農業機械安全性検査で新たに装備を義務化する安全機能について
R7年5月 清水 一史
2018(平成30)年度にスタートした農業機械安全性検査(以下、安全性検査)については、2018(平成30)年8月コラム「安全性検査が始まりました」や2019(令和元)年11月コラム「安全性検査とは」などでご紹介してきましたが、主要機種について新たな安全機能の装備を盛り込んだ安全性検査基準を策定するとともに、受検者の負担軽減を図る等の見直しを行い、2025(令和7)年4月1日から新たな制度として安全性検査を再スタートしました。
今回のコラムでは、安全性検査で新たに装備を義務化することになった主要機種の安全機能をいくつかご紹介したいと思います。
農用トラクター(乗用型)では、シートベルトの未装着により転落転倒時に運転席から投げ出されることを防止するために、シートベルトの未装着を検知して、ランプ等による表示や警報音により運転者への警告を発するシートベルトリマインダーと、離席時に作業機等に巻き込まれることを防ぐために、離席後7秒以内にPTO軸(作業機を駆動するための回転軸)の動力を遮断するPTOインターロックの装備を2025(令和7)年度の基準から求めることになりました。
また、田植機(乗用型)とコンバイン(自脱型)では、作用部に巻き込まれることを防ぐために、離席後7秒以内に作用部の動力を遮断する作用部インターロックの装備を2027(令和9)年度の基準から求めることになっています。
ただし、離席した状態で、農用トラクター(乗用型)のPTO軸への動力を接続しての作業や、コンバイン(自脱型)では手こぎ作業時に必要な部位への動力を接続して作業を行う場合がありますので、農用トラクター(乗用型)のPTOインターロックやコンバイン(自脱型)の作用部インターロックを一時的に無効化できるインテンション装置の装備を認めています。
なお、2025(令和7)年度以降の安全性検査合格機には、安全な農業機械であることを農業者等が容易に判別できるよう、適合している基準(「安全装備検査2025年基準」又は「安全装備検査2027年基準」)に応じた安全性検査証票が機体へ貼付されているほか、カタログにも掲載されていますのでご確認下さい。
今後も農研機構は、農業機械による事故撲滅を目指して安全性検査のブラッシュアップに取り組み、安全な農業機械の普及促進につとめてまいります。

2025年基準に合格した安全性検査証票

2027年基準に合格した安全性検査証票