生物研ニュースNo.52

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受賞・表彰

2013年日本育種学会秋季大会 日本育種学会優秀発表賞

生物研からは、いずれも「マメ」に関わる発表を行った、津田麻衣高橋有坂井寛章の3名が受賞しました。

受賞タイトル:

ダイズミニコアコレクションにおける開花期のゲノムワイド
関連解析

受賞者:特別研究員 津田 麻衣

(農業生物先端ゲノム研究センター ダイズゲノム育種研究ユニット)

[生物研所属の共同受賞者]

清水 武彦、町田 佳代、石本 政男、加賀 秋人(ダイズゲノム育種研究ユニット

受賞日:H25年11月19日

佐藤 写真

共同研究者と
左から、加賀秋人、津田麻衣(筆者)、石本政男。

 ゲノムワイド関連解析(GWAS)は開花期・収量など多数の遺伝子が関わる性質について、品種間のゲノム全体の違いを比べる手法で、作物分野でも利用され始めています。今回ダイズについてGWASを初めて利用し、開花期に関わる遺伝子を解析しました。当初は統計解析や膨大なデータの扱いに苦労しましたが、既知の遺伝子を正確に検出できたうえ、複数の新規遺伝子も把握することができました。今後、様々な農業形質の解明にも利用できると考えています。加賀主任研究員のご指導と周囲の方のご支援により、この賞を頂くことができました。この場を借りて感謝申し上げます。

[津田 麻衣]

受賞タイトル:

Vigna属野生種のNeo-domestication

受賞者:JSPS特別研究員 高橋 有

(遺伝資源センター 多様性活用研究ユニット)

[生物研所属の共同受賞者]

内藤 健、 伊勢村 武久、武藤 千秋、加賀 秋人、友岡 憲彦(多様性活用研究ユニット)
坂井 寛章(農業生物先端ゲノム研究センター ゲノムインフォマティックスユニット)

受賞日:H25年11月19日

佐藤 写真

中央が筆者、両サイドは研究をサポートした 補助員の2人

 私たちは、野生植物の栽培化(ネオ・ドメスティケーション、Neo-domestication)により、不良環境でも食糧生産ができる作物の開発を目指しています。今回、病虫害に強いVigna属(ビグナ属、アズキの仲間)の野生種に突然変異を起こし、1万個体の中から「タネが大きい個体」と「サヤが弾けない個体」を見つけました。この成果は、野生植物から作物がつくれることを意味します。私一人の力はとても小さく、共同研究者の支援無くしてはこの成果は得られませんでした。また炎天下、毎日作業をしてくれた補助員の方々にも大変感謝しています。 

[高橋 有]

受賞タイトル:

Vigna属ゲノムプロジェクト

受賞者:主任研究員 坂井 寛章

(農業生物先端ゲノム研究センター ゲノムインフォマティックスユニット)

[共同受賞者]

内藤 健、小木曽 映里、友岡 憲彦(遺伝資源センター 多様性活用研究ユニット)、
加賀 秋人(農業生物先端ゲノム研究センター ダイズゲノム育種研究ユニット)、
伊藤 剛(ゲノムインフォマティックスユニット)

受賞日:H25年11月19日

佐藤 写真

賞状を手に

 アズキやその仲間であるVigna属(ビグナ属)のゲノム研究基盤を確立するため、第一歩としてアズキの全ゲノム解読を行いました。Vigna属には、塩や酸性など様々な不良環境に強い野生種が数多くあります。そのワイルド&セクシーな魅力が伝わったと思うと嬉しいです。また、今回の発表は研究プロジェクトの紹介という一面があったので、今後への期待も込められているのかなとも思っています。頂いた賞を励みに、多くの研究者や、育種に携わる方々にVigna属植物の魅力を知っていただき、私たちの研究成果を役立ててもらえるよう、さらに頑張っていきたいです。

[坂井 寛章]

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