プレスリリース
平成18年8月1日
独立行政法人 農業生物資源研究所

赤米が白米になった原因を解明

- 数年で良食味の赤米が育成 -



【要旨】

   米には、玄米が着色している着色米と呼ばれる種類があり、紫黒米、赤米、赤褐米、白米(無着色米)などに分類されます。イネの祖先種は、すべて着色米です。進化の過程で着色米に変異が生じ、白米が出来たと推測されていましたが、着色米や白米が生じる遺伝的なしくみは不明でした。

   今回、農業生物資源研究所が中心となり研究を進め、イネゲノムの完全解読情報を駆使することにより、米が赤くなるために必要な2つの遺伝子、酵素遺伝子(Rd)と調節遺伝子(Rc)、の単離に成功し、長年の謎を解明しました。赤米の調節遺伝子に変異が生じ、その偶然生じた変異を農民が積極的に選択し、現在の白米が選抜育種されたことも明らかになりました。

   赤米にはカテキンやタンニンなどが豊富に含まれていることから、抗酸化機能に富んでいますが、現在生産されている赤米には良食味のものはありません。今回の研究によって、赤色に関与する2つの遺伝子そのものが明らかになったため、今後はこの成果を利用することで、食味のよいコシヒカリを精米部分(胚乳)に持ち、果皮に赤色のカテキンを多く含む良食味米が短期間で交配育種できます。


研究代表者: 農業生物資源研究所 理事長 石毛光雄
研究責任者:農業生物資源研究所 元 遺伝資源研究グループ 門脇光一 tel 03-3502-8111
  (現在 農林水産省農林水産技術会議事務局) (内線5076)
研究担当者:農業・食品産業技術総合研究機構須田郁夫 tel:029-838-7698
    沖 智之 tel:096-242-7742
  岡山大学資源生物科学研究所 前川雅彦 tel:086-434-1214
  東京理科大学 基礎工学部 島田浩章、古川 勉 tel:04-7124-1501
    (内線4400)
  自然科学研究機構 基礎生物学研究所 飯田 滋 tel:0564-55-7680
  北海道大学大学院 高牟礼逸朗 tel:011-706-2448
一般的内容の問い合わせ先:    
 農業生物資源研究所 広報室長小川雅文 tel:029-838-8469











【掲載新聞】
8月2日(水):日刊工業新聞、8月4日(金):化学工業日報、8月5日(土):日本経済新聞、
8月6日(日):日本農業新聞、8月7日(月):常陽新聞、8月30日(水):農業共済新聞、
9月3日(日):日本経済新聞