農作業安全コラム

作業機付きトラクターの公道走行(条件があります!)

R2年2月 手島 司

 昨年11月のコラム「安全性検査とは」で我々が実施している安全性検査の紹介がありましたが、その中の一つである安全装備検査で各社取扱説明書の主に安全に関わる部分の確認を行っています。私が担当する機種の一つとして乗用型トラクター(以下、トラクター)があるのですが、取扱説明書には必ずトラクター単体で公道走行する際の注意事項が記載されています。具体的には、公道走行時は①適切な運転免許証を携帯すること、②ナンバープレートを取付けること、③低速車マークを装着すること、④指定された輪距に調節すること、⑤作業灯は点灯しないこと、⑥道路運送車両法の保安基準に適合するように点検整備をして各種性能を維持すること、⑦作業機は装着しないこと、などがその主なものです。

 ところが昨年から⑦を取り巻く状況が大きく変わってきました。各種報道でご存じの方も多いと思いますが、作業機付きトラクターの公道走行に関することです。ただしここで注意が必要なのは、道路運送車両法自体が何か変わって作業機付きトラクターが公道走行できるようになったのではなく、道路運送車両法の運用見直しにより保安基準に緩和措置が盛り込まれ、公道走行できる条件(現状直装タイプ、つまり3点リンク等で持ち上げて走行することのできる作業機に限る)が関係省庁によって明確にされたということです。この条件については、関係省庁や団体、メーカーのホームページに詳細が書かれていますし、中には理解が進むように工夫されたページもあります。この話題を取り上げておいて申し訳ないのですが、この欄で誤解なく表現することはできませんので、ぜひそちらを探してご参照いただき、ケースに応じて色々な条件(灯火装置の取付け位置変更、灯火装置の新規取付け、運行速度制限、作業機上げ高さ、前輪分担荷重、基準緩和を受けたことを示す標識の貼付、道路管理者への届け出など)があるということを、ぜひ正しくご理解いただければと思います。

 近い将来、取扱説明書の⑦の表現が変わってくることが考えられます。さらに今現在、被けん引タイプの作業機についても関係法令や運用方法の見直しが行われているようです。ただし①~⑥の内容が変わったわけではありません。自分の身の安全や、同じ公道を走行するドライバーの安全、お互いの家族の幸せのため、ルールを守った各種装備と安全運転を引き続きよろしくお願いいたします。

 

キーワード:乗用トラクター/運搬・移動
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