Q&A

講演タイトル アレロパシーや毒性が強く、浸入すると問題となる外来植物
講演者 藤井義晴ほか(農業環境技術研究所 生物多様性研究領域 化学生態班)

Q1.

野外で、森林にニセアカシアが樹林と接しているような場合に、実際に他の植物との関係が見られるほどのアレロパシーが、そういうもので見られるほどの影響があるのでしょうか。

 また、それこそ特定の化学物質ではないかもしれませんが、そういう土壌を介した変化が植物を変えるみたいなことが考えられるでしょうか。

A1−1.

アレロパシーに関しては、完全に証明したわけではありません。ただ、先ほどのプラントボックス法やサンドイッチ法で、強い活性があります。それから、根圏土壌にも強い活性があります。

 それから、現場で観察しますと、ニセアカシア林の下は特異な植生を持っていて、特定のイネ科の植物だけが蔓延しているという現象があります。ヒゲナガスズメノチャヒキというイネ科の牧草、これも外来植物ですが、これは長野県で調査させていただいていて、そういう所で蔓延していることもあるので、こういう現象はひょっとしたらアレロパシーを示唆しているのではないかと思われます。アレロパシーは、特定のある植物は抑制するけれども、ある植物は平気であるというケースが多いので、そういう面からもさらに詳しく説明したいと考えています。

A1−2.

窒素固定のこともあり、アレロパシーの発生状況で、土壌中のその状態を劇的に変えることはあると思います。

例えば私は林相転換ということで、ニセアカシアの林を在来種の森林に戻すような実験を、造林的な手法で、在来種の広葉樹を、ニセアカシアを切り開いたあとで植えるような植栽試験をやっていたのです。けれども、別にアレロパシーで、その植えた木が成長しないようなことは全くなかったので、それほど影響はないのではないかと。ほかの植物に対して、そんなに植物が生えられないほどのアレロパシーの被害活性があるとは思えないという印象を持っております。

ただ、それが普通、実験した所が、ニセアカシアが占有して50年以上たっているような所なのでそうだったのかもしれないのです。もしかすると、生育してまだ10〜15年ぐらいの若い林で、同じように林相転換の試験をやった場合は、アレロパシー活性が強くて、植えた植物の成長が悪いという現象があるかもしれないとも思っております。これは実際に実験してみないと分からないですが、そういうものもこれから必要なのかと思います。

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