第7回公開セミナー
日時:平成19年8月4日(土) 10:15〜17:00
場所:北海道大学理学部 7号館 310講義室
講演タイトル | 北海道における牧草栽培とその雑草化 |
講演者 | 山田敏彦(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター 生物資源創成領域) |
北海道は湿原や高山草原など、貴重な植生がたくさんあるわけですが、牧草が雑草化したときに、そういう自然性の高い植生の中まで入り込んでいくものでしょうか。
場所によるのではないかと思います。どの程度の環境か、牧草もあまり寒い所では生育できないものがありますので、その地域の環境が問題となって、牧草で適応できるような範囲であれば、入っていく可能性はあると思います。
平場の割と乾いた原生花園のような所には、ほとんど入っていかないのですか。
はい。その場所、場所に応じて入っていきます。
あまり湿気が多い所も入らなくて、リードカナリーやグラスなどは結構入っています。オーチャードグラスなどは、完全な湿地では生育できないでしょう。
イタリアンライグラスを用いたリードカナリーグラスの駆除というか、入れ替えを言われたのですが、もうちょっと具体的な方法を教えて下さい。また、それはどこが開発されているのでしょうか。
シバムギやリードカナリーグラスは、草地によくはびこっていて、チモシー草地に更新することがよく求められているのですが、そういうものがある草地を、ただ耕して、その後にチモシーだけの種をまいても、必ずシバムギやリードカナリーグラスの根っこが残っています。そうすると、必ず栄養繁殖するそういうものの生育が早いので、チモシーの種子をまいても、チモシー草地ができずに、またシバムギ草地になって草地更新ができないのです。そこで、そういう草地増進をする前に、イタリアンライグラスを播種すると、初期生育が非常に旺盛で、リードカナリーやシバムギを駆逐することが最近分かってきました。ですから、チモシーの草地を増進する前に、一度イタリアンライグラスをまいて、草地をきれいにしてからチモシーをまくという栽培体系が今、研究されはじめたところです。
雄性不稔系統というのは、実際に野外で育てたときの生育状況は、元のオリジナルの系統と何か違いがあったりはしないのでしょうか。
一応、北海道農業研究センターで開発した雄性不稔系統は、普通の品種とあまり能力に差がないものを選抜してきており、オーチャードグラスとしてはあまり変わらないものです。