細菌運動の驚くべき現象

細菌の遊泳運動

多くの細菌がらせん形のべん毛を回転させて水中を遊泳できる(ビデオ「細菌の遊泳」)。べん毛を回転させる原動力を発生しているのは、べん毛の根元にあるべん毛モーターである。この微小で複雑な構造物がどのようにして構築されるのか、工学者からたいへん興味をもたれている(ビデオ「べん毛の構築」 from Homepage of BLAST IV meeting)。

Vibrio alginolyticus の蛍光顕微鏡写真
べん毛モーターの模式図
作成:山下一郎氏(松下電器)

  

マジック:抵抗が大きいほど速く泳ぐ

抵抗が大きくなると、一般に運動性は低下する。ところが、溶液粘度が高くなるとかえって細菌遊泳速度が上昇するという現象が報告されている。この常識に反した現象はこれまで説明することができず、さらに細菌運動のほかには似たような現象も見つかっていない。

溶液粘度と遊泳速度の関係(実験結果)
Bacteria: Pseudomonas aeruginosa
Polymer: Polyvinylpilloridone
Source: Schneider & Doetsch (1974) J. Bacteriol. 117, 696-701.