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情報:農業と環境 No.116 (2009年12月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

村上(秋山)博子 物質循環研究領域主任研究員: 平成21年度若手農林水産研究者表彰を受賞

11月17日、農林水産省農林水産技術会議は平成21年度の若手農林水産研究者表彰の受賞者を発表しました。受賞者は次の3名の方でした。

独立行政法人水産総合研究センター遠洋水産研究所 岡村 寛 氏

(業績名)水産生物資源データの統計モデル解析手法の開発と応用に関する研究

国立大学法人宇都宮大学農学部 高橋美智子 氏

(業績名)高等植物におけるニコチアナミンの機能解析と有用作物の作出

独立行政法人農業環境技術研究所 村上(秋山)博子 氏

(業績名)農耕地における温室効果ガス発生推定および削減に関する研究

この表彰は、農林水産業および関連産業に関する研究開発について、その一層の発展及びそれに従事する若手研究者の一層の意欲向上に資するため、優れた功績をあげた若手研究者、または将来の技術革新等につながる優れた研究業績をあげた若手研究者を農林水産技術会議会長が表彰するものです。対象者は、農林水産業と関連産業の研究開発の業務に従事する40歳未満の個人(独立行政法人、大学、都道府県、民間等の研究者)です。

平成17年度から毎年行われており今回はその5回目です。農業環境技術研究所の研究者の受賞は、第1回に 牧野知之主任研究官が「土壌洗浄法によるカドミウム汚染水田の修復技術に関する研究」で受賞 して以来、4年ぶりです。

表彰式と受賞講演が、11月26日に「アグリビジネス創出フェア」(幕張メッセ)の会場内で行われました。

当研究所の村上(秋山)博子主任研究員の受賞概要は次の通りです。

農耕地における温室効果ガス発生推定および削減に関する研究

村上(秋山)博子
農業環境技術研究所 物質循環研究領域 主任研究員

業績の概要

亜酸化窒素(NO)は、京都議定書で削減対象の温室効果ガスであり、農耕地土壌は、その主要な発生源であるため、正確な発生量推定と発生削減技術の開発・評価は、重要な課題となっている。

本研究では農耕地から発生するNOの発生量推定と発生削減技術の開発評価に取り組み、その結果として、以下のような成果をあげた。

● 世界の水田からのNO発生量について、網羅的なデータベースの構築と統計解析により排出係数を算定し、その結果はIPCC(気候変動に関する政府間パネル)ガイドラインの2006年の改訂において、新しい排出係数のデフォルト値として採用されたことにより、世界各国の温室効果ガスインベントリの算定に活用

● 日本の農耕地におけるNO発生量についても排出係数を算定しその結果は日本国温室効果ガス排出・吸収インベントリ報告書に採用され、排出量算定の精度向上に貢献

● 排出量算定のさらなる精緻化と削減技術の開発のため、自動連続測定装置および可搬型モニタリング装置を開発

● 発生削減技術の評価に関しては、これまで各圃場における評価ならびに定性的な評価しかなされていなかったが、被覆肥料および硝化抑制剤入り肥料のNOの平均的な削減効果について、世界の文献値の統計解析を行うことにより定量的に評価

主要な特許・論文

○「Direct N2O emissions from rice paddy fields: summary of available data」 Global Biogeochemical Cycles, vol.19, GB1005 (2005)

○「Estimations of emission factors for fertilizer-induced direct N2O emissions from agricultural soils in Japan: summary of available data」Soil Science and Plant Nutrition, 52, 774-787 (2006)

○ 特願2008-011540号 「ガス採取装置」(2008)

受賞講演(11月25日 幕張メッセ) (写真)

写真 受賞講演のようす
(11月25日 アグリビジネス創出フェア会場内)

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