[ 農業生物資源研究所トップページ ] [ プレスリリースリスト ]
【要旨】【問い合わせ先】【背景】【詳細】【今後の展開】【実施研究事業】【用語】
【背景】 臓器の大きさ等、ヒトに近い生理的特徴を持つブタは、DNA情報を用いた高度な育種改良だけでなく、再生医療や実験モデル動物としての利用への期待に大きいものがあります。しかし、ゲノムの塩基配列や、実際に機能を発揮している遺伝子の情報については、ブタではまだ十分に得られていません。 生物研及びSTAFF研は、先に英国サンガー研究所と共同研究契約を結び、ブタゲノム塩基配列の解読に向けて国際的な協力の下に推進することについて合意しました。一方、ゲノム上で実際に機能している遺伝子の情報を収集する方法としてcDNA(注1)ライブラリーを構築して網羅的に解析する方法がありますが、ブタでは、技術的困難さから、これまで収集された情報は各遺伝子の全長を必ずしも含んだものではありませんでした。そのため、ブタの医療応用や品種改良における研究に有用かつ正確なブタの遺伝子情報を収集し、広く研究者が利用できるようなデータベースを作成することが望まれていました。 【詳細】 ブタの15種類の臓器からcDNAライブラリー(注1)(内13個についてはオリゴキャップ法(注2)に基づく完全長cDNAライブラリー(注3))を構築し、162,631個のcDNAの高品質な遺伝子配列を収集しました。ヒト、マウス、ウシ等の他の動物の遺伝子配列との比較から、これらは少なくとも約10,000個のゲノム上の遺伝子に由来すると見られ、ブタゲノムにコードされている全遺伝子の半分近くを網羅していると考えられます。 これらの配列の情報は、ヒト、マウスなどの他の動物の遺伝子との相同性を比較したデータとともにデータベース化(Pig Expression Data Explorer [PEDE])し、Web上にて広く一般に公開しています(http://pede.dna.affrc.go.jp/)。データベースの詳しい説明は、2007年初頭のNucleic Acids Research(核酸研究)誌データベース特別号でも発表される予定です。 【今後の展開】 ブタ遺伝子全長の解読をさらに推進し、ブタの実験モデル動物・再生医療への応用やDNA情報を用いたブタ育種において、より有用性の高いブタ遺伝子カタログの構築を目指します。また、現在、国際共同研究により推進中のブタ全塩基配列解読において、ゲノム塩基配列上での遺伝子の構造を決定するために本データを利用します。さらに、遺伝子の配列あるいは周辺における塩基配列の違いについてブタ品種間・品種内での検出を進め、ブタの遺伝子と抗病性や肉質、肉量等の関連性についての解析を行います。 [ 農業生物資源研究所トップページ ] [ プレスリリースリスト ] |