農作業安全コラム

取扱説明書、読んでいますか?-その2

H20年10月 積 栄

 6月コラムで、農業機械における取扱説明書の重要性と、一方で内容が増えて複雑化する傾向にあり、読みやすいものを作るのは簡単でないことを書きました。

 これは農業機械に限らず一般的な傾向で、例えば携帯電話など、本体はどんどん小さくなる一方、取扱説明書は今や本体の何倍も体積があったりします。以前公表されたアンケート調査結果によると、携帯電話の取扱説明書を「必ず読む」「必要なときに読む」という回答が約7割を占めた一方、満足度については、「大変満足」「満足」は3割に届かなかったそうです。取扱説明書作成の難しさがわかります。

 農業機械でも生研センター(現:革新工学センター)がアンケート調査を行いました。その結果、内容についてはわかりやすいとの回答が最も多かったのですが、一方で乗用トラクター、田植機、コンバインでは、わかりにくい、ボリュームが過多という回答が各々2割前後あり、また歩行用トラクターや刈払機では比較的利用率が低い結果でした。自由記述では多岐にわたる要望が寄せられ、やはり更なる努力の必要性がうかがえます。何より、農業機械の誤使用が重大事故につながる可能性は、携帯電話より格段に高いことを忘れてはいけないでしょう。

 特に歩行用トラクターや刈払機は、取扱説明書なしでもとりあえず使えてしまう面があると思いますが、実際にはどちらも事故が大変多い機械です。慣れた方でも、初心に帰って今一度取扱説明書を読んでみてはいかがでしょうか。新しい発見があるかもしれません。

 

キーワード:安全装置・対策/研究/乗用トラクター/歩行用トラクター/コンバイン(自脱型/普通型)/刈払機/田植機/点検・整備・清掃
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