農作業安全コラム

農作業中の熱中症にご注意ください

H23年8月 積 栄

 今年は6月から記録的な暑さとなりました。作物の出来にも一部影響が出ていますが、昨年に引き続き農作業中の熱中症による事故も相次いで報告されています。これを受けて、農林水産省でも、熱中症を防止するための留意点について指導通知 外部リンク を出しています。

 農作業中に熱中症にかかる危険性の高さは、以下の数字からも示されています。

 厚生労働省の発表 外部リンク によれば、昨年の熱中症による全国の死亡者のうち、農場(耕作農地、牧場等)での死亡数は62件(男女半数ずつ)となっており、全体の約4%を占めていました。今年2月時点の統計から見ると、全国民に対する農業従事者数(15歳以上の世帯員で自営農業に従事した者)は約3%、農業就業人口(農業従事者のうち自営農業を仕事の主とする者)に限定すると約2%ですので、農作業中に熱中症にかかる危険性は、人口比率で考えればやはり高いと考えるべきでしょう。

 また、昨年の熱中症による全死亡者数の約8割が、65歳以上となっていました。農業就業人口を見ると65歳以上が約61%を占めており、高齢の方が多い農業者は、やはり一層の注意が必要ということがわかります。実際に、この夏に筆者が新聞記事で確認した農作業中の熱中症の死亡事故は、いずれも70歳以上の方々のものでした。

 平成14年8月コラムにも熱中症対策のヒントが書かれていますが、特に高齢の方は、暑さや水分不足を感じる機能や、暑さに対して体を調整する機能が低下すると言われています。農作業では熱中症のリスクが高いということを肝に銘じて、作業する本人の注意だけでなく周囲で互いに気を配り合うことも含め、正しい対策を行ってください。また、指導員の皆様からも十分な声かけ、情報提供を行っていただきますよう、お願いいたします。

 

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