2008年11月28日、新宿明治安田生命ホールにおいて、「未来につなげよう 安全な農業と環境」 をテーマとして、農業環境技術研究所 研究成果発表会2008 が開催されました。
この成果発表会は、農業環境技術研究所の最新の研究成果を、講演とポスター発表でわかりやすく紹介し、多くの方々に、農業と環境に対する理解を深めていただき、ご意見をいただく機会としているものです。研究所の独法化後2年ごとに開催しており、今回は4度目の開催です。
当日の参加者は207名で、一般の方42名、農林水産省など行政組織から20名、企業・団体から91名、大学から5名、国公立・独法などの試験研究機関から15名にそれぞれ参加いただきました。
発表会では、まず九州大学大学院の矢原徹一教授による特別講演 「生物多様性の保全と私たちの未来」 が行われました。日本を含む世界の生物多様性の損失の状況が紹介された後、九州大学の新キャンパス移転時の生物多様性保全事業を例にとって、保全と開発の両立の可能性について、その際の科学の役割について、未来ビジョン構築における価値観の重要性など、興味深い問題提起がありました。
引き続いて農業環境技術研究所の研究成果の紹介に移り、 地球温暖化がコメの収量に及ぼす影響、 関東地方における120年前と現在の農業利用を地図上で比較できる 「歴史的農業環境閲覧システム」、 外来植物のまん延による日本の自然環境への影響、 植物の葉の表面に生息している生分解性プラスチック分解菌の発見とその利用、 植物の力を利用した土壌環境の修復などに関する発表が行われました。
それぞれの講演の後には質問・意見が出され、里山の保全における経済原理の導入や農耕地における外来生物侵入に伴う問題点などについて、活発な議論が行われました。
なお、講演内容の詳細については、農業環境技術研究所公式Webサイト の、農業環境技術研究所 研究成果発表会2008 講演要旨( http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/sinfo/sympo/h20/1128/proceeding.html ) をごらんください。
農業環境技術研究所は、成果発表会以外にも、毎年1回、4月の科学技術週間のなかの1日を使って、所内を一般に公開しています(2008年4月の一般公開)。また、日時や人数を前もってお知らせいただければ、研究施設や展示室を見学いただけます。今後とも農業環境技術研究所の研究活動へのご意見をいただきますよう、お願いします。
ポスター会場
特別講演(矢原徹一 九州大学大学院教授)