で、しかも多収。日本めん用小麦新品種「きたほなみ」

9 シロアリが卵を認識する化学物質、卵認識フェロモンの正体を明らかに

10 特定の除草剤に耐性をもつイネを、必要な遺伝子だけをピンポイントで組み換えて作ることに世界で初めて成功

農業環境技術研究所が2007年11月に発表した研究成果 「環境への負荷がより小さい低濃度エタノールを用いた低コストの新規土壌消毒法の開発」 が、10大トピックスの中の第3位となりました。この成果は、独立行政法人農業環境技術研究所、千葉県農業総合研究センター暖地園芸研究所、日本アルコール産業株式会社が共同で開発した、新たな土壌消毒技術です。

わが国では、連作に伴って発生する農耕地の土壌病害虫を防除するため、臭化メチルによる土壌くん蒸消毒が広く行われてきましたが、臭化メチルはオゾン層破壊物質であるため、2005年から不可欠用途を除いて使用が禁止されました。そのため、臭化メチルに替わる新たな土壌消毒技術が強く求められています。

この技術は、原料アルコール、または、原料アルコールを精製する際に生じる副生アルコール(エタノール)を水で2%以下に薄め、湛水状態になるまで畑土壌に処理した後、農業用ポリエチレンフィルムで土壌表面を1週間以上覆うという、低コストで簡便な技術であり、臭化メチルを代替する土壌消毒技術として実用化が期待されています。

前の記事 ページの先頭へ 次の記事