コムギゲノム解読

wheat

コムギゲノムの解読のために、2005年にコムギゲノム解読国際コンソーシアム(IWGSC)が結成され、フランス、オーストラリア、アメリカ、イギリス等が参加し、我が国からは、(独)農業生物資源研究所(生物研)、(国)京都大学大学院農学研究科、(公)横浜市立大学木原生物学研究所、日清製粉(株) が研究チームを組織して、コムギの21対の染色体のうち、イネの全ゲノムの2.5倍に相当する6B染色体の塩基配列の解読を担当しています。

IWGSCは、コムギ品種「チャイニーズ スプリング」を用いて、ゲノム配列の概要解読に成功し、コムギが持つと想定されている遺伝子数にほぼ対応する約12万個の遺伝子と、さらにこれらが21対の染色体上のどこにあるのかを明らかにしました。なお、この成果には、これまでのイネゲノム研究で蓄積されてきた遺伝子の解析情報等が活用されています。

コムギのゲノムは、イネの40倍と大きく、またコムギゲノムは異なる三種類のゲノムで構成されるため、農業上有用な特性に関わる遺伝子の単離や、DNAマーカー1)の開発が困難でした。今回の成果は、これらの問題解決に非常に有効で、育種効率を一層向上させ画期的な新品種の開発を加速することが可能となります。

コムギゲノム発表論文

  • International Wheat Genome Sequencing Consortium. (2014) A chromosome-based draft sequence of the hexaploid bread wheat genome. Science 345(6194) DOI: 10.1126/science.1251788
  • Tanaka et al. (2013) Next-generation survey sequencing and the molecular organization of wheat chromosome 6B. DNA Research DOI: 10.1093/dnares/dst041