トウモロコシの混裁区
左から順に遺伝子組換え、非遺伝子組換え、遺伝子組換え、非遺伝子組換えと並べてトウモロコシを栽培しています。
生物研では、一般の方に遺伝子組換え農作物をご覧いただく機会を提供するため、平成18年より遺伝子組換え農作物の展示栽培を行っています。今年は5月8日(水曜日)からトウモロコシの栽培、6月4日(火曜日)からダイズの栽培を開始しました。展示用に栽培している遺伝子組換え農作物は、世界で広く栽培され、日本でも多く利用されている、害虫抵抗性及び除草剤耐性トウモロコシと除草剤耐性ダイズです。それぞれの品種の特性が良く分かるように、工夫して栽培しています。見学者の方々には、これらの遺伝子組換え農作物を観察しながら、遺伝子組換え技術をはじめとする農業技術について考えたり、研究者と意見交換をして頂いたりしています。
生物研では今年、「スギ花粉ペプチド含有イネ」「スギ花粉症治療イネ」「複合病害抵抗性イネ」「開花期制御イネ」の4種類の遺伝子組換えイネを隔離ほ場で栽培します。4種類のうち「スギ花粉ペプチド含有イネ」と「スギ花粉症治療イネ」の2種類はスギ花粉症の原因となるタンパク質を白米に蓄積するイネで、スギ花粉症の治療米として研究を進めています。4月24日(水曜日)にスギ花粉ペプチド含有イネ、5月29日(水曜日)にスギ花粉症治療イネの栽培を開始しました。また6月12日(水曜日)には「複合病害抵抗性イネ」の栽培を開始しました。複合病害抵抗性イネはイネのWRKY45遺伝子の働きを遺伝子組換え技術により強化したイネで、温室内の実験ではイネの複数の病害に対して強くなることが確認されています。さらに7月10日(水曜日)には、任意の時期に人為的に花を咲かせることを目指して研究開発を進める「開花期制御イネ」の栽培を開始しました。
これらの遺伝子組換えイネの生育状況は、生物研ホームページ
http://www.naro.affrc.go.jp/archive/nias/gmo/gmotop で順次公表しています。
スギ花粉ペプチド含有イネの田植えの様子(左)と、その約2か月後の網掛けの様子(右)。
» 49号目次へ