細菌のマジック

抵抗が大きいほど速く泳げる理由

独立行政法人食品総合研究所
曲山幸生

多くの細菌はらせん形のべん毛を回転させて自力で水中を泳ぐことができる。べん毛自身は単なるスクリューで、その根元にあるべん毛モーターが回転力を発生している。推進メカニズムはこのように単純で、特に精密な制御もおこなわれていないと思われるが、溶液粘度が高くなると(つまり、抵抗が大きくなると)かえって速く泳げるようになる場合がある。この驚くべきマジックの種は溶液の微細構造と関係があると考えられる。この発表では、溶液の微細構造が細菌遊泳速度に大きな影響を与えるメカニズムに関する「スケーティングバクテリア仮説」を解説する。

━━━━ 本文 ━━━━

細菌運動の驚くべき現象

溶液の微細構造

スケーティングバクテリア仮説の提案

スケーティングバクテリア仮説による予測

まとめ

━━━━ 付録 ━━━━

リンク集

用語集

スケートとスケーティングバクテリア仮説の類似

運動方程式の解法