多くの細菌はらせん形のべん毛を回転させて自力で水中を泳ぐことができる。べん毛自身は単なるスクリューで、その根元にあるべん毛モーターが回転力を発生している。推進メカニズムはこのように単純で、特に精密な制御もおこなわれていないと思われるが、溶液粘度が高くなると(つまり、抵抗が大きくなると)かえって速く泳げるようになる場合がある。この驚くべきマジックの種は溶液の微細構造と関係があると考えられる。この発表では、溶液の微細構造が細菌遊泳速度に大きな影響を与えるメカニズムに関する「スケーティングバクテリア仮説」を解説する。