農作業安全コラム

スピードスプレヤーの防除作業における事故について

H23年7月 杉浦 泰郎

 りんご、もも、ぶどう、みかん等の産地では、今、果樹の防除作業が梅雨の合間をぬって行われ、スピードスプレヤー(通称SS、エスエス)が活躍しています。

 スピードスプレヤーの事故の概要、原因、防止のポイント等については、本「農作業安全コラム」欄の下段にある、「農業機械事故情報(農林水産省生産局提供)」をご覧いただきたいと思いますが、最近、死傷事故報告が目立つことから、注意喚起のため、今回ご紹介させていただきます。

 ここ数年のスピードスプレヤーの事故の状況をみると、ほ場の出入り時の旋回や後進時、農道でわだちにハンドルを取られた時、また速度の出しすぎ等による転落転倒事故が最も多い状況です。

 次に多いのが、果樹園の枝や支柱と機械の間に身体が挟まれて重大な事故となるケースです。これは後方や側方の散布状態を見ていたため、前方の障害物に気づかないことが原因と思われます。その他、変速レバーが不意に入った、駐車ブレーキのかけ方が甘かったことによりひかれた場合等です。

 事故をなくすためには、確実なハンドル・レバー操作、速度を出しすぎない、脇見運転をしない、旋回や後進時には周囲の状況を確実に把握する、左右独立ブレーキは防除作業時のみ使用する等、取扱説明書にある運転操作の基本を守って頂きたいと思います。また、張り出した枝の除去や支柱には目印をつけることも必要と考えます。

 この時期、雨を気にしながらの防除作業が続きますが、くれぐれも、熱中症にならないよう水分補給と休憩を十分とり、体調にも留意され慎重で安全な防除作業をお願いいたします。

 

キーワード:事故/安全装置・対策/その他の機械/中耕・防除/果樹
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