公募課題
2010年5月14日更新
政策ニーズに合致したイネ新品種の開発 (略称:稲マーカー育種、RGB)
概要
本研究では、これまでに蓄積された豊富なゲノム情報を技術的背景とし、ゲノム全域にわたるDNAマーカーを活用して、政策ニーズに合致したイネ新品種を効率的かつ迅速に開発する。DNAマーカーを用いることにより、それまでの育種では困難であった不良形質の連鎖解消、有用遺伝子の集積を行い、優れた特性の実用イネ系統を5年以内に開発する。
研究目的
- インド稲の持つ極多収性(極多粒性)、日本稲の安定登熟性、野生稲等の高度耐病虫性や耐冷性等を集積した極多収性イネ系統の育成
- 高温登熟性に優れトビイロウンカやツマグロヨコバイ耐虫性、いもち病抵抗性・縞葉枯病抵抗性等を付与させた温暖化対応イネ系統の育成
- 減農薬栽培や直播栽培が可能で市場性の高い次世代型ニッポンブランドイネ系統の育成
- カドミウム吸収能を改変したイネ系統の育成
達成目標
- 1トン/10a以上の玄米収量が見込める多収性イネ系統の育成
- 高温登熟性品種「にこまる」以上の高温耐性を有し、病害虫抵抗性も付与したイネ系統の育成
- 大幅な減農薬栽培・低コスト生産が可能な市場性の高い次世代型ニッポンブランド品種の育成
- 病害抵抗性、虫害抵抗性、耐冷性、高温登熟性、食味特性等の農業形質およびカドミウム吸収能といった政策上重要な個別形質を、不良形質を伴わずに有するイネ系統の育成を10系統以上育成する。
研究内容
- 最新の多収性品種(「モミロマン」、「北陸193号」等)を遺伝的背景とし、DNAマーカーによりいもち病抵抗性、トビイロウンカ耐虫性、高度耐冷性、難脱粒性、倒伏抵抗性等の安定生産性を付与し、1トン/10a以上の玄米収量が見込める多収性イネ系統を育成する。
- DNAマーカー選抜により病害虫抵抗性を付与し、「にこまる」以上の高温登熟性を有するイネ系統を育成する。
- DNAマーカーを用いた遺伝子集積により、複合病害虫抵抗性や直播栽培適性を付与し、減農薬栽培、直播栽培などの低コスト栽培適性を有し、食味・品質にも優れるイネ系統を育成する。
- 病害抵抗性、虫害抵抗性、耐冷性、高温登熟性、食味特性等の農業形質およびカドミウム吸収能といった政策上重要な形質について、DNAマーカーを用いたQTLの導入やアイソジェニック化による不良形質の解消等により、各目的形質を高度化したイネ系統を育成する。
↓図をクリックすると、新しいウインドウで、大きな図が開きます
![]() |
実施課題一覧(平成22年度)
↓課題番号をクリックすると、各実施課題の研究成果を見ることができます
課題番号 | 実施課題名 | 課題責任者 所属機関 |
---|---|---|
RGB1001 | 「にこまる」以上の高温登熟性を有し、トビイロウンカ、いもち病にも強い品種の育成 | 作物研究所 |
RGB1101 | いもち病圃場抵抗性、縞葉枯病、ツマグロヨコバイ等を集積したコシヒカリ型品種の育成 | 農業生物資源研究所 |
RGB1102 | DNAマーカーを用いた直播栽培向け良食味の品種育成 | 作物研究所 |
RGB1103 | 古米化を制御した常温貯蔵性に優れる品種の育成 | 中央農業総合研究センター |
RGB1201 | DNAマーカーを用いた耐冷性・いもち病抵抗性に優れる飼料米品種の育成 | 北海道農業研究センター |
RGB1202 | DNAマーカーを用いた耐病性、強稈性に優れる飼料稲品種の育成 | 作物研究所 |
RGB1203 | DNAマーカーを用いた脱粒性難で苗立ち性に優れるインド型多収品種の育成 | 中央農業総合研究センター |
RGB1204 | DNAマーカーを用いた耐病虫性に優れる飼料稲品種の育成 | 九州沖縄農業研究センター |
RGB2001 | 国際判別品種の抵抗性遺伝子を導入した同質遺伝子系統の育成 | 作物研究所 |
RGB2002 | 「ヒノヒカリ」を遺伝背景としたいもち病抵抗性同質遺伝子系統の育成と評価 | 宮崎県総合農業試験場 |
RGB2003 | いもち病遺伝子と陸稲由来縞葉枯病抵抗性の同質遺伝子系統・集積系統の育成 | 近畿中国四国農業研究センター |
RGB2004 | イネのいもち病圃場抵抗性遺伝子の菌株特異性および相加効果の検討 | 中央農業総合研究センター |
RGB2005 | 導入するいもち病抵抗性遺伝子の特性評価 | 国際農林水産業研究センター |
RGB2101 | トビイロウンカ抵抗性のヒノヒカリ同質遺伝子系統および集積化系統 | 作物研究所 |
RGB2102 | トビイロウンカ抵抗性評価 | 九州沖縄農業研究センター |
RGB2103 | 「にこまる」のツマグロヨコバイ抵抗性同質遺伝子系統の育成 | 九州沖縄農業研究センター |
RGB2201 | 「ほしのゆめ」及び「北海287号」を遺伝背景とする準同質遺伝子系統の作成と耐冷性評価 | 北海道農業研究センター |
RGB2202 | 耐冷性遺伝子集積系統の評価 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 上川農業試験場 |
RGB2203 | 「ひとめぼれ」を遺伝背景とした耐冷性準同質遺伝子系統の育成と圃場評価 | 宮城県古川農業試験場 |
RGB2204 | 「まっしぐら」を遺伝背景とした耐冷性遺伝子に関する準同質遺伝子系統の作成 | (地独)青森県産業技術センター農林総合研究所 |
RGB2301 | 食味、高品質、出穂性QTLを導入した同質遺伝子系統の育成 | 作物研究所 |
RGB2302 | 高品質のコシヒカリ同質遺伝子系統の育成 | 富山県農林水産総合技術センター |
RGB2303 | 高温登熟性系統の特性検定と系統適応性検定試験 | 高知県農業技術センター |
RGB2401 | DNAマーカーを利用したカドミウム低吸収性品種の育成 | 東北農業研究センター |
RGB2402 | カドミウム低吸収性DNAマーカーの開発 | 東北大学 |
RGB2403 | DNAマーカーを利用したカドミウム高吸収性品種の育成 | 秋田県農林水産技術センター農業試験場 |
RGB2404 | カドミウム高吸収性DNAマーカーの開発 | 秋田県立大学 |
RGB3001 | 育成材料の養成と遺伝子型大規模解析 | 作物研究所 |
RGB3011 | 育成系統の市場性評価 | 全国農業協同組合連合会 |