昆虫の成長は、「幼若ホルモン(JH)」と「脱皮ホルモン」という、二つのホルモンにより支配されています(幼若ホルモンについて、詳しくはP. 2-3『研究トピックス』をご覧下さい)。これらのホルモン濃度を人為的に変えることで、害虫防除に役立つと期待されています。私は、JHに似た構造を持つ薬剤が昆虫に生理作用を与えるメカニズムについて解析したり、JHを分解する酵素やJHを輸送するタンパク質の構造を調べることにより、JHが昆虫に及ぼす生理作用を詳しく解析しました。これらのアプローチが、JHを介して昆虫の成長を制御し、害虫を防ぐ農薬の開発に寄与すると評価されました。この研究は、私がカリフォルニア大学デイヴィス校でポスドクをしていた時代からの研究テーマで、研究所内外の多くの研究者との共同研究の成果です。それらの皆様に深く感謝し、本学会賞受賞の栄誉を分かち合いたいと思います。