農業環境技術研究所

最終更新日: 2011年6月20日

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6月の公開セミナー

農業環境技術研究所
セミナー開催記録
6月10日(金曜日) 生物多様性研究領域セミナー(蟲の日特別セミナー)
6月16日(木曜日) 生物多様性研究領域セミナー(平成23年度 第2回)
6月30日(木曜日) 農業環境インベントリーセンターセミナー(第1回)

生物多様性研究領域セミナー
の日特別セミナー)
供養のご案内

日時: 平成23年6月10日(金曜日)
15:00~17:00
場所: 547号室(5階会議室)
テーマ 講演者 連絡先
アカトンボに関する話題提供 二橋 亮
(産総研)
吉村
電話 838-8271
山中
電話 838-8253
内容

「アカトンボ」は、アキアカネを中心としたアカネ属のトンボの総称を一般的に指すが、日本人にも非常に馴染みの深い昆虫である。近年、アカトン ボの全国的な減少が話題になっており、北陸地方でも 1998 年以降、アカトンボの激減が指摘されている。しかしながら、減少の実態を定量的に調べたデータは、極めて少ない。

演者は、特に富山県を中心に継続的なトンボ調査を行ってきた。演者らの 1981 年以降 30 年間のデータ( 50,000 件以上)をもとに、富山県におけるアカネ属各種の減少率を定量的に解析した結果について報告する。さらに、国内のアカネ属の形態・生態の進化についても、分子系統解析をもとに紹介したい。

テーマ 講演者 連絡先
土着種との交雑が侵入昆虫の定着を促進する? 数理モデル解析 山中 武彦
(農環研)
吉村
電話 838-8271
山中
電話 838-8253
内容

外来昆虫の中には、侵入昆虫として害虫化し猛威を振るうものも多くあるが、なかなか新天地に定着できず、自然に消滅してしまうケースも多くあると考えられる。このような外来生物の定着に、在来近縁種との交雑がどのような役割を果たしうるか、外来・在来と雑種を記述した数理モデルを構築した。モデルは、もっとも単純な一遺伝子座2遺伝子の遺伝様式を仮定した。

この数理モデルを使って、様々な交尾選好性と競争能力をシミュレーションした結果、パラメタと初期条件によっていくつかの起こりうる結果が示された。すなわち、古典的な Gause の競争排除の条件に従って、1.侵入種絶滅、2.土着種絶滅、3.2種と雑種の共存、が起こるが、侵入種の競争能力が高く、交雑が起こりうる場合には、定着の可能性とスピードが格段に増大することが分かった。

テーマ 講演者 連絡先
東南アジアのココヤシ侵入害虫に対する生物的防除と中南米の生物的防除の近況 中村 達
(国際農研)
吉村
電話 838-8271
山中
電話 838-8253
内容

昨年度まで5年間、JIRCASプロジェクトとして行った「東南アジアのココヤシ 侵入害虫に対する伝統的生物的防除」について紹介すると共に、5月上旬にキ ューバで開かれた 「International Seminar for Animal and Plant Health: International Organization of Biological Control - Neotropical Region Session Meeting (IOBC - NTRS)」 に参加したので、ここで得られた情報を基に中南米における生物的防除についても簡単に話題提供する。

蟲供養のご案内

蟲供養

日時: 6月10日(金曜日) 午後5時30分より

場所: 農環研 蟲塚前

懇親会

日時: 6月10日(金曜日) 午後5時50分ころより

場所: 農環研 5階会議室 (547)

会費: 3,000 円 (予定)

参加申込み・問合せ先

望月 淳(生物多様性領域、e-mail:lepi@affrc.go.jp

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生物多様性研究領域セミナー
(平成23年度 第2回)

日時: 平成23年6月16日(木曜日)
15:00~17:00
場所: 547号室(5階会議室)
テーマ 講演者 連絡先
モデル選択における必要サンプル数 ―RD 基準の提案― 山村光司
(農環研)
吉村
電話 838-8271
山中
電話 838-8253
内容

P 値を用いた仮説検定法に代わる手法として、AIC、AICC 等のモデル選択基準が近年ではますます多用されつつある。これらの選択基準では 「与えられたサンプル数のもとでの最適モデル」 が選択される。選択されるモデルはサンプル数に依存して変化し、サンプル数が少なくなると、より単純なモデルが一般に選択される。したがって、モデル選択を行う際には、手持ちのサンプル数が十分であるか否かを検討しておく必要がある。そのための基準として、演者は 2009 年に RD 基準を提案した(植物防疫 63: 324-329)。

RD は 「モデルの予測力の改善割合」 の推定値であり、0 から 1 の値をとる。説明変数を一つも持っていない場合には RD = 0 であり、予測が完全に当たる場合には RD = 1 である。選択された最適モデルの RD が十分に大きい場合(たとえば RD > 0.8 の場合)にのみ、われわれの手持ちの知識量が十分であり、したがって 「このモデルは妥当である」 と判断することができる。

RD の導出は漸近的な近似に基づくため、シミュレーションを用いてその性質を検討したところ、サンプル数が小さすぎない場合には、RD は 「モデルの予測力の改善割合」 の妥当な推定値になっていることが確認された。また、RD 以外の基準(AIC、AICC、BIC、QAICC 等)によって構築されたモデルと比較すると、RD によって構築されたモデルは、ほとんどの場合に最も高い 「予測力の改善割合」 を示すことが示唆された。

RD を計算するための R 関数の例を次の場所に置いた (線形モデルおよび一般化線型モデル用)。

http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/yamamura/Images/RD_criterion_GLM_jpn.txt

テーマ 講演者 連絡先
昆虫-植物-植物病原菌の研究をつなぐ化学生態学 田端 純
(農環研)
吉村
電話 838-8271
山中
電話 838-8253
内容

農業生態系を構成する生物個体は互いに影響を及ぼし合いながら生存しており、多くの場合、その相互作用には化学物質が介在している。このような化学物質の分析を中心とした手法で生物・生態現象にアプローチする分野(化学生態学)が認知されるようになって久しい。化学生態学では、生物間で働く化合物を扱うため、しばしば複数の生物材料を対象にする。そのため、それほど交流のなかった研究同士をつなげるポテンシャルがある。ペンシルベニア州立大では、昆虫学科や植物病理学科、林学科等の異なる組織に所属するスタッフが集合し、化学生態センターというヘテロなグループを形成しており、異なる分野の研究が融合しつつある。このグループで特に何かをする、というわけではないが、自分の研究と 「近からず遠からず」 にある研究に日常的に触れることは楽しいもので、それが時には分野横断的な研究の推進に一役買っているようにも思える。今回のセミナーでは、ペンシルベニア州立大の滞在報告を兼ねて、そこで取り組んだカボチャの病原菌とそれにまつわる昆虫の研究を紹介する。

テーマ 講演者 連絡先
生分解性プラスチック分解酵素の精製・特性・構造 鈴木 健
(農環研)
吉村
電話 838-8271
山中
電話 838-8253
内容

生分解性プラスチック(略して『生プラ』)は放っておけば最終的に水と二酸化炭素に分解される(ハズ)ので環境負荷の軽減や省力化につながることが期待され、農業でもマルチシートを中心に需要は確実に伸びています。しかしながら、環境条件の影響を大きく受けるために思惑通りに分解してくれない(早すぎたり、遅すぎたり)のが泣きどころです。

そこで、微生物、あるいは微生物が作る分解酵素を利用して使用済み生プラ資材をオンサイトで速やかに分解させる技術の開発を進めています。なんだかんだで分解酵素に関する基礎的エトセトラを私が担当することになりました。(1) 酵素と生プラの相性を利用した分解酵素の精製法、(2) 酵素活性は何によって影響を受けるか、(3) 酵素やその遺伝子はどんな構造をしているのか、等を中心にこれまで明らかになったことを概説したいと思います。

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農業環境インベントリーセンターセミナー
(第1回)

日時: 平成23年6月30日(木曜日)
13:30~15:00
場所: 547号室(5階会議室)
テーマ 講演者 連絡先
Web APIを活用した個別データベースシステムの統合化
Web API for integrate several database systems
大澤剛士
(農環研)
OSAWA Takeshi
(NIAES)
高田・大澤
電話(029-838-8272)
内容

由来が異なる複数のデータベースを横断的に利用するためには、技術面、運用面の両面において解決しなければならない多くの課題がある。

本発表では、昨年度の成果となった [農業環境情報センター gamsDB] ならびに [オサムシ可標本閲覧システム] に採用された [web マッシュアップ] という技術の紹介を通し、第三期中期計画において演者が取り組む 「農業環境統合データベース」 構築における基本的な考え方について、主に技術面から解説する。

参考URL:
[農業環境情報データセンター gamsDB] http://agrienv.dc.affrc.go.jp/
[オサムシ科標本情報閲覧システム] http://habucollection.dc.affrc.go.jp/

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