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農業と環境 No.129 (2011年1月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

農林水産技術会議事務局 「2010年農林水産研究成果10大トピックス」
農環研の研究成果 「土壌洗浄法によるカドミウム汚染水田の実用的浄化技術を確立 ―低コストで水田土壌のカドミウムを除去」 が第9位に

2010年12月16日、農林水産省農林水産技術会議が 「2010年農林水産研究成果10大トピックス」 を発表しました。これは、農業技術クラブ (農業関係専門紙・誌など29社加盟) の協力により、この1年間に報道された農林水産研究の成果から、内容に優れるとともに社会的関心が高いと考えられる成果10件を選定したものです。

選定された研究成果は次のとおりです。

2010年農林水産研究成果10大トピックス

  1. 天然資源に依存しないウナギの生産に道を開く、世界初の「ウナギの完全養殖」に成功!(水産総合研究センター)
  2. イネ収量増加遺伝子の発見 ―穀物増産を通した食糧危機回避へチャレンジ―(名古屋大学)
  3. 米粉100%(グルテン不使用)パンの新しい製造技術を開発 ―食料自給率向上・米粉需要拡大への貢献―(農研機構食品総合研究所)
  4. 水稲種子にモリブデン化合物をまぶすことにより直播での苗立ちが改善 ―簡易で低コストな水稲の直播技術を開発―(農研機構九州沖縄農業研究センター)
  5. 「コシヒカリ」の全ゲノム塩基配列解読 ―日本のおコメの起源と変遷が明らかに―(農業生物資源研究所)
  6. 由来の確かな牛卵子の超低温保存技術による子牛の生産、国内で初めて成功(佐賀県畜産試験場)
  7. 主要マメ科作物ダイズのゲノム解析に貢献 ―有用作物ダイズの学術研究や品種改良の効率化に期待―(理化学研究所など)
  8. 電磁波殺菌とナノミストを用いた青果物の高鮮度輸送技術の開発(九州大学など)
  9. 土壌洗浄法によるカドミウム汚染水田の実用的浄化技術を確立 ―低コストで水田土壌のカドミウムを除去―(農業環境技術研究所など)
  10. 「砂糖・エタノール複合生産プロセス」を開発! ―実験プラントでの実証に成功し、実用レベルでの検証へ―(アサヒビール(株)、農研機構九州沖縄農業研究センター)

農業環境技術研究所の研究成果からは、「土壌洗浄法によるカドミウム汚染水田の実用的浄化技術を確立 ―低コストで水田土壌のカドミウムを除去―」 が第9位に選ばれました。

この成果は、農業環境技術研究所が、長野県農業試験場、富山県農林水産総合技術センター、新潟県農業総合研究所、福岡県農業総合試験場、太平洋セメント株式会社と共同で開発した、カドミウム汚染水田の土壌を現場で浄化する技術です。

汚染水田に水と塩化鉄を入れてカドミウムを溶出させ、汚染排水を処理することで除去します。栽培米に含まれるカドミウム濃度を、無処理の場合と比較して、70〜90%程度低下させることができます。現行の対策である客土と同等以下の費用で実施でき、採土による環境影響がなく農地土壌の生産性への影響も少ないのが特長です。

(参考)

・ プレスリリース (2010年8月19日 農業環境技術研究所)
「土壌洗浄法によるカドミウム汚染水田の実用的浄化技術を確立 ―低コストで水田土壌のカドミウムを除去―」

農環研ニュース 88号 (2010年10月 農業環境技術研究所)
土壌洗浄法でカドミウム汚染水田を浄化 (PDFファイル)

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