公募課題
2012年6月26日更新
物質生産・機能性作物の開発 (略称:GM機能性、GMC)
概要
イネ種子中に血圧や肥満など生活習慣病に対して予防効果の期待できる成分を高蓄積 させたり、種子中のアレルゲンを低減化させることで、毎日の食事を通じて健康維 持・増進に役立つ、消費者利点のある組換えイネを開発する。健康機能性を付与した 組換えイネの開発に際しては、良食味品種を用い、消費者に受け入れ易い選抜マー カーや遺伝子導入手法を用いて進める。またイネ種子をバイオリアクターとして有用 物質生産系の開発を進める。
研究目的
- 血圧や中性脂肪、肥満など生活習慣病に対して予防効果のある組換えイネを開発する。
- 米アレルゲンを低減させた組換えイネを開発する。
- イネ種子で有用物質を産生し、抽出・精製して試薬等への利用を図る有用物質生産系を開発する。
- ジーンターゲット技術の効率化や汎用化を図る。また、新規の遺伝子発現抑制システムを開発する。
- 種子中に蓄積させた機能性成分を腸管に安定的かつ効率的にデリバリーさせるシステムを構築する。
達成目標
- 中性脂肪や血清コレステロール、高血圧に対して調整機能を有する機能性成分をイネ種子の可食部の胚乳中に特異的に蓄積させた組換えイネを開発し、動物での経口投与による有効性評価と共に、これら組換えイネについて、隔離ほ場での生物多様性等安全性の評価を行う。
- 複数の主要な米アレルゲンを低減させた組換えイネを開発する。
- 新規のホジティブ・ネガティブ選抜法による効率的な相同組換えによるジーンタゲット技術を開発すると共に、遺伝子発現抑制手法についても新規な特異配列による抑制手法の開発や機構解明を行う。
- 外来有用成分をイネ種子で高度に産生するシステムを構築し、種子より活性ある成分を効率的に抽出・精製する手法を開発し、精製した有用成分を試薬等での販売を図る。
- イネ種子中で蓄積させた機能性成分を抽出・精製することなく、種子の剤刑で効率良く腸管の細胞にデリバリーする細胞内蓄積法や輸送手法を開発すると共に、輸送過程での動態を解明する。
研究内容
- 中性脂肪や血清コレステロール等を調整する機能を有するダイズ7Sグロブリンαサブユニットやラクトスタチンペプチドをイネ種子胚乳中で特異的かつ高蓄積させた組換えイネを開発する。
- 血圧調整機能を有するγ−アミノ酪酸(GABA)やノボキニンペプチドを胚乳中に高度に蓄積させる手法を開発して、これら機能性成分をイネ種子胚乳中に高度蓄積させた組換えイネを開発する。
- 米アレルギーの原因となっている主要な3種類のアレルゲンや新規の米アレルゲンを遺伝子発現抑制手法を用いて、低減化させた組換えイネを開発する。
- 従来の遺伝子発現抑制手法と異なる新規の特異配列を介した遺伝子発現抑制手法を開発し、この遺伝子発現抑制機能の特徴や抑制メカニズムの解析を進める。
- 相同組換えにより標的遺伝子が改変された細胞を効率的に選抜するために、社会的の受容性の高いホジティブ・ネガティブ選抜法を用いた効率の高いジーンタゲット技術を開発し、イネのアレルゲンを破壊したイネ系統を作出する。
- イネ種子をバイオリアクターとして、サイトカイン等の高付加価値成分をイネ種子で高度発現させる手法を開発し、試薬品として生産・販売するための抽出・精製手法の開発を行う。
- イネ種子で産生させた機能性ペプチドや抗原ペプチド等を効率的に腸管の細胞にデリバリーするための細胞内集積手法や輸送手法の開発、ペプチドの輸送・動態機構の解明を行う。
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実施課題一覧(〜平成24年度)
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課題番号 | 実施課題名 | 課題責任者 所属機関 |
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GMC0001 | ジーンターゲッティングによる有用形質導入システムの開発 | 農業生物資源研究所 |
GMC0002 | イネの種子タンパク遺伝子の安定なノックアウト改変 (平成20年度終了) | 自然科学研究機構 |
GMC0003 | 新規遺伝子発現抑制制御技術の開発 | 農業生物資源研究所 |
GMC0004 | イネ種子でのサイトカイン類の発現とその利用 | (株)プリベンテック |
GMC0005 | GABA強化米の開発 | 島根大学 |
GMC0006 | アレルゲン低減化米の開発 | 農業生物資源研究所 |
GMC0007 | 血圧調整米の開発 | 農業生物資源研究所 |
GMC0008 | ダイズ7Sグロブリン等機能性成分含有米の開発 | 京都大学 |
GMC0009 | 機能性成分の体内への効率的デリバリーシステムの構築と生体反応の解明 | 農業生物資源研究所 |
GMC0010 | 液体培養系を用いた高頻度相同組換え系の開発と利用 | 農業生物資源研究所 |