財団法人農民教育協会 鯉淵学園農業栄養専門学校 と独立行政法人農業環境技術研究所の公開シンポジウム 「自然と農業に学ぶ −環境保全型農業−」 が、5月17日(木曜日)、鯉淵学園農業栄養専門学校で開催されました。
鯉淵学園と農業環境技術研究所は、平成15年度に教育研究協力に関する協定を締結し、鯉淵学園が実施する 「環境教育」 および 「環境保全・循環型農業の実証研究」 に対して農業環境技術研究所が支援・協力を行うことにより、教育研究の充実と研究活動の一層の進展を図ってきました。
具体的な研究活動としては、鯉淵学園内に造成された人工湿地とビオトープにおいて、マコモなどの水生植物を利用した水質浄化機能および植物・昆虫等の生物多様性の変化に関する調査研究を7年間にわたって実施しました。
今回のシンポジウムでは、鯉渕学園が取り組む 「環境保全型農業」、そして人工湿地とビオトープでの調査研究を通じて得られた実証的データと成果を紹介し、一般参加者や学生のみなさんとともに農業と環境、生物多様性の成り立ちについて考えることを目的としました。
プログラム
開会あいさつ
近藤博彦 (鯉淵学園農業栄養専門学校 学園長)
宮下C貴 (農業環境技術研究所 理事長)
基調講演
環境保全型農業と人びとの健康 −環境を通した農と医の連携を目ざして−
陽 捷行 (北里大学 副学長)
鯉淵学園の環境保全型農業への取り組み
長谷川量平 (鯉淵学園農業栄養専門学校 教務部長)
共同研究の成果
1)人工湿地の管理と教育への活用 大熊哲仁(鯉淵学園農業栄養専門学校)
2)ビオトープ内人工湿地における水質浄化機能 阿部 薫(農業環境技術研究所)
3)ビオトープにおける植物相の変化と生物多様性 楠本良延(農業環境技術研究所)
4)ビオトープとその周辺の湿生土壌線虫 荒城雅昭(農業環境技術研究所)
5)ビオトープにおける水生昆虫相の変化 田中幸一(農業環境技術研究所)
ポスター発表: 生物多様性、生プラ分解、放射能等(8件)
閉会あいさつ
小林秀行 (鯉淵学園農業栄養専門学校 教務部次長)
結果の概要:
基調講演では、健康な生活を維持するためには、環境、農業、医療などを個別に研究するのではなく、総合的に考えることが重要であると北里大学副学長の陽捷行氏からお話をいただきました。
その後、共同研究の成果では、マコモによる水質浄化の効果やビオトープにおける生物相の変化について報告があり、植物遷移の進行によるビオトープの変化に対応した管理方針の明確化が必要であることが指摘されました。また参加者からは、植物・昆虫以外の生物群に対するビオトープの効果や、市民や学生に対する環境教育としてのビオトープの活用に関する質問をいただき、「農業と環境」と「生物多様性の成り立ち」について考える貴重な機会となりました。参加者は学生、一般市民を含めて合計112名でした。
基調講演
ポスター発表