第7回公開セミナー
日時:平成19年8月4日(土) 10:15〜17:00
場所:北海道大学理学部 7号館 310講義室
講演タイトル | 外来植物が好きな土 在来植物が好きな土 |
講演者 | 平舘俊太郎(農業環境技術研究所) |
緑化などを考えるときに、栄養分も考えるのですが、それ以外に例えば成分条件や土質みたいなこともかなり効いてくるのではないかという感じで考えているところもあるのです。その辺に関して何かご研究されているものがあるかということと、今回はリン酸という形だったのですが、硝酸について何か情報はないでしょうか。
今回紹介した北関東の事例は、全部火山灰土壌で、沖積土壌はほとんど入っておりません。それと、土壌の分類でいきますと、アロフェン火山灰土という、割と範囲が狭いものなのです。それはもしかしたら、土壌の性質を違う分類でもう少し分けていくと、少し違った傾向が出るかもしれないので、もっと調べていかなければいけないと思っています。
調べるパラメーターとして、リン酸以外のものにはどんなものがありますかということだったと思いますが、硝酸イオンは割と季節によって変化しやすいパラメーターなのです。雨が降るとどんどん流れていくし、肥料をあげるとぽっと高くなってしまうので、調査地点で一気に全部調査できないので、少しずつ調査しています。従って、植生と土壌の関係ではなかなかいいデータが得られなかったこともあって、リン酸を選びました。リン酸の場合は、肥料をあげると有効体リン酸はぐっと上がっていって、肥料をあげていないとどんどん下がっていくという性質がありますので、今回はこのパラメーターを紹介しました。これは非常に植生と密接な関係があるので、特に火山灰土壌には使えるのではないかと思います。一般的には、土壌の分類は結構難しくて、普通の人が自分でこの土壌は何とか土壌だという分類はなかなかできないのが現状だと思うのです。それに対して、土壌の化学的なことを調べるのは割と簡単です。pHメーターがあれば、そのまま調べられる。あるいは試薬を入れると色が出てきて、リン酸が多いなどのことが簡単に分かるので、分類や土質にこだわらず、このパラメーターでどれくらい説明できるのかを、これから調べていきたいと思っています。
日本の土壌にもともと適応している外来植物もありそうだということですが、どのような国、どのような原産地の植物が危険なのでしょうか。
だこの研究は、どれぐらい植物の適応範囲が広いのかはほとんど調べていないので、ここに挙げたシナダレスズメガヤなどしか、まだ分かっていません。けれども、似た土壌環境のところから入ってくる植物は多分、日本では繁殖しやすいだろうと考えられます。例えばニュージーランドは火山国ですし、雨が多い帯域があるでしょうから、ああいう所から入ってくる植物は、割と日本で繁殖しやすいのではないかと考えています。
逆のことも言えると思います。日本とニュージーランドは似ているので、日本の植物がニュージーランドの方に行って暴れる可能性はあるという感じで、栄養特性をもうちょっと個々の植物について調べていったら、いろいろなことがメカニズムから分かるのではないかと考えています。