2月23日(水曜日)、農林水産技術会議筑波事務所 農林ホールで、第28回土・水研究会 「温暖化緩和策と土・水圏の物質循環研究の接点」 を開催しました。
農地からの温室効果ガスの発生とその緩和策の効果は、土壌圏・水圏のさまざまな機能や物質循環と密接に関係していることから、相互のトレードオフや相乗効果を明らかにして、総合的に評価することが重要と考えられます。今回の研究会は、温室効果ガス発生と土・水圏の物質循環にかかわる研究者が話題提供し、研究の現状と動向に関して情報を交換するとともに、今後の連携について意見を交換しました。
日時: 2011年2月23日(水曜日) 10:00−17:00
場所: 農林水産技術会議事務局 筑波事務所 農林ホール
主催: 独立行政法人 農業環境技術研究所
参加者: 212名 (政府関係者5名、地方自治体87名、大学・民間37名、独法研究機関41名、農環研42名)
主要なプログラム:
1. 農耕地土壌から発生する亜酸化窒素と削減技術の評価
農業環境技術研究所 秋山博子
2. 窒素溶脱・流出に伴う亜酸化窒素の間接発生:定量化と要因解明
農業環境技術研究所 南川和則
3. 農地土壌における水・有機物管理によるメタン発生制御
農業環境技術研究所 須藤重人
4. 農地土壌の炭素蓄積に関する国内外の研究動向
農業環境技術研究所 白戸康人
5. 有機物などの長期連用が土壌炭素含量におよぼす影響 −土壌環境基礎調査基準点調査データベースを活用した解析−
中央農業総合研究センター 太田 健
6. 畑地における有機物施用と窒素環境負荷
岡山大学大学院環境学研究科 前田守弘
7. カバークロップの炭素貯留機能と窒素動態
茨城大学農学部 小松崎将一
総合討論では、硝化抑制剤が一酸化二窒素の発生抑制に加え、被覆肥料などの利用も含めて肥料効率の向上が期待できるかどうか、堆肥を連用した場合の環境負荷を考えることの必要性などが話題となりました。
前者に関しては意見が分かれましたが、被覆肥料などの特性に応じた利用法が守られていないなどの問題が指摘されました。
後者に関しては、土壌物理性の改良のみを目的とした低養分堆肥の紹介や、養分の面から堆肥投入量を適正化するための規格、作付体系を含む総合的な農地管理、および温室効果ガス発生と炭素蓄積、養分溶脱を含んだ総合モデルの開発の必要性などが指摘されました。
研究会終了後も、講演者と参加者で活発な意見交換が行われ、今後さらなる連携が進むことを期待します。
写真1 会場(つくば農林ホール)のようす
212名の方に参加いただきました
写真2 総合討論
会場との間で熱心な質疑が行なわれました