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2013年07月16日
家畜排せつ物の管理・処理過程から発生する温室効果ガス (GHG)は、畜産排出の51%に達すると算定され、削減が求められています。しかし、家畜排せつ物は畜種や飼養形態などによって管理条件が多様であるため、技術改善によるGHG削減は容易ではありません。
しかし、生産性を損なうことなく排せつされるふん尿中の窒素量が削減できれば、強力なGHGである一酸化二窒素 (N2O)排出量を低減することができます。以上の背景から、窒素排せつ量低減技術である肥育豚への低蛋白質飼料給与のGHG削減効果を調べました。
慣行飼料(「慣行」)に対しアミノ酸添加低蛋白質飼料(「低CP」)を給与することで、飼養成績に影響することなく肥育豚の総窒素排せつ量が 29%低減できます。「低CP」および「慣行」について、ふんは強制通気型堆肥化、尿汚水については活性汚泥法を用いた浄化処理を行い、発生するGHGを測定すると、「低CP」のGHG発生が浄化処理では43%、ふん尿処理全体では39%削減されます。子豚や繁殖豚を含め、また「低CP」で追加されるアミノ酸製造のプロセスを加えても、「低CP」のGHG排出量は「慣行」のそれと比較して20%の削減となります(図)。さらに「低CP」においては、温室効果ガス排出量削減に加え、窒素排出量が低下するため富栄養化への影響も大きく削減できます。
現状では本技術導入によりコストは増加しないと試算されており、本技術の普及が期待されます。
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