公募課題
2010年5月14日更新
麦類の遺伝子単離と機能解明 (略称:ムギゲノム、TRC)
概要
コムギやオオムギの生産性向上と品質向上に資するため、イネゲノムならびに コムギ・オオムギゲノムの情報とリソースを有効に活用し、我が国の麦類の持つ農業上重要な形質の遺伝子単離と機能解明をおこなう。特に穂発芽耐性、休眠性、早熟性、閉花性、赤かび病耐性、高ベータグルカン、種子形成など、重要な形質を優先的に対象とする。
研究目的
日本人一人あたりの年間穀物消費量は小麦が49kg、大麦は18kgであり、麦類の合計は米の72kgにほぼ匹敵する。しかし我が国の麦類生産量は消費量に比べあまりに少なく、麦類の研究開発による問題解決を急がなければならない。
達成目標
日本の麦類に求められる生産性向上や品質向上に必須な形質の遺伝子を10個以上同定し、単離、機能解明を進める。
- コムギ穂発芽耐性遺伝子Phs1 (Pre-harvest sprouting 1)
- オオムギ種子休眠性遺伝子Qsd1(seed dormancy 1)
- コムギDゲノムに由来する早熟性等重要形質のQTL
- オオムギ閉花性遺伝子cly1 (cleistogamy 1) および Cly2
- オオムギ六条性遺伝子vrs1調節因子、非対立遺伝子、およびイネ科相同遺伝子
- コムギ赤かび病耐性に係わる毒素低蓄積性遺伝子QTL(QFhs.kibr-2DS)
- オオムギ β-グルカン合成複合体構成因子P23k他の遺伝子
- オオムギ裸性遺伝子nudの下流遺伝子、およびイネ科相同遺伝子
- オオムギ β-グルカンレス突然変異体bgl遺伝子
研究内容
- 本研究課題では国内におけるコムギやオオムギの生産性向上、品質向上に資するため、イネゲノムの情報およびリソース(ゲノム塩基配列、連鎖地図、cDNA、遺伝子破壊ライブラリー、マイクロアレー等)、ならびにコムギ・オオムギゲノムの情報およびリソースを有効に活用し、我が国の麦類の持つ農業上重要な形質の遺伝子単離と機能解明をおこなう。
- これらの遺伝子あるいはQTLを遺伝学的に同定し、おもに遺伝子連鎖地図に基づく確実な方法で目的遺伝子を単離する。単離した遺伝子は突然変異体や形質転換を用いて機能解明をおこなう。
- これらの研究の効率的遂行のため、BAC塩基配列解読、形質転換などの技術支援をおこなう。
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実施課題一覧(平成22年度)
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課題番号 | 実施課題名 | 課題責任者 所属機関 |
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TRC1001 | コムギ穂発芽耐性遺伝子の単離と機能解明 | ホクレン農業総合研究所 |
TRC1002 | オオムギ種子休眠性遺伝子の単離と機能解明 | 岡山大学 |
TRC1003 | コムギ祖先野生種早熟性の遺伝解析 | 神戸大学 |
TRC1004 | オオムギ穂の形態形成遺伝子の単離と機能解明 | 農業生物資源研究所 |
TRC1005 | コムギ赤かび病耐性に係わる毒素低蓄積性遺伝子の単離と機能解明 | 横浜市立大学 |
TRC1006 | オオムギβ-グルカン合成関与遺伝子の単離と機能解明 | 名古屋市立大学 |
TRC1007 | オオムギ種子形成関連形態遺伝子の単離と機能解明 | 岡山大学 |
TRC1008 | ムギ類マップベースクローニング加速化・比較ゲノム解析のための研究支援 | 農業生物資源研究所 |