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コラム

2014.08.29 宮ノ下明大
夏バテするノシメマダラメイガ


この夏も35℃を越える猛暑日がありました。暑くなると、昆虫は活発になると思うかもしれません。
しかし、種類ごとに最適な温度があり、それを越えて高くなると、昆虫の身にも様々な悪い影響(高温障害)が出ます。つまり、昆虫も夏バテを起こすのです。

今回のコラムでは、食品害虫として知られるノシメマダラメイガを例に、この夏バテとは実際どういうことか、ジョンソンら(1992)の論文から紹介したいと思います。

この論文は、ノシメマダラメイガを粉砕した様々な餌(小麦ふすま、アーモンド、ピスタチオ、クルミ)を用いて、25℃、28.3℃、31.7℃、35℃の4段階の温度で飼育し、発育に関する様々な性質を調べたものです。

【卵のふ化率】
卵のふ化率は、25℃から35℃の間では温度による大きな差はありませんでした。

【生存率】
生存率%
小麦ふすまを餌として発育した場合、卵から成虫までの生存率は、25℃では85.8%、28.3℃では93.8%、31.7℃では92.4%、35℃では87.6%でした。
35℃では若干生存率が落ちます。
アーモンド、ピスタチオ、クルミでは、35℃はかなり生存率が低下しました。

【発育日数】
発育日数
小麦ふすまを餌とした場合、卵から成虫までの平均発育日数は、25℃では28日、28.3℃では22.6日、31.7℃では20.2日、35℃では25.1日でした。
35℃になると31.7℃よりも発育に時間がかかってしまうのです。
アーモンドやピスタチオでも同様の傾向がありました。

【次世代の成虫数】
次世代成虫数
小麦ふすまを餌に発育した雌雄ペアからの次世代の平均成虫数は、25℃では280匹、28.3℃では328匹、31.7℃では339匹、35℃では0匹でした。
35℃では全く子孫を残せないのです。この理由は、高温により雄の精子の発達が阻害されてしまうからと考えられています。
アーモンドやピスタチオでも全く同じ結果でした。

上記の実験結果をみると、35℃の高温はノシメマダラメイガ幼虫の発育を遅らせ、生存率も低下させます。さらに、精子の発達を阻害し次世代の成虫数を0にするのです。これは、夏バテよりも深刻な状態です。

現実には、35℃が長期間続くことは考えにくいですが、私達の言う猛暑日は、ノシメマダラメイガにとってもストレスといえるでしょう。


 
参考文献
  • Johnson, J. A., P. L. Wofford and L. C. Whitehand (1992) Effect of diet and temperature on development rates, survival, and reproduction of the Indian meal moth (Lepidoptera: Pyralidae). J. Econ. Entomol. 85: 561-566.


 
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