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情報:農業と環境
No.38 2003.6.1

No.38

・賞品:「情報:農業と環境」のアクセスが
      123,456回目の方に!

・平成15年度農業環境技術研究所評議会が開催された

・この国の水問題

・農業環境技術研究所案内(8):
     20年経過した無肥料・無農薬・不耕起圃場

・紫外線照射による松葉からのNOx発生

・ダイオキシンを脱塩素化する嫌気性細菌の同定

・侵入植物の病原ウイルス・菌類の減少と害草化

・欧州人の入植後にグレートバリアリーフ内部への
     堆積物の流入が増加したことを示すサンゴの記録

・産業革命以前におけるダイオキシンとフランの発生源

・冬期の水田管理と水鳥の保護

・本の紹介 116:ダイオキシン−神話の終焉−、
     シリーズ;地球と人間の環境を考える 02
     渡辺 正・林 俊郎著、日本評論社(2003)

・本の紹介 117:講座「文明と環境」、第3巻、農耕と文明、
     梅原 猛・安田喜憲編集、朝倉書店(1996)

・本の紹介 118:地域生態系への回帰、
     −急傾斜地に樹林を復元する新しい理念と戦略−、
     丸本卓哉・河野憲治編著、文一総合出版(2003)

・資料の紹介:Greenhouse Gas Inventories for Agriculture
     in the Nordic Countries,
     Eds., S.O. Petersen and J.E. Olesen
     DIAS report Plant Production no.81(2002)

・研究、技術開発およびデモンストレーションのための個別計画
     「欧州研究圏の統合、強化」(2002-2006)の決定
      −その2−


 
 

賞品:お見逃しなく!
「情報:農業と環境」アクセスが123,456回目の方に
 
 
 「情報:農業と環境」は、国の内外の農業と環境にかかわる情報をお知らせするページとして、平成12年5月1日に開設されました。その後、毎月1日に、読者のみなさまに最新の情報を提供し続けて、今回で38号になりました。この間、3年以上の歳月が経過しました。最初の1ヶ月のアクセスは676件でしたが、半年経過した7月には、月1,412件に増えました。1年経過した平成13年の5月には、月2,839件に上昇しました。その後も、アクセス数は上昇し続け、昨年1月には月4,696件にもなりました。さらに若干の浮き沈みはありますが、昨年7月からは、1ヶ月あたり5,000件前後のアクセスが続いています。アクセス件数がもっとも多かった月は本年の1月で、8,455件でした。
 
 その結果、アクセス件数は今や11万件を超えています。そこで、今回は123,456件目の方に記念品を差しあげることを計画しました。記念品は、農業環境技術研究所の名前が入ったTシャツとペンシルです。
 
 「情報:農業と環境」の画面の右肩にアクセス番号が表示されていますので、ここに、0123456の数字が表示された方は、以下のところにその複写をお送りください。記念品をお送りします。あわせて、当所が年4回発行している「農環研ニュース」も次号からお送りします。
 

複写送付先 農業環境技術研究所 企画調整部 研究企画科長 谷山一郎
    305-8604 茨城県つくば市観音台3-1-3
     TEL 029-838-8180 FAX029-838-8199
     e-mail: erosion@affrc.go.jp

 
 

平成15年度農業環境技術研究所評議会が開催された
 
 
 平成15年度の独立行政法人農業環境技術研究所評議会が、4月23日に農業環境技術研究所において開催された。この評議会は、第1回 (平成13年11月16日)第2回(平成14年5月24日)に続く第3回である。評議会の内容は以下の通りである。
 
評議会議事次第
 
日 時:平成15年4月23日(水)13:00〜17:00
場 所:農業環境技術研究所大会議室および理事長室
 
議事次第:
開会あいさつ
平成14年度評議会における指摘事項とそれに対する対応
平成14年度の所の業務実績報告
主要研究成果紹介
1.キセニアを利用したトウモロコシ交雑率の簡易調査法
2.水田の間断灌漑水管理・慣行施肥管理は水稲栽培期間中のメタンと亜酸化窒素の発生をともに抑制する
3.日本野生植物寄生・共生菌類目録の作成とWeb上での公開
4.飼育昆虫・ダニ類データベースの作成とWeb上での公開
5.イネは土壌からダイオキシン類を吸収しない
6.メダカを使って化学物質の内分泌かく乱作用を簡易に検定する
業務実績に関わる総合評価
講評
閉会あいさつ
 
評議会メンバー
  [評議員]
  永田  徹   前茨城大学農学部教授
  中村 雅美   日本経済新聞社科学技術部編集委員
  木村 眞人   名古屋大学大学院生命農学研究科教授
  小川 吉雄   茨城県農業総合センター園芸研究所長
  藤田 和芳   大地を守る会会長
  合志 陽一   独立行政法人国立環境研究所理事長
  三輪睿太郎   独立行政法人農業技術研究機構理事長
  (代理   梅川 學 中央農業総合研究センター環境保全型農業研究官)
  田中  潔   独立行政法人森林総合研究所理事長
  山田  久   独立行政法人水産総合研究センター瀬戸内海区水産研究所長
  西郷 正道   農林水産省大臣官房企画評価課環境対策室長
  [オブザーバー]
  安中 正実   農林水産省農林水産技術会議事務局研究開発課長
 
 
開会あいさつ (独立行政法人農業環境技術研究所 理事長 陽 捷行)
 
(要約)
 たいへんお忙しい先生方に、私どもの研究所のために来ていただきまして心からお礼申し上げます。私どもは評価される側で、若干緊張しておりますが、先生方にはぜひ忌憚(きたん)のない評価をいただいて、この研究所をいい研究所にしたいと一同考えておりますので、よろしくお願いします。
 
 お手元にあります今日の評議会資料は、所内でずいぶん時間をかけて作ってきたものです。その資料は今日の評価結果とあわせて独立行政法人評価委員会につなげるつもりですので、今日の先生方の評価は、私どもにとってはたいへん重要であります。
 
 前回にも申し上げましたが、独立行政法人になってから、「公共性、自主性、透明性」ということに心がけてきました。それから、「安心・安全、ブレーキ(あるいは制御)、次世代への環境資源の継承」を、われわれのキャッチフレーズにしています。研究面では、「国際、学際、地際」という言葉を使っておりまして、環境研究ではこの3つを意識しなければいい仕事ができないと思っております。いま申し上げました「公共性、自主性、透明性」と、「安心・安全、ブレーキ、次世代」と、「国際、学際、地際」を中心におきながら、この1年間仕事をしてきました。
 
 その成果は、いろいろなところに現れています。昨年4月の研究成果発表会の開催、7月の中国科学院南京土壌研究所とのMOU(協定覚え書き)の締結、この3月の日中韓の国際シンポジウム開催などがその例であります。
 
 また、今日も評議員として来ていただいている森林総合研究所と瀬戸内海区水産研究所との合同発表会やダイオキシンに関する国際会議も開催しています。さらに、昨年度、環境研究機関連絡会を作りました。農業環境技術研究所は、今年の代表幹事を務めています。この連絡会には、環境研究をする全日本の研究機関が10所参加しております。そこで、今年の7月に10所合同の成果発表会を開催することになりたいへん喜んでおります。そのような発表会を開催することが「国際・学際・地際」の成果であります。
 
 独立行政法人になって、はやくも2年が過ぎ、3年目に入り、研究シーズの探索を始めております。また、そのために組織をどのようにしたらよいか、新たな機械や設備をどのように整備したらよいかを考え始めています。職員にとっては寝耳に水で、第1期計画の5年のうちのまだ2年しかたっていないのに、もうそんなことを言うのかという声もありましたが、予算や組織の検討や準備には2〜3年を要しますので、部長・センター長・グループ長に、この秋までに第2期計画の5年間に何をすればよいかという宿題を出しているところです。
 
 昨年先生方に指摘していただいたことについては、後ほど企画調整部長からその対応状況を説明させていただきます。若手研究員の確保についても対応しております。研究成果のインターネットでの公開については、後ほど農業環境インベントリーセンター長が説明します。目配りが必要な研究領域に配慮する必要があるということについても対応していますし、分析など地道な仕事の評価についても若干検討しています。農作物の安全配慮についてもダイオキシン類の問題等でやっております。先生方が要求されたことについては、それぞれ努力しております。後ほど別の部屋で評価をしていただくときに、そのような話も加えながら評価していただきたいと思います。
 
 以上長くなりましたが今から私どもの1年間の成果を検討いただき、将来のためになるような評価をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
 
評議員からの主な意見
 
●評議会の開催の仕方がよく工夫されていた。
●農業環境技術研究所の研究テーマは基礎的研究だけでなく、行政的対応を求められる場面も多い。しっかりしたデータに基づいた技術を提示してほしい。
●研究推進費を、外国出張や留学、国際シンポジウムの開催、法人プロジェクトの実施および研究助手の雇用などに工夫していることに感心しました。
●公募型プロジェクトへの応募課題を審査委員会で十分検討して出されているとのことで、見習いたい。
●設計の検討、成績・計画の検討、さらに計画の再修正がシステマチックで、適切に評価されている。
●研究の進捗状況だけを評価するのではなく、質的な評価も必要である。質的評価としては査読論文数等になりがちだが、インベントリーや分析またはモニタリング等の業務については論文のみにたよらない評価が必要である。
●原著論文以外にテーマに沿った総説を農業環境技術研究叢書という形で出版し、成果の普及に努力されていることに感心しました。
●長い期間を必要とするモニタリング研究は研究所の足腰と考えている。次回に紹介していただきたい。
●この評価票に出てこない部分、例えばJCO事故、ヒ素やカドミウムの問題で農環研は非常に役に立っている。この部分を評価するような評価方法があっていい。
●昨年度の評価に対してきちんと対応していただいていると感じました。
●農業環境技術研究所のミッションの達成に対する評価が必要である。また、評価票には、昨年に比べて今年どれだけ努力したかが判断できるトレンドを記述してほしい。
●中国や韓国の研究機関とMOUを締結したことは、農業環境技術研究所がイニシアチブをとって、明確な方向性を示していると評価できる。
●農業と環境を研究している外国の研究機関が、軸足をどのような分野に置きつつあるのかを調べる必要がある。
●農業環境技術研究所のミッションは地味なところがあるが、民間企業との共同研究によって、民間への技術移転に努力してほしい。
 
 

この国の水問題
 
 
はじめに
 「情報:農業と環境 」のNo.34で、「水不足と地下水汚染」についてまとめた。そこでは、「世界の貴重な水を使って生産した食料をかき集めてくる生き方を、真摯に反省する時がきた。」と、書き始め、人口増加と灌漑、世界の水資源、灌漑への依存、灌漑の危険性、灌漑と塩類土壌、灌漑の未来と対策、地下水の汚染、水の革命などについて解説した。先回の「水不足と地下水汚染」は、あくまでも世界の水利用の立場から記述した。今回は「この国の水」の視点から、水不足についてまとめた。
 
 この国には、古くから「水」にまつわる数多くの諺(ことわざ)がある。そのなかから、この解説にふさわしいものを挙げてみよう。「湯水の如く」、「水に流す」、「我田引水」、「覆水盆に返らず」、「智者は水を楽しむ」、「水は方円の器に随う」、「親の恩は返されても水の恩は返せぬ」、「餓鬼の目に水見えず」、「金を水のように使う」、「水の行方と人の行方は知れぬ」、「水は遊ばせ走らすな」、「天からの貰い水」など。
 
この国の水の現状
 わが国は一般的に、豊かな水に恵まれていると認識されているが、水の利用については実に厳しい水文および地文条件下にある。また、アジアも同様に水に恵まれていると考えられているが、決してそうではない。わが国の年間平均雨量は1714oもあるから、世界平均降雨量973oに比べるときわめて多いと考えられがちである。
 
 しかし、1人あたりの利用可能降水量は、世界の平均が2万2000mであるのに対して、わが国は5000mである。この値は、サウジアラビアやタイの半分、アメリカやインドネシアの5分の1にすぎない。わが国は一人あたりの降水量が非常に少ないうえに、雨の降り方や降った雨の流れ方に問題がある。たとえば、雨が降る月と降らない月がはっきりしている。また、芭蕉の句に「五月雨を集めてはやし最上川」(実際には、最上川は急流ではない)とあるように、わが国の地形は概して急峻であるため急流な河川が多い。つまり、河川の水は短期間で海に流れでる。その結果、河川の流水量の変動を表す河状係数は、非常に大きな値になっている。
 
 わが国の水文と地文は過酷な条件を有しており、幾世紀もの歴史を積み重ねている。その結果、日本列島を身体に例えれば、今では血管網のように水脈が国土を巡っている。これは、一朝一夕にできたものではなく、これまでの古人の努力の結果なのである。
 
 水文と地文を早くから考えた人に、例えば熊沢蕃山がいる。蕃山は、日本の儒教思想の伝統のなかから空間の思想をとりあげて、環境土木の哲学を創造した第一人者であろう。「土木事業を進めるにあたっては、環境への配慮を欠いてはならない」という思想である。
 
 蕃山の認識は、「山川は天下の源である。山はまた川の本である」ともいいかえられる。これは、「山林は国の本である」ということである。自然と人間社会の全体を、基本原理である陰陽の気の様態として説明するこの思想は、天地という広がりと四季の時間的変遷を枠組みとする一種の空間の哲学である。南方熊楠は、エコロジーの先駆者としての蕃山の文章を次のように引用する。
 
 「山川は天下の源なり。山又川の本なり、古人の心ありてたて置きし山沢をきりあらし、一旦の利を貪るものは子孫亡るといへり。諸国共にかくのごとくなれば、天下の本源すでにたつに近し。かくて世中立ちがたし。天地いまだやぶるべき時にもあらざれば、乗除の理にて、必乱世となることなり。乱世と成りぬれば、軍国の用兵糧に難儀することなれば、家屋の美堂寺の奢をなすべきちからなし。其間に山々本のごとくしげり、川々むかしのごとく深く成事なり。」「集義外書、巻三」
 
 「山林とそこから流れでる河川は、天下万物を育む生命の源である。にもかかわらず、経済の論理を優先して利のために山の木を切り倒してしまえば、山は水を出さなくなり、川は枯れ果てる。天下の本源というべき山と川が荒廃すれば、天下は必ず窮してその結果乱世となる。乱世となれば、戦争のために多くをとられ、木を切り倒して豪邸や豪壮な寺院を造る余裕もなくなる。木々が切られることがなくなるので、この間に山々の木々は元のように生い茂る。川にも満々たる水が湛えられるようになるだろう。蕃山はこのような逆説を悲観的に語っている。」。日本の水と農業と環境を考える者にとって、蕃山の言葉や行動は、考えさせる多くの内容を含んでいる。
 
水の国際化
 20世紀を定義づける特徴は成長であった。この成長の物語は人口に始まった。この人口の増加によって、21世紀に生きるわれわれが直面している限界のある問題は、誤解を恐れず大胆に言えば、水と土壌と大気とオゾン層である。いまは、この水の問題を語っている。21世紀は水の世紀なのである。それは水の国際化を意味する。すなわち、人類に水欠乏の危機が押し寄せ、そのことが国際紛争にまで発展する危険信号が点灯していることを意味する。
 
 当たり前のことであるが、日本に国際河川は存在しない。しかし、世界の陸地総面積の約45%は国際河川流域である。河川をまたいで水の国際紛争が世界のいたるところで発生しているが、われらが日本人はそれに刺激されることは少ない。島国に住む人としての性であろう。
 
 われわれが使う水は、すべてこの花さい列島に降り注ぐ雨と雪によってもたらされる。これは島国ならではの特徴である。国際河川がない国では、水によって他国と争いを繰り広げる必要はない。そのため、安心して自国だけで水資源計画や治水計画を樹立することができる。
 
 しかし、グローバリゼーションがさまざまな分野で進行しているなかで、水もその例外ではない。輸入や輸出という「物」の動きのなかで、水は地球上を流転しているのである。このことは、すでに前世紀から始まっており、今世紀にいよいよ激しくなったにすぎない。地球上において、水は国境を越えて日夜大量に移動しているのである。
 
 日本の食料自給率はエネルギー換算で41%である。木材の自給率は20%にすぎない。有事に備えるべくこの自給率を向上させることは、わが国の悲願である。60%および80%に相当する輸入食料および木材には多量の水が含まれている。その水は河川にある水のように、われわれの目には直接見えない。輸入している農産物や木材を生産するために、輸入元の国では大量の水を消費しているのである。それらの輸出国の水が不足すれば、自国の食料や木材のために水を優先させることは、自明の理である。当然、わが国への農産物と木材の輸出を減らすことになろう。
 
 このように、水の国際化は確実にこの国に影響を及ぼしつつある。それにしては、水の問題に対するわれわれの自覚と感性は乏しいといわざるをえない。この問題がもたらすさまざまな影響に鈍感でありすぎる。
 
 かつて、水は生活と共にあった。しかし、都市化、工業化および農業の集約化は河川や湖沼の水質を低下させた。低下した水を健全な水に快復させるために、さまざまな装置と多額な費用が必要になった。水はしだいに、身近な手もとにある自然ではなくなっていった。生活とともにはなく、製造するものとなり、そのうえ高価で貴重な資源になった。近代化がもたらしたわれわれと水の乖離(かいり)ともいえる時代になった。水は「天からの貰い水」ではなくなり、「湯水の如く」使ってはならない貴重な資源となった。
 
 このような地球規模での水の変動と危機を迎えて、われわれ日本人は水についてどのように対処すべきなのか。
 
水の大量輸入
 わが国が輸入している大量の食料には、莫大な水が含まれている。表現を変えれば、わが国は近隣諸国から食料生産のために費やされた水と、輸入食料に含まれる水を輸入していることになる。この種の水は、一般に使用している農業、工業、生活用水のような直接利用とは異なるので、間接水または仮想水と呼ばれている。
 
 わが国が輸入している間接水の解析によれば、工業製品も含めた総間接水輸入量は、年間約744億mと見積もられている(表1)。水資源白書によれば、日本の1999年の年間水使用量は、農業用水579億m、生活用水164億m、工業用水135億m、合計878億mであるから、上述した間接水輸入量は、直接水使用量の85%にもなる。輸入量は、アメリカ合衆国から427億m、オーストラリアから105億mであり、この2国だけで総輸入量の72%を占める。理由は、両国から大量の牛肉を輸入しているからである。牛肉の水消費量は、豚肉や鶏肉と比べても圧倒的に大きいのである。
 
表1−日本が輸入している間接水の国別輸入量(億m/年)(高橋、2003)

 

 
アメリカ
合衆国
オースト
ラリア
中国
 
カナダ
 
その他
 

 

 
  農作物 333 33  7 40  80 493  
  畜産物  91 72 10 11  57 241  
  工業製品   3  2  1   4  10  
  合 計 427 105 19 52 141 744  
 
 家畜生産に至るまでの間接水の計量は必ずしも容易ではないが、標準的な牛などについては下記の仮定に基づいて計算している。すなわち、家畜が生涯に消費した飼料を、その農作物の水消費原単位(単位重量をつくるのに必要な水)を用いて水資源総量としている。牛肉に関しては、全飼育期間(肉牛2.5年、乳用牛7年)の粗飼料(牧草)は、約1230s/頭、濃厚飼料(主として穀物)約5000s/頭、合計約6230s、畜産用水は乳牛135リットル/頭・日、肉牛50リットル/頭・日、牛の平均体重は処分時点で肉牛680s、乳牛755sとし、歩留まり率(牛の体重のうち肉として得られる割合)は、和牛(主として肉用、枝肉63%、精肉45%)、国産牛(主として乳用、枝肉63%、精肉45%)とする。牛肉の場合、水消費量がけた外れに大きい。これは、牛は生育期間が長く、単位肉量あたりの消費飼料量が大きく、そのうえ飼料の水消費原単位が大きい小麦を多く使うからである。
 
 この水消費原単位に、日本の1996〜1998年の3年間の国別畜産物輸入量を乗じて輸入相手国別畜産物間接水フローを推定し、畜産物輸入に伴う国別の間接水輸入量が計算される。農産物に関わる水の輸入量に関しては、1996〜1998年の3年平均国別穀物輸入量にそれぞれの穀物の水消費原単位を乗じて推定量が計算されている。日本の穀物輸入の大部分はアメリカ合衆国であるため、間接水輸入量もまたアメリカ合衆国がとくに多い。
 
表2−日本の間接水輸入品目別百分率(%)(高橋、2003)
    小麦 大豆 トウモロコシ 牛肉 豚肉 その他  
  輸入品目別シェア 18 16 22 21 17  
 
 工業製品に伴う間接水の場合、日本からの輸出が輸入よりも大きいが、ここでは輸入による間接水のみを計算している。ただし、工業製品の貿易に伴う間接水の移動は、農作物や畜産物と比べ、けた違いに少ない。
 
 表1は、農作物、畜産物、工業製品の間接水輸入量を合計して国別にまとめたものである。表2は、この輸入間接水を品目別の割合で示したものである。トウモロコシと牛肉の占める割合が大きい。なお、木材の輸入による間接水はこの表には含まれない。
 
 他の推定値によれば、わが国の主な輸入農産物のコメ(74.9万トン)、綿製品(50.1)、豆類(506.6)、牛肉(97.4)およびトウモロコシ・麦類(2758.9)の生産に必要な年間の水量は、それぞれ、18.7、25.1、50.7、68.2および275.9億立方メートルである。合計は438.6億立方メートルになるが、この値は表1に示された農作物および畜産物の合計734億立方メートルに比べると少ない。その違いは、計算方法や農産物の種類にあると思われる。
 
日本人と水 −これから−
 われわれは、はるかな中世から水の恩恵を受けながら水に悩まされ続けてきた。しかし、とくに20世紀後半の50年間、水と河川を制御し洪水を封じることに成功した。モンスーンアジアという風土のなかで、洪水を封じ込める治水事業を展開し、稲作のための水管理事業を発展させ、近代的な上下水道を全国津々浦々に施工してきた。それらはわれわれの生活を豊かにしたが、その副作用を受けることになった。治水の安全度は確保したものの、河川・湖沼などやその周辺の生態系が狂ったのである。下水道の普及は達成したが、国民の水道水離れが進んだのである。
 
 水の国際化が着実に進行しているので、技術、行政および住民の意識の変革が必要である。従来の治水の考え方が変わりつつある。河川事業も大きく方向転換しようとしていることが、いたるところで見られる。ダム建設の問題はこのことにも関連している。河川事業に住民の意向を入れつつ、自然との共生をはかり、河川景観の保全・再生をはかることが今必要なのである。この事業のなかに、われわれがもっている水に対する感性をどのように取り入れるかが、今後問われるであろう。
 
 水の国際化は、わが国だけに都合のよい変革を許さない。日本人としての水の考え方を、きっちりと築き上げ、国の内外に問わなければならない。例えば、「湯水の如く」水を使ってはならない。汚染物を「水に流す」ことは禁止する。共同して水を使い「我田引水」は御法度。未利用の水は「覆水盆に返らず」の戒めを噛みしめる。「智者は水を楽しむ」如くよどみなく巧みに水を処理する。人間が生きていくうえで水は欠かせぬたとえの「親の恩は返されても水の恩は返せぬ」を忘れず。肝心なもの「餓鬼の目に水見えず」を教訓に。「金を水のように使う」とは水に失礼。「水の行方と人の行方は知れぬ」などは近代科学で解消。「水は遊ばせ走らすな」は学問と同じに「盈科而進(えいかじしん)」の精神。
 
生活水の倹約
 貴重な水をできるだけ倹約したい。次の数字は倹約のための参考になる。
★日本の標準家庭での主な水使用量(1日)
 入浴:64リットル、 台所:56リットル、 洗濯:44リットル、 トイレ:36リットル、 合計:200リットル
 
★歯磨き
 コップにくむと5リットルの節水。歯をみがくときに30秒間流しっ放しにすると約6リットルの水を使う。
 
★洗車
 バケツで210リットルの節水。車1台洗うのに、ホースからの流し洗いでは約240リットルの水を使う。バケツにくんで洗えば約30リットルですみ、約210リットルの節水になる。月に2回洗車した場合で約100円の節約になる。
 
★風呂
 水再利用で90リットル節水。一般家庭の残り湯は約180リットル。半分を洗濯、掃除、散水などに利用すれば約90リットルの節水になる。毎日行えば、月650円の節約となる。
 
★洗濯
 ためすすぎで55リットルの節水。洗濯はすすぎ方が節水のポイント。ためすすぎで洗濯すれば1回の使用水量は約10リットル。流しっ放しに比べ約55リットルの水が節約できる。毎日行うと、月約400円の節約になる。
 
水循環に関する研究の必要性
 世界の各地で水不足や洪水の被害が増大している。また、水質汚染や生態系のかく乱など水に関わる深刻な環境問題が頻発している。これらのことは前回紹介した。さらに、これらに起因する食料不足や伝染病のまん延など、その影響はとくに開発途上国においてますます拡大している。
 
 水の問題に関しては、急激な人口増加による水需要の増大や、都市開発、産業発展などの社会的な要因が背景にある。しかし、自然科学の立場からこの深刻な水問題をみれば、水による破局的な被害をもたらす要因のひとつは、水循環の大きな変動性にある。この変動性を解明しなければ、例え水利用や水処理の効率性が向上したところで、問題の本質を解決したことにはならない。すなわち、水循環変動の予測精度を向上させ、その情報を国際的に共有できるシステムを構築することが必要である。そのような研究は、水危機を回避するもっとも有望な手段のひとつである。
 
 今後、水計画および管理のための有効な情報となる新たなプロジェクトが必要である。そのためには、観測、プロセス理解、モデリングとこれら研究成果の実利用化に関して、ローカルとグローバルをつなぐ内容がある下記の研究が必要であると、小池(2003)は提案している。
(1)水循環現象をローカルからグローバルに統合的に観測するシステムの構築
(2)ローカルな水循環変動とより広域的な現象の相互関連プロセスの理解と定式化
(3)グローバルな水循環変動予測を流域スケールにスケールダウンする手法の開発
(4)高度水循環変動情報を水の実管理に利用できるように翻訳するシステムの開発
 
参考資料
1)中道 宏:第3回世界水フォーラムへの日本/アジアからの発信、ARDEC 26, 21-33 (2003)
2)高橋 裕:水の国際化と日本、科学、73, 202-206 (2003)
3)小池俊雄:地球水循環変動の理解と予測への挑戦−OECDプロジェクト−、科学、73, 218-223 (2003)
4)日刊工業新聞:「水の世紀」を考える(3)(4)3 (2003)
5)Minami, K. and H. Ohno: Mounting water deficits and groundwater pollution, Second AMAF +3 Symposium on Research and Development for Sustainable Agriculture, 25-26 February 2003, Phnom Penh, AICAF, 41-56 (2003)
 
 

農業環境技術研究所案内(8):20年経過した
無肥料・無農薬・不耕起圃場
 
 
 今ではたかだか面積500mに満たないが、農業環境技術研究所敷地の南西の端に、20年の歳月を経た「無肥料・無農薬・不耕起圃場」がある。この圃場(ほじょう)は、農業環境技術研究所が発足した1983年に、当時の環境資源部水質管理科の水質保全研究室と企画連絡室業務科の努力で設けられたものである。なお、ここの土壌は普通黒ボク土に属する。
 
 1984年当時の水質保全研究室の経常研究課題は、「土壌生物活動による水質保全浄化;土壌管理と土壌生物の組成」であった。その目的は、土壌が保有するさまざまな機能のなかで、生物による水質浄化能力を把握することにあった。この課題を解決するために、農耕地における土壌動物の現存量や組成を土壌の管理の面から把握しようとして設けたのがこの圃場である。
 
 この圃場は、かっては現在の2倍の面積で、次の4つの処理区からなっていた。A区:無施肥・無農薬・不耕起・被覆、B区:無施肥・無農薬・不耕起・無被覆、C区:施肥・農薬・耕起・不被覆、D:施肥・農薬・不耕起。ここで言う無施肥と無農薬は、字義どおり化学肥料と農薬を一切施用していない。不耕起は、一切耕さない。被覆は、作物を刈り倒しそのまま土壌表面に被覆する処理を言う。これらの処理区のうち、20年経過して現在も残されているのは、A区とC区のみである。
 
 なお、Marcel Dekker社のRattan Lal編著、Encyclopedia of soil science(土壌百科全書)では、不耕起(no tillage)について次のように解説されている。「不耕起は、土壌の表面に十分な作物残さを残し、主に土壌侵食を防止することが目的である。ほかにも、水の保全、環境保護、機材・エネルギー・労働力の削減および生産者への利益などに有益なものである。」
 
 この圃場が設けられてからの研究課題と圃場管理などを追ってみよう。昭和59年(1981)から平成元年(1989)にかけて「土壌生物活用による水質保全浄化:土壌管理と土壌生物の組成」が、昭和61年(1986)から平成2年(1990)にかけて「根圏におけるミミズの動態解明」が行われている。昭和56年(1981)から63年(1988)までの7年間、陸稲(ハタキヌモチ)および小麦(農林61号)が、それぞれ夏および冬作の作物として栽培されていた。なお61年度は、陸稲(ハタキヌモチ)−コムギ(農林61号)−ダイズ(エンレイ)の栽培体系であった。この間、ときおり農薬の影響がない落ち葉を堆肥にして施用していた。また、土壌のpH、水分、灼熱(しゃくねつ)損量、貫入抵抗の計測、NH−N、NO−N、トビムシ類、ヒメミミズ類、ダニ類、ササラダニ類の生息密度などが調査されている。
 
 これらの成果は、農業環境研究成果情報第5集、35-36 (1989)に掲載されている。情報名と成果の要約は次の通りである。
 
 「土壌管理と土壌動物の組成」:昭和59年(1984)から昭和63年(1988)にかけての4年間の陸稲−麦の栽培体系が、土壌動物組成に与えた影響を調査した。その結果、被覆・堆肥処理と不耕起処理の圃場では、大型土壌動物(ミミズなど)と中型土壌動物(ヒメミミズ、トビムシ、ササラダニ、その他のダニなど)の密度と種類が高まった。
 
 平成元年から平成5年(1993)は、陸稲(ハタキヌモチ)および大麦(カシマ)を交互に栽培した。A区には、近隣の神社などの落ち葉を集め、堆肥化したものを施用した。
 
 平成6年(1994)からは、大豆(ピケット)および大麦(カシマムギ)を夏冬交互に栽培し、現在に至っている。この間、所内とその近辺の落ち葉を収集・堆肥化し、A区に施用している。その後、平成8年(1996)から12年(2000)にかけて、環境生物部微生物管理科線虫・小動物研究室が「農耕地における土壌小動物の多様性とその評価」を、平成13年(2001)から17年(2005)にかけて、環境生物安全部微生物・小動物研究グループの線虫・小動物ユニットが「畑地およびその周辺に生息する線虫の種構成の解明」をそれぞれ研究課題にかかげ、この圃場を活用している。ここでは、圃場の捕食性線虫、細菌食性線虫、糸状菌食性線虫など線虫相が調査されている。なおC区の三要素施肥成分は、夏作に3−10−10、冬作に6−9−6(kg/10a)を使用している。A区には、夏作に約2〜3トンの落葉堆肥を施用している。
 
 これらの成果は、農業環境研究成果情報第18集、24-25 (2002)に掲載されている。成果の情報名と要約は次の通りである。
 
 「土壌線虫を指標とした黒ボク土畑における耕起の影響評価」:土壌線虫は、多種多様で季節を問わず数多く存在し、土壌の物質循環の調節機能を有しているので、種類および個体数の同定が重要である。海外では土壌線虫の種類と個体数から求められる Maturity 指標が、農耕地などのかく乱程度を表す数値として使用されている。この指標を利用して耕起と不耕起によるかく乱の影響を評価した。その結果、Maturity 指標と多様度指標は、黒ボク畑土壌における耕起および不耕起の評価に利用できることが明らかになった。
 
 この圃場は、すでに20年の歳月を経た。当所の貴重な研究財産である。環境保全型農業、持続的農業が叫ばれている昨今、この圃場の活用はますます重要になるであろう。
 
問い合わせ先 筒井 等(企画調整部業務科長)

 

 
 電話: 029-838-8452
 Eメール: i0400271@niaes.affrc.go.jp
 
 

紫外線照射による松葉からのNOx発生
 
Ultraviolet light and leaf emission of NOx: P. Hari et al., Nature, 422, 134
(2003)
 
 大気中のNOxは、大気の化学反応やエアロゾルの形成に大きな影響を与える。また、酸性雨の原因物質ともなる。酸性雨は、森林の衰退やpHの変化に伴う湖沼の生物の減少のみならず、歴史的建造物への被害などをもたらす。こうしたことから、NOxの地球規模の循環に関する知見は重要である。
 
 従来、植物は呼吸などに伴ってNOxを吸収すると考えられていたが、ヘルシンキ大学のP. Hari教授らのグループは、松の葉に紫外線(UV)が当たるとNOxが発生することを明らかにし、Nature誌(2003年3月13日号)に発表した。
 
 地球の高緯度地域の針葉樹林帯から発生するNOxの量は、交通機関や工場から発生するNOxの量と対比できる程度であると報告している。彼らは、特殊な箱に入れた松(Scots pine)の枝葉から発生するNOxの量を測定した。その結果、太陽のUV光を透過させる石英ガラスで覆った箱に入れた松からは、NOxが発生したが、UV光を通過させないプラスチックで覆った箱の場合は、NOxは発生しなかった。NOxの発生速度は、葉の表面1平方メートルあたり1ng/sのオーダーである。彼らは、NOxが発生するメカニズムはまだ不確定であるものの、大気中のNOx濃度に影響する程度の量が針葉樹林から発生していることは明らかであると述べている。
 
 この研究はNOxが車や工場からだけでなく、森林からも大量に発生している可能性を示唆し、そのメカニズムに太陽光の紫外線が関与していることを明らかにしたものとして注目される。
 
 

ダイオキシンを脱塩素化する嫌気性細菌の同定
 
Reductive dehalogenation of chlorinated dioxins by an anaerobic bacterium
M. Bunge et al., Nature, 421, 357-360 (2003)
 
 農業環境技術研究所は、食料と環境の安全性を確保するため、環境中の難分解性有機化合物を微生物の働きによって分解する技術(バイオメディエーション)の研究を行っている。ここでは、重要な環境汚染物質であるダイオキシン類を脱塩素化し、より毒性の低いものにする嫌気性細菌を、ドイツの研究者が同定したいう報告を紹介する。
 
(要約)
 
 ダイオキシンの中でもPCDDとPCDFは、残留性のある毒性の高い環境汚染物質として知られている。1976年にイタリアで発生した化学工場での爆発による周辺地域の汚染(セベソ事故)や、1999年5月にベルギーで起きた家畜飼料の汚染にはこれらの物質が関わっていた。
 
 PCDDとPCDFのうち、特定の場所に塩素原子が多くついた化合物は、とくに人体毒性と発がん性が高い。ダイオキシンは水に溶けないため、水中の泥や土の中にたまりやすく、そこは酸素のない嫌気的な環境である。このような場所でダイオキシンの毒性を下げる方法として、微生物による還元的脱塩素化が期待されている。だが、塩素原子を水素原子に置き換えるこの反応を利用して生活する細菌は、多様な系統に分化した嫌気性細菌の中でもごく限られた種類しか見つかっていない。
 
 これまで、堆積した泥の中で微生物によるPCDDの脱塩素化が起きていることが確認され、泥から採取した多くの微生物の混じった混合培養系で脱塩素化が観察されていたが、これを行っている微生物は特定されていなかった。
 
 著者らは、PCDD類とPCDF類でひどく汚染された河川の泥から採集した混合培養系から、ダイオキシンを脱塩素化するDehalococcoides属の細菌1種を単離することに成功した。また、クロロベンゼンを脱塩素化することが報告されていた同じ属の別の系統(CBDB1)が、特定のダイオキシンを脱塩素化することを確かめ、汚染環境の効率的なバイオレメディエーションの可能性を示した。
 
 

侵入植物の病原ウイルス・菌類の減少と害草化
 
Release of invasive plants from fungal and viral pathogens
C. E. Mitchell and A. G. Power, Nature, 421, 625-627 (2003)
 
 農業環境技術研究所は、生態系かく乱の防止や生物多様性の保全など生物環境の安全を図る研究を行っている。そのため、農業生態系における生物環境の安全に関係する最新の文献情報を収集しているが、今回は、侵入植物の有害性と病原体との関係についての論文の一部を紹介する。なお、侵入動物についての同様な論文(Natute 421: 628-630 )を、「情報:農業と環境 No.35 (http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/magazine/mgzn035.html)」にすでに紹介したので、関心のある方は参照願いたい。
 
(要約)
 
 侵略的な外来植物は侵入地域の植物の多様性をおびやかし、大きな経済的損害をもたらす。しかし、害草となるのは一部の侵入植物だけである。その理由として、2つの仮説が考えられてきた。1つは「天敵からの解放」仮説で、原産地域でその侵入生物を抑えていた天敵が、侵入地域にも分布するかどうかによるという説、もう1つは「生物的抵抗力」仮説で、天敵を含む侵入地域の生物相との相互作用によって、侵入生物が抑えられているという説である。
 
 この論文では、この2つの仮説を検証するため、欧州から米国への帰化植物のうちの473種について、欧州と米国における各植物の病原ウイルスおよび葉と花に寄生する菌類(さび病類、黒穂病類、うどんこ病類)を、各種のデータベースと文献で調査し、解析した。
 
 解析の結果、各植物に感染する病原体の数は、平均するとウイルスで24%、菌類で84%減少していた。さらに、病原体が大きく減少した侵入植物ほど、米国の多くの地域で有害侵入植物とみなされていた。これらの結果は、天敵からの解放仮説を強く支持している。
 
 一方、侵入地域(米国)での病原体の約半数は新たな病原体であり、その数が多い植物ほど、有害農業雑草に指定されている州の数は少なかった。この結果は、生物的抵抗力の仮説を支持している。
 
 以上から、侵入植物の有害度は、原産地域での天敵の減少と侵入地域での新たな天敵の増加によって説明できると思われる。ただし、十分な予測を行うには、他の有力な天敵である植食生物や根部の病害のデータ、あるいは各天敵の寄生率、地域内分布、植物にとっての重要度の情報が必要であろう。
 
 

欧州人の入植後にグレートバリアリーフ内部への
堆積物の流入が増加したことを示すサンゴの記録
 
Coral record of increased sediment flux to the inner Great Barrier Reef
since European settlement, M. McCulloch et al., Nature, 421, 727-730 (2003)

Dishing the dirt on coral reefs, J. Cole, Nature, 421, 705-706 (2003)
 
 河川堆積物の流出とバリウムの関係に注目した点で、オーストラリア国立大学のM. McCulloch らの論文はきわめて興味深い。300〜400年物のサンゴに含まれるバリウムは、淡水が海に流入したときに浮遊粒子から脱着され、そのあとカルシウムと炭酸塩でできたサンゴの骨格に取り込まれる。オーストラリアのグレートバリアリーフ内部への河川堆積物の流出は、1860年代の欧州人の入植以来、放牧や農業などに関連した土地の開拓によって5倍から10倍に増加したことが明らかになった。
 
 このような流出物の増加がもたらす影響については、まだ十分には分かっていない。しかし、この発見は、グレートバリアリーフが深刻な環境被害の危機に瀕しており、生物学的多様性や経済的価値が失われるのではないかという危惧をさらに増幅させる。世界中のサンゴ礁において、陸上から流出した堆積物が脅威となり得るという証拠が示されている。
 
 アリゾナ大学の J. Cole は、海岸近くの人口が増加するにつれて、このような現象は広がる傾向にあると指摘している。このほかにも、温度の上昇や大気中の二酸化炭素量の増加などにより、サンゴは衰弱する傾向にある。彼は、サンゴ礁はかつてないほど人為的および自然の短期的環境変動によって被害を受けやすい状況におかれていると結論づけている。
 
 欧州人の入植がオーストラリアのグレートバリアリーフの水質に与えた影響は、長い間議論の的となっている。この地域の各河川流域での浸食と堆積物の流亡は、欧州人の入植以来大幅に増加しているが、その変化の程度についてはよく分かっていない。
 
 McCullochらの論文では、ハバンナリーフ(バーデキン川の洪水流の影響を受けているグレートバリアリーフ内部の場所)で得られた古いハマサンゴ類(Porites coral)のバリウム/カルシウム比を解析して、1750年ころから1998年の間までの堆積物流量の記録を明らかにしている。この記録の最初の部分では、河川の洪水で流された堆積物はリーフの内部にはめったに到達しかなかった。ところが、1870年ころ(欧州人の入植が始まった後)以降は、堆積物の供給量が5倍から10倍にまで増加したことが記録されており、流量が最大になるのは、干ばつ終了期の洪水の間であることが分かった。
 
 欧州人の入植以後、森林の伐採や過剰などの土地利用の変化によって、半乾燥気候の河川流域の大規模な土壌劣化が進み、その結果、グレートバリアリーフ内部へ流入する堆積物の量が大きく増加したと結論づけている。
 
 

産業革命以前におけるダイオキシンとフランの発生源
 
A pre-industrial source of dioxins and furans
A.A. Meharg and K. Killham, Nature, 421, 909-910 (2003)
 
 ダイオキシン類はガンの原因となる化学物質で、環境中に長期にわたって残存する。しかし、これは単に現代の不適切な条件でのゴミ焼却や、化学製品中の不純物だけによるというわけではないようである。最近の Nature誌の記事によれば、イギリス諸島では燃料にしていた泥炭から数千年にもわたってダイオキシンが大量に発生していたらしい。
 
 塩素を多く含むダイオキシンは、20世紀になってからの有機塩素化合物の製造に伴って生じた有毒な汚染物質であると考えられていた。しかし、19世紀の土壌にもダイオキシンが含まれていることがわかり、環境化学者を当惑させていた。英国アバディーン大学の著者は、塩分が多い、すなわち塩素を豊富に含む海岸地方の泥炭を燃やすと、ダイオキシンが形成されて灰中に濃縮されると報告している。1キログラムの泥炭灰から、約600ナノグラム(10−9グラム)のダイオキシンが発生することがわかった。
 
 この程度ならそれほどの量とは思えないが、スコットランドやアイルランドの樹木のない地域では、古くから泥炭がごく一般的な燃料として大量に使われた。18世紀から19世紀にかけて、スコットランドの辺鄙な高地や島では、おそらく毎年1キログラム程度のダイオキシンが発生していただろうと著者は推定している。現在の英国の自治体のゴミ焼却場で発生するダイオキシンが、全国の合計で年間約10.9キログラムであることを考えると、これは驚くほど多いといえる。
 
 

冬期の水田管理と水鳥の保護
 
Conservasion implications of flooding rice fields on winter waterbird communities
C. S. Elphick and L. W. Oring
Agriculture, Ecosystems and Environment, 94, 17-29 (2003)
 
 農業環境技術研究所は、農業生態系における生物群集の構造と機能を明らかにして生態系機能を十分に発揮させるとともに、侵入・導入生物の生態系への影響を解明することによって、生態系のかく乱防止、生物多様性の保全など生物環境の安全を図っていくことを重要な目的の一つとしている。このため、農業生態系における生物環境の安全に関係する最新の文献情報を収集しているが、今回は米国において調査された、冬期における水田湛水と水鳥群集の保護との関係についての論文を紹介する。
 
(要約)
 
 収穫後の水田に水を張ることが水鳥の群集にどのように影響するかを、米国カリフォルニア州のサクラメントバレーの代表的な水田地帯3か所で調査した。調査は1,000ヘクタール以上の水田面積で、11月から3月まで定期的に、2シーズンにわたって行われた。
 
 水鳥群集への影響を、各水田における(1)水鳥の種類数、(2)水鳥全体の個体密度、(3)3グループにわけた水鳥の個体密度、(4)水田の水鳥保護への貢献度合を示す総合指標を用いて評価した。総合指標は、それぞれの鳥の各水田での平均個体密度を、北米での相対的な個体数とその増加または減少の傾向による重みをつけて合計したものである。水鳥の3グループは、それぞれ(1)渉禽(しょうきん)類(wading birds)(サギ・ツルなど浅い水面を歩いて餌をとる脚の長い鳥の仲間)、(2)水禽(すいきん)類(waterfowl)(ガン・カモなど泳ぐ鳥の仲間)、および(3)シギ・チドリ類(shorebirds)(水辺で生活する鳥の仲間)である。
 
 集計した結果を用いて、次のような条件の違いが各水田の水鳥群集に影響を与えたかどうかを統計的に解析した。(1)水を張った水田と水を張らなかった水田、(2)水を張った水田での稲わらの処理方法、(3)水を張った水田の水深。
 
 解析の結果、渉禽類の個体数については差がなかったが、水禽類、シギ・チドリ類、および水鳥全体では、水を張った水田は水を張らなかった水田よりも多く利用され、総合指標でも、水を張った水田が水鳥の保護に大きく貢献しているという結果が得られた。稲わら処理の違いについては、水鳥の種類数、全体個体数と渉禽類の個体数に有意な差があったが、効果はあまり大きくなかった。水深は、すべての指標に影響していたが、各指標への影響は比較的小さかった。シギ・チドリ類の個体数は水が浅いほど、渉禽類と水禽類は水が深いほど多かったが、水深の変化とともに個体数の増加が頭打ちになる傾向が見られた。水鳥全体の種類数と総合指標は、どちらも10〜15cmの水深で最大となった。
 
 冬期の水田に水を張ると、水鳥の種類数、個体数、総合指標が増加することで、水鳥の保護に効果がある。同時に、水禽類の個体数の増加で稲わらの分解が早まるなど、農業者にとっての利点も多い。水の使用量を増やさず、さらに多くの水田に水を張る工夫をすることが有益であろう。
 
 

本の紹介 116:ダイオキシン−神話の終焉−
シリーズ;地球と人間の環境を考える 02
渡辺 正・林 俊郎著、日本評論社
(2003) ISBN4-535-04822-3
 
 
 この「地球と人間の環境を考える」シリーズの目的は、世の中で話題になるさまざまな環境問題を、きちっとした自然科学の目で解剖すること、社会を持続するための行動指針を提案すること、世の中の常識に疑問を投げかけることなどにある。この本は、その「ダイオキシン版」である。
 
 環境の科学は、数学や物理学に比べればはるかに若い。「環境」という語が一般に使われるようになったのは、30余年前である。発展途上の科学であるから、多くの環境問題にはいくつもの解釈がある。何か一つの発見があると話や解釈が変更される。そのような現状を認識せずに、ある時点で誰かが得た結果や解釈をそのままうのみにすると、誤った方向に進むこともある。そのうえ、貴重な時間、労力、財源および資源を浪費することにもつながる。
 
 しかも、「環境学」あるいは「環境科学」と題する本すら希有である。この「本の紹介」にも、この種の題名がついた本はたった3冊しかない(本の紹介 81、105、106)。ことほど左様に若い学問であると同時に、知識体系の持続と統合が必要な学問なのである。
 
 本書は、以上のような視点から構成されている。1章では「サリンの2倍!」といった表現の空しさを明らかにしている。2章では、ダイオキシンがどんなルートでどれほど生成され、環境にどのくらいあるのか、環境中の濃度はどう変わってきたのかが、追求される。3章では、ダイオキシン摂取量と、その危険性が検討される。
 
 後半の4、5、6章は、日本のダイオキシン騒ぎはどうして起きたのか? また、それは今後どのような波及効果を生むのか? などが問われている。4章では、1999年に成立した「ダイオキシン類対策特別措置法」のもつ意味が考察される。この法の制定に向けて、どういう人や組織が動いたのかが5章で振り返られる。6章では、ダイオキシンに関するさまざまな説が検証される。目次は以下の通りである。
 
序章 この国のかたち・ダイオキシン編
ネットは語る/国際会議も/起爆から狂乱期へ/刷りこみの威力/役所の「仕事」/消えゆく神話/いつか来た道/環境問題ここがポイント(1)−利害得失/環境問題ここがポイント(2)−発展途上/環境問題ここがポイント(3)−化学・生物/環境問題ここがポイント(4)−政治・経済/本書の構成
 
1章 「サリンの2倍」は筋ちがい
的の外れた脅し文句/猛毒説の根元/ダイオキシンでは死ねない/ダイオキシンも真っ青の毒/ 事故例にみるダイオキシンの急性毒性/暮らしにひそむ危険/数字で見るリスク/おわりに
 
2章 どこでどれだけ生まれるか
筋の通らぬ大騒ぎ/「ダイオキシン問題」のルーツ/ややこしい「ダイオキシンの量」/発生源のお国柄/排出量の国際比較/ダイオキシンは天然物/わかりやすい説明/ゴミ焼却とダイオキシン/塩素量とダイオキシン生成量/主役は塩ビか食塩か?/パラダイムの大転換―「農薬ルート」の発見/ゴミ焼却は忘れよう
 
3章 人体のダイオキシン汚染?
ローマ時代の環境汚染/からだに入るダイオキシン/ダイオキシンの体内濃度/月給と預金残高−摂取量と体内量の関係/年齢と体内量/もはや明らか−ダイオキシンの摂取ルート/‥‥で、いったい何が起こるのか?/ラットのくれた安心?−耐容1日摂取量/「理科」面のまとめ
 
4章 亡国の「ダイオキシン法」
異様な建物/畳屋さんは大弱り/産廃焼却炉もピンチ/地方自治体の窮地/あやうい日本/「煙の毒」はダイオキシンにあらず/「特別措置」法とは?/責任転嫁?/困るのは地方自治体/40兆円産業/過大評価/排出削減のシナリオ/無駄な投資/甘い測定義務/不可解な罰則規定/誰のための立法?
 
5章 ダイオキシン法の誕生秘話
誕生前夜/テレビ報道の意図/共通マニュアル?/ドラマの原点/終わっていたダイオキシン研究/すばやかった厚生省/電光石火の「旧ガイドライン」策定/利権の構図「新ガイドライン」勧告/タイムリーな埼玉の騒ぎ/おびえる地元住民/所沢から全国区へ/「環境ホルモン」登場/アトピー誘発説も登場/古きよき時代/任務完了?
 
6章 つくられたダイオキシン禍
恐怖の物語/虚構のグラフ/データの変身/これが肝心‥‥母集団/家庭ゴミ焼却があぶない?/「統計学は死んだ」/体内曝露が新生児をアトピーにする?/母乳がアトピーをふやす?/カネミ油症で大量死?/統計処理の落とし穴/油症患者に多い肝がん死/肝がん死は医原病/油症患者を苦しめたもの/男の子が減った?/人間がいちばん恐ろしい/「理科」と「社会」−2002年12月
 
 

本の紹介 117:講座「文明と環境」、第3巻、農耕と文明
梅原 猛・安田喜憲編集、朝倉書店
(1996)ISBN4-254-10553-3 C3340
 
 
 梅原 猛氏は、「総論:農耕と文明」で、「地球環境の破壊は農耕牧畜文明の成立とともに始まったといえるであろう。」と書いている。では、文明とは何か。人類が考えた文明史観のうちでもっとも有力なもののひとつに、イギリスの歴史家トインビーのそれがある。文明は発生・発展・衰退・滅亡の四つのサイクルをくりかえすものであると、彼は考えた。トインビーの文明史観では、地球環境破壊の問題はとらえられないし、これには生産という見地が欠けていると、梅原氏は指摘する。
 
 生産という概念を重視して人類の歴史を考えると、ふたつの大きな革命、すなわち農耕牧畜と稲作農業の発生がある。これらのうえに巨大な都市文明が成立した。すなわち、メソポタミア文明、エジプト文明、インド文明および中国文明のいわゆる四大文明である。
 
 農耕牧畜、すなわち小麦農業と牧畜という生産形態そのものが自然破壊をともなう。小麦農業は草原地帯に始まるが、必然的に無限拡大を要求する。拡大は人口増加をもたらし、人口増加は拡大をよぶ。大量の水を必要としない小麦農業は、耕地を山へ山へと広げる。農耕牧畜文明は森を食いつぶし、限りなく耕地と牧草地を拡大する方向をたどらざるをえないと、梅原氏は解説する。
 
 稲作農業は、7千年から5千年前に揚子江の下流域において多量の森を破壊した。しかし、稲作農業は農耕牧畜より自然破壊の度合は少ない。そのうえ、稲作農業は多量の水を必要とするので、これを維持していくには、森が不可欠である。森は水の貯蔵庫になり、川を通じて絶えず水を田に供給し続けると、梅原氏は指摘する。梅原氏の指摘をまたずとも、すでにわれわれ農業環境の研究者は、これまでも水田農業のもつ環境保全的機能を証明し、これをOECDに、あるいはASEAN諸国にも広めている。
 
 このような総論につづいて、「地球が激動した晩氷期」、「人と動物の大移動」、「農耕の起源と展開」および「農耕文化の再検討」が解説される。
 
 安田喜典氏の以下の「あとがき」は、「総論:農耕と文明」とあわせ読むと、なにか呪詛(じゅそ)を掛けられたような感じがする。このようなことがないよう、われわれのもつ英知で物事の解決に最大の努力が必要であろう。「文明崩壊の原因はその文明を発展させた要因の中に内包されている。人類文明を発展させたのは農耕の開始であった。もし人類文明が崩壊するとするならば、その原因は人類文明を発展させた農耕の誕生期にすでに予言されているとみなすことができる。」
 
 目次は次の通りである。
 
総論 農耕と文明/環境破壊と文明/環境問題の解決への視点/小麦農業文明による環境破壊/
   ギリシャの旅の感想/稲作文明による環境破壊/第一次環境破壊を合理化する思想/工業文明   の環境破壊とそれを合理化する思想/破滅を避ける思想とわれわれの立場
 
I.地球が激動した晩氷期
1.気候と森の大変動:気候大変動/激動の晩氷期/ヤンガー・ドリアスの寒冷期と農耕の起源
2.氷河時代終末期の大洪水:洪水事件の年代学/熱帯アフリカの洪水事件/地中海のサプロペル/ローレンタイド氷床の融氷水/融氷水の流出と海水準上昇/海洋における融氷水の影響
 
II.人と動物の大移動
3.新大陸を目指すモンゴロイドの移動:動く遺伝子レトロウイルスの軌跡/日本のATL/HTLV−Iの分布/世界のHTLV-Iの分布/新大陸先住民HTLV-/IIの分布/遺伝子からみた新大陸先住民族の移動史
4.大型動物の絶滅と人類:旧石器時代の殺戮/マンモスの絶滅/17世紀以後の絶滅/新大陸の収奪/毛皮の犠牲者/狙われた海洋哺乳動物/絶滅寸前まで殺されたクジラ
5.細石刃をもった環境激変期の狩人:細石刃文化とは/細石刃石器群のバラエティー/類型の変化/類型のひろがり/細石刃石器群の出現/細石刃石器群の拡大/細石刃石器群の地域化/土器出現についての一仮説/細石刃石器群の衰退
コラム:日本の細石刃文化
細石刃文化の遺跡数と分布の実像/草原の細石刃文化と森の細石刃文化/縄文文化へ
 
III.農耕の起源と展開
6.農耕の起源と環境:西アジアの農耕の起源と環境/東アジアにおける農耕の起源と環境/農耕を誕生させなかった環境
7.西アジア型農耕文化の誕生:西アジア先史時代の自然環境/森林の出現と定住集落の誕生/草原への進出と農耕の試み/最初の農耕文化
8.稲作の江南起源説:古代の稲粒が明かす稲作起源/稲作起源論を考える/
9.ジャポニカ長江起源説:栽培稲の地理的起源/栽培稲の祖先は何か/ジャポニカ長江起源説
10.東南アジアの農耕起源:イネ栽培以前/イネ栽培の始まり
11.トウモロコシ農耕の起源:トウモロコシの文化/テワカンでの発掘調査/定住農耕村落の成立
コラム:プラント・オパール
プラント・オパールと分析の方法/稲作農耕の諸問題/土地条件と土地利用
 
W.農耕文化の再検討
12.農耕は人間の知恵の所産か?:歴史的起源論/生態学的起源論/シロアリの栽培
コラム:狩猟採集社会のなかの農耕
採集と農耕との共存/農耕の栽培技術/主要食糧としての栽培スイカ/栽培スイカの消費システム/狩猟採集社会の農耕の特徴
 
 

本の紹介 118:地域生態系への回帰
−急傾斜地に樹林を復元する新しい理念と戦略−
丸本卓哉・河野憲治編著、文一総合出版
(2003)ISBN4-8299-2172-2
 
 
 時間と空間を超えて環境を守るには、「分離の病」を克服し、「国際化」を推進し、「俯瞰(ふかん)的視点」を維持しなければならないと、常日頃考えている。しかし、このことのたった一つを行うことさえ容易ではない。この本は、その一つである「分離の病」を克服しようと試みた本であろう。
 
 「分離の病」は三つある。はじめに「知と知の分離」、すなわち専門主義への没頭に代表される分離である。つぎに「知と行の分離」、すなわち理論を構築する人と実践を担う人との分離である。最後に「知と情の分離」、すなわち知と現実の極端な分離がある。これらの分離を可能な限り融合することが環境を守ることにつながる。
 
 この本は、「知と知の分離」と「知と行の分離」を克服しようとした姿を書いたものである。ダムサイトの急斜面岩盤を緑化するために、建設省の工事事務所と二つの大学の土壌学、土壌微生物学、森林生態学、水質環境学、地域大気環境学などの学際的な専門家チームが結成された。この本はその研究の記録である。ここでは、学際的な調査研究によって、これまでわからなかった総合的な地域生態系の復元方法への貴重なヒントが誕生している。目次は以下の通りである。
 
「地域生態系への回帰−急傾斜地に樹林を復元する新しい理念と戦略−」
発行にあたり
1.はじめに
 
2.地域環境を守り、創造する法面緑化への発想の転換
 1)今なぜ環境と調和した法面緑化が重要か
 2)土の生態系を取り戻す
 3)地域の森林生態系を取り戻す
 4)急傾斜地の表土侵食防止と樹林化
 5)法面緑化の施肥と土壌改良資材の利用
 6)法面緑化と気象環境のとらえ方
 
3.急傾斜岩盤における生態系復元緑化の基本理念
 1)失われた土壌生態系の復元
 2)地域の森林生態系や土壌生態系の把握
 
4.温井ダムサイトの急傾斜岩盤における生態系復元緑化試験(1997−2000)
 1)温井ダム周辺の森林土壌生態系の把握
 2)失われた土壌生態系の復元のための方策
 3)温井ダム周辺特有の植生
 4)植生基盤の設定
 5)土壌基盤材の充填技術
 6)植栽植物の選定と地域生態系との調和
 7)植栽植物の早期定着と初期生育の促進
−共生微生物(菌根菌)の法面緑化への利用−
 8)地域の自然環境との調和
 9)問題点と今後の課題
 
5.急傾斜岩盤法面における新しい生態系復元型緑化工の提案
 1)従来工法の利点と課題
 2)新しい生態系復元型の急傾斜岩盤緑化工(連続繊維補強土工法と不織布シート工法の利点の組み合わせと課題の解消)の提案
 
6.おわりに/参考資料
 
 

資料の紹介:Greenhouse Gas Inventories for Agriculture
in the Nordic Countries,
Eds., S. O. Petersen and J. E. Olesen,
Danish Institute of Agricultural Sciences
DIAS report Plant Production no. 81, p157 (2002)
 
 
 この資料はデンマーク農業科学研究所が主催した、北欧諸国の農業由来の温室効果ガスのインベントリーに関する国際ワークショップの報告書である。この会議の発表者は、アイスランドを除く北欧の他の4カ国、デンマーク、ノルウエー、スウェーデン、フィンランドのほかに米国と英国である。ここでは、北欧各国のCO、CH、NOの温室効果ガスインベントリーが、家畜のルーメン、堆肥管理、NOの間接的発生、土壌の炭素貯蔵、発生削減技術の観点から報告されている。
 
 リード国としてのデンマーク農業科学研究所の心意気と、北欧諸国の研究協力ぶりがうかがえて元気の出るよい報告書である。当所も、日本をASEAN+3国の農業環境研究のリード国とすべく努力していくことが期待される。報告のタイトルは以下の通りである。
 
Contents
The need for truly common Nordic guidance on greenhouse gas emissions inventories for agriculture
General guidance and procedures for estimating and reporting national GHG emissions for agriculture
Comparison of national and IPCC default methodologies to estimate methane and nitrous oxide emissions from agriculture
Methane emissions from enteric fermentation - effects of diet composition
Methane emissions from livestock manure - effects of storage conditions and climate
A new model for calculating the reduction in greenhouse gas emissions through anaerobic co-digestion of manure and organic waste
Effects of cultivation practice on carbon storage in arable soils and grassland
Carbon balances for arable soils - weak data sets and strong theory
Changes in soil C and N content in different cropping systems and soil types
Energy crops as a strategy for reducing greenhouse gas emissions
Nitrous oxide emissions from manure handling - effects of storage conditions and climate
A critical analysis of nitrous oxide emissions from animal manure
Nitrous oxide emissions frofield-applied fertilizers
Nitrous oxide emissions at low temperatures
Nitrous oxide emissions derived from N leaching
List of participants
 
 

研究、技術開発およびデモンストレーションのための個別計画「欧州研究圏の統合、強化」(2002−2006)の決定
−その2−
 
 
 EU(欧州連合)は、20026月に欧州共同体研究・技術開発第6次枠組み計画(2002-2006)を決定した。さらに、この枠組み計画に示された「欧州共同体の研究の集中と統合」と「欧州研究圏の基盤の強化」について、欧州委員会による間接的な推進戦略を具体的に定めた「個別計画」が20029月に採択され、実施されている。
 
 ここでは、欧州官報に掲載された文書(OJ L 294, 20021029, 1-43ページ)、"Council Decision of 30 September 2002 adopting a specific programme for research , technological development and demonstration: 'Integrating and strengthening the European Research Area' (2002-2006)"(2002/834/EC) (研究、技術開発およびデモンストレーションのための個別計画「欧州研究圏の統合、強化」(2002-2006)を採択する2002930日の欧州連合理事会の決定):
http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32002D0834 (最新のURLに修正しました。2014年5月)
から、研究の優先テーマ領域のうちの「バイオ・ゲノム」研究と「情報社会技術」研究の部分を、仮訳して紹介する。仮訳するに当たって、不明な用語については、参考になる資料をウェブサイトから検索し、それらを基に訳した。これらの用語には印を付け、参照した資料の中から、いくつかの資料を掲載した。また仮訳した内容が適切に表現されていない部分もあると思われるので、原文で確認していただきたい。
 
 なお、この決定の本文、および附則(個別計画)の最初の部分は、情報:農業と環境の第37号(20035月):http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/magazine/mgzn037.html#03714
に紹介されているので、あわせてご覧いただきたい。
 
官報 L 29429/10/2002 P.0001-004
 
研究、技術開発およびデモンストレーションのための個別計画
「欧州研究圏の統合、強化」(
2002-2006年)を採択する
2002930日の理事会決定
(部分)
 
... 健康のためのライフサイエンス、ゲノミクスおよびバイオテクノロジー
 
 ヒトゲノムと他の多くのゲノムの配列決定は、人間生物学の新時代を告げており、ヒトの健康を向上させ、産業、経済の活動を活性化するための前例のない機会を提供している。これらの恩恵の実現に貢献するため、このテーマでは関連の分子機構の研究を含むポストゲノム研究を、確立された生物医学的、生物工学的方法に統合することに重点をおき、整合性を高め、限界規模(critical mass*1)を達成するために、欧州全体に(官民の両者の)研究能力の統合を促進する。統合された複合領域の研究は、技術と生物学との密接な連携を可能にし、ゲノムデータを実用的な応用に移すこのテーマにおいて極めて重要である。さらに、テーマの実施においては、重要な利害関係者を含めることが必須の要件であり、該当する産業としては、医療サービスの供給者と医師、政策立案者、規制当局、患者団体および倫理問題の専門家などがある。さらに、適切な場合はつねに、小児疾患とその治療法に関心を払い、研究においては、性的公平(gender equity*2)などを保証する(3)
 
 このテーマ別の優先領域は、ヒトの健康への応用を支えるゲノム情報の潜在力を十分に利用するため、複合領域の基礎研究を奨励し、維持する。応用の分野では、医療に関して欧州レベルで真に調和し、協調した進歩を可能にし、生活の質を向上させるために、基礎的知識を応用段階に取り入れることをめざす研究(トランスレーショナル手法*3)を重視する。この研究は、農業や環境のような領域の研究にも関連があり、これらについては他のテーマ別の優先項目で扱う; このような関連があることを、関係するテーマ別の優先項目を実施する経過の中で十分に考慮に入れなければならない。
 
 この研究は、ストックホルム欧州理事会の結論に沿って、欧州のバイオテクノロジー産業を強化するための欧州共同体の取り組みの必須要素である。この研究は、ベンチャーキャピタル*4や欧州投資銀行の関与によって、投資のための企業家精神と機会を刺激することなど、バイオテクノロジー産業、とくに中小企業において保健衛生分野の技術革新のための枠組み条件を改善するすべての活動と緊密な連携をとることに心がける。ゲノミクスの新たな応用の発展において、障壁となる規制を特定し、倫理的な影響を可能な限り早い段階で予測し、社会と住民に対するゲノミクス研究の発展のより広範な影響についても考慮する。
 
 このテーマ別の優先領域では、欧州共同体の保健衛生戦略の実施と開発も進める。
 
 このテーマ別の優先領域を通して国際共同研究を奨励する。適切である場合には、発展途上国における貧困を削減するための欧州共同体の責任を十分に考慮し、また欧州共同体設立条約第177条に従って、ヒト免疫不全ウイルス/後天性免疫不全症候群(HIV/AIDS)、マラリアおよび結核に取り組むための欧州共同体の早期計画による措置によって、保健衛生の改善がもたらされるという重要性を十分に考慮する。
 

(3) 病気や障害の原因、症状、経過、治療法は、女性と男性、子供の間で異なっていることが多い。したがって、この優先テーマの中で資金を供給するすべての活動においては、研究の手順や手法、結果の解析の際に、このような差異がある可能性を考慮しなければならない。

*1:  http://www.initiaconsulting.co.jp/archives/dictionary/ku.html (該当するページがみつかりません。2014年12月)
    http://www.recruit.co.jp/cgi-bin/rperl5.pl/tmd/ja/ref/ref_vocabulary.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*2 http://www.jiwe.or.jp/jyoho/ryoritsu/head03_02.html (対応するページが見つかりません。2011年1月)
*3: http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/stfc/stt013j/0204_03_special_issue/si01/200204_si01.htm
    http://www.jfcr.or.jp/gantoku/Sougou/molecule_target.html (対応するページが見つかりません。2011年1月)
*4: http://www.navigate-inc.co.jp/term/term-2.html

 
研究の優先項目
 
(i) 先端ゲノミクスと保健衛生への応用
 
全生物における機能ゲノミクスのための基本的知識と基本ツール
 
 この分野の戦略目的は、ヒトの健康に関連する遺伝子と遺伝子産物の機能を解読し、これらの相互作用と環境との相互作用を探究するために必要な知識基盤、ツールおよび情報資源を開発することによって、ゲノム情報の基本的理解を促進することである。研究活動は、以下のことが含まれる:
 
遺伝子発現とプロテオミクス: 目的は、遺伝子と遺伝子産物の機能の解読を向上させ、また基本的な生物学的作用を制御する複雑な調節ネットワーク(生物複雑性)を明らかにすることを研究者が可能にすることである。
 
研究は、次のことに重点をおく: 遺伝子発現とタンパク質プロファイルのモニタリング、ならびに生た細胞内での生体分子のタンパク質機能および相互作用を決定するための、処理能力の高いツールと方法の開発。
 
構造ゲノミクス: 目的は、タンパク質機能を解明するために重要であり、薬剤設計(drug design)に欠かせないタンパク質と他の高分子の三次元構造を、現行のものより効率的に高速で決定することを研究者が可能にすることである。
 
研究は、次のことに重点をおく: 高分子の三次元構造を高い分解能で決定するために、処理能力の高い方法を開発すること。
 
比較ゲノムミクスと集団遺伝学: 目的は、遺伝子の機能を予測、検査するために、特性が十分に解明されたモデル生物を使用し、また遺伝子機能と健康や疾病との関係を特定するために、欧州において利用可能な特定のコホート集団*1を十分に利用すことを研究者が可能にすることである。
 
研究は、次のことに重点をおく: モデル生物と遺伝子導入ツールの開発; 遺伝疫学ツールと遺伝子型解析(genotyping)のプロトコルの開発
 
生命情報科学(bioinformatics): 目的は、増大し続ける多量のゲノム・データを処理し、解釈するための、また入手可能な使用しやすい形式で研究組織がそれを利用できるようにするために、効率的なツールの入手を研究者が可能にすることである。
 
研究は、次のことに重点をおく: データの保管、検索および加工のための生命情報処理のツールと情報資源の開発; 遺伝子機能の電算機内実験予測(in silico prediction)と、複雑な調節ネットワークのシミュレーションのための計算生物学的手法の開発。
 
基本的な生物学的作用に対する複合領域の機能ゲノムミクス手法: 目的は、上記の革新的な手法を統合することによって、基本的な生物学的作用を調べることを研究者が可能にすることである。
 
研究は、次のことに重点をおく: 必要とする遺伝子を特定し、生体内での生物学的機能を解読するための、基本的な細胞の作用の基礎をなす機構の解明。
 

*1: http://www.kepco.co.jp/emf-k/kenkyu/cohort.htm
    http://www.taishitsu.or.jp/dictionary.html

 
ゲノミクスとバイオテクノロジーの分野における知識と技術の保健衛生への応用
 
 この分野の戦略的目的は、ゲノミクスによって生産される生物学的データの財産と、バイオテクノロジーの進歩を利用して、欧州のバイオテクノロジー産業の競争力を高めることである。研究活動は、以下のことが含まれる:
 
新たな診断、予防および治療のツールの分野における開発のための技術的プラットフォーム*1 病気の予防と治療について、ゲノム研究から生まれる最先端の技術を用いた複合領域の研究法が、より正確な診断、治療の個別化、および新たな医薬品や治療法のために有効な開発過程(たとえば、新薬候補の選抜)によって、健康管理の進歩と費用削減に役立ち、このような技術的プラットフォームと新たな技術を用いた他の新規製品を介して、産学の共同研究を促進することがこの研究の目的である。
 
研究は次のことに重点をおく: 薬理ゲノミクスの手法*2を含む、新たな、安全な、効果的な医薬品の、合理的な短期間での開発; 新しい診断法の開発; 動物実験に代わる新たなインビトロ試験法の開発; 体細胞遺伝子療法*3、細胞療法*4(たとえば神経疾患や神経筋疾患などの幹細胞治療*5)、および免疫療法などの新たな予防と治療のツールの開発と検査; 応用の可能性が見込まれるポストゲノミクスの革新的研究。
 
 社会的に信頼できる選択、社会的受容性、およびこれらの新技術のための有効な開発経路を確保するためには、 規制機関、倫理専門家、患者および社会全般において、上記の活動に積極的に早い段階からかかわることが必要である。
 

*1: http://www.ecrp.org/topic-s/platform/plat-rp.html#r1.1 (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*2: http://www.quint-j.co.jp/shingo/200.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*3: http://www.geneed.com/glossary_ja/s/somatic_gene_therapy.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*4: http://www2.convention.co.jp/39jsco/file/data/sessions/W8.htm (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*5:  http://www.infoshop-japan.com/study/dm12303_cell_therapy.html (対応するページが見つかりません。2013年12月)

 
(ii) 重大疾患への取り組み
 
医学の知識と技術のための目的志向型ゲノム手法
 
 この分野の戦略目的は、保健衛生のために先端技術を利用して、人の疾病を予防・管理し、健康に生活し、健康に老いる*1ための強化戦略を開発することである。これは、関連するすべての生物に通じるゲノム手法を、疾患と健康の決定因子を調査するために、より確立した医学的手法と結びつけることにもっぱら集中する。基礎的知識を臨床応用にまで結びつけることを目的としたトランスレーショナルリサーチ(translational research)を重視する。研究の活動は、次のことに重点をおく:
 
心臓血管疾患、糖尿病および希少疾患への取り組み: 目的は、欧州における死亡率と不健康の大きな原因の予防と管理を向上させ、希少疾患に取り組むための欧州の研究資源を共有することである。
 
研究は、次のことに重点をおく: これらの疾患の予防と管理の進展を生み出すため、臨床の専門知識や情報資源を機能ゲノミクスに関連するモデルシステムや先端的ツールに結びつける。
 
抗生物質や他の薬剤の耐性の取り組み: 目的は、薬剤耐性病原菌が引き起こす公衆衛生*2への重大な脅威に立ち向かうことである。
 
研究は、次のことに重点をおく: 抗菌薬や他の薬剤の耐性問題を回避するワクチンや代替治療方策の開発のために、微生物ゲノムの知識や宿主−病原体の相互作用の知識の利用; 抗菌薬の最適使用方策の開発; 伝染性疾患の疫学的な監視と抑制のための欧州共同体ネットワークの支援。
 
脳の研究と神経系疾患の取り組み: 目的は、脳の生活機能*3と機能障害をより良く理解し、神経学的障害と疾患に取り組み、脳の回復を向上させるために、精神作用に対する新たな病識*4を獲得させる手段として、ゲノム情報を利用することである。
 
研究は、つぎのことに重点をおく: 脳の機能、損傷、可塑性と回復*5、学習、記憶および認知を分子細胞学的に理解すること;薬物依存に関係するものを含む、神経、精神の障害と疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病と新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病*6など)の予防と管理のための方策の開発。
 
人間の発達*7と加齢現象*8の研究: 目的は、健康に生活し、健康に老いることを促進する公衆衛生改善方策の科学的根拠を開発するために、加齢現象をとくに重視し、人間の発達をよりよく理解することである。
 
研究は、次のことに重点をおく: 受胎から青春期まで人間の発達の理解; 環境、行動および性別の要素との相互作用など、健康な加齢の分子細胞的決定因子の調査。
 

*1: http://www.acih.com/ageing.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*2: http://www1.ocn.ne.jp/~sako/whoglos.htm
*3: http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2001dir/n2453dir/n2453_02.htm
*4: http://184.73.219.23/worldpl/13_yougo/ydb/ha37.htm (対応するページのURLは変更されました。2011年1月)
*5:  http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/kokikawa/prospect.html (対応するページが見つかりません。2013年12月)
*6: http://www.inr.co.jp/zakkaya/wdi/ (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*7: http://www.oita-med.ac.jp/nursing/kiso/ningen.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*8: http://www.shimane-med.ac.jp/japanese/school/department/oral/japeng/jap-ka.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)

 
ガンへの取り組み
 
 目的は、予防法から効果の高い早期診断法や副作用が極小の優れた治療法まで、患者志向の改善方策を開発することによって、ガンに取り組むことである。したがって、この研究は、ゲノミクスと他の分野の基礎研究によって生みだされている知識を実地臨床*1と公衆衛生を改善する応用ゲノミクスに移すことに集中する。
 
 この患者志向の取り組みには、連結した4つの構成内容が含まれる。研究は、次のことに重点をおく:
 
ガンについての研究を市場性開発のための場を欧州に設け、新たなプロジェクトを発達させること; 現行の研究成果を応用に移すことを促進することによって、適正な臨床治験*2のための科学的根拠に基づく指針*3と公衆衛生改善方策の開発を促進すること。
 
新たな介入*1,4や改善された介入を検証することを目的とした臨床研究、とくに治験*5を支援すること。
 
基礎的知識を 実地臨床と公衆衛生への応用にまで結びつけることを意図としたトランスレーショナルリサーチを支援すること。
 
老化とガン、地域間差、心理社会的面、緩和医療*6および支援グループへの指針など、ガンに関連する他の問題。
 

*1: http://www.rad-ar.or.jp/ekigaku/kankou/pdf/Yekigaku.pdf (対応するページが見つかりません。2010年5月)  p.
*2: http://www.aids-chushi.or.jp/c5/FGHIJ.HTM (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*3: http://www.naika.or.jp/bigbang/content/19/19.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*4: http://www.chikennavi.net/word/kainyuu.htm (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*5: http://www.chikennavi.net/faq/chiken.htm
    http://www.chiken-net.com/
*6: http://www.yanoresearch.jp/lifescience/japan/health/think_2001.07.23.html#top (対応するページが見つかりません。2011年1月)

 
貧困に関連する重大伝染性疾患への取り組み
 
 この分野の戦略的目的は、とくに開発途上国において使用する効果的な疾患介入*1を開発することによって、3大伝染性疾患(HIV/AIDS、マラリアおよび結核)に起因する世界的な緊急事態に立ち向かうことである。開発途上国は、この分野の実施において重要な協力者となり、適宜、このなかの個別の活動、とくに、治験プログラムを通して直接に参加すると思われる。
 
 研究は、次のことに重点をおく: 微生物ゲノミクスを利用する基礎的分子研究から、非臨床試験*2や概念の検証*3まで、すべての領域にわたる研究を支援することによって、対象疾患に対して有望な介入候補(ワクチン、治療法およびHIV殺菌剤(microbicide*4)を開発すること; 開発途上国において使用するための介入をとくに対象とする欧州の治験活動を一本化して支援するために、治験プログラムを確立すること; 欧州で使用するエイズ治療の治験の整合性と相補性を向上させるために、欧州エイズ治療試験ネットワークを開設する。
 

*1: http://www.borland.co.jp/delphi/cases/dh006.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*2: http://www.nihs.go.jp/dig/ich/safety/s1b/s1b.pdf (対応するページが見つかりません。2010年5月)  p.
    http://www2s.biglobe.ne.jp/~y_hishi/kusuri/develop3.htm (対応するページが見つかりません。2013年12月)
*3: http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/ip/haihu03/siryo3-1-1.pdf  p.
*4: http://api-net.jfap.or.jp/siryou/report/2002/repo_07.htm (対応するページが見つかりません。2010年5月)

 
 このテーマ別の優先領域で実施される研究活動は、このなかの一つまたは複数の項目と密接に関連する問題についての最先端情報のシーズ研究が含まれる。二つの補完的取り組みを利用する: 一方は、適時に受け入れ、広範囲の研究活動であり、他方は先取りした研究活動である。
 
... 情報社会技術
 
 情報社会技術(IST*1は、経済と社会を変えている。この技術は、労働の新しい方法とビジネスの新たなタイプを生み出すだけでなく、保健医療、環境、安全性、移動性*2、雇用などの社会的に重要な問題の解決策を与え、われわれの日常生活にはるかに密接な係わりをもつようになっている。IST産業は、現在、年間取引高が2兆ユーロであり、経済のもっとも重要な産業の一つとして、欧州で1200万人を超える人々に雇用をもたらしている。
 
 ISTの優先領域は、2000年のリスボン欧州理事会と2001年のストックホルム欧州理事会で合意され、電子欧州(e-Europe)行動計画をもたらしたように、知識社会に向けた欧州政策の実現に直接、貢献する。このテーマの優先領域は、知識経済の中心となる基盤技術*3と応用技術における欧州の指導力を確保するだろう。また、欧州のビジネスと産業で技術革新と競争力を強化し、欧州の住民すべてに大きな便益を与えることをめざしている。
 
 現実の取り組みがIST研究の重要な領域で、限界規模を獲得しなければ、欧州で達成した移動体通信や無線通信あるいは家庭用電化製品の成功は、再現されないであろう。そのために、欠かすことのできない中核的専門能力(competencies*4)を構築し、技術革新を強化するために、活動は、中期から長期の目標までに、研究者集団を結集し、欧州規模で官民の取組みの統合を促進する。これらには、3世代(3G)*5を越える移動無線システムの開発のような、リスクが高い長期間の研究技術開発およびデモンストレーション活動のための枠組計画(RTD)が必要である。
 

*1: http://www.jipdec.or.jp/archives/icot/FTS/REPORTS/H13-reports/H1403-AITEC-Report5/AITEC0203R5-html/AITEC0203R5-ch3-1.htm (最新のURLに修正しました。2010年5月)
    http://www.jipdec.or.jp/archives/icot/FTS/REPORTS/H13-reports/H1403-AITEC-Report5/AITEC0203R5-html/AITEC0203R5-ch1-2.htm#2 (最新のURLに修正しました。2010年5月)
*2: http://www.mlit.go.jp/road/ITS/j-html/whatsITS/index.html#top_tab (最新のURLに修正しました。2010年5月)
*3:  http://www.initiaconsulting.co.jp/archives/dictionary/ki.html(対応するページが見つかりません。2014年12月)
*4: http://www.hrr.co.jp/research/images/09_00soshiki.pdf (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*5: http://www.nokia.co.jp/3g/a2.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
    http://www.zdnet.co.jp/mobile/0103/12/keyword_3.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)

 
 相当の前進が達成されているが、実生活において知識基盤サービスの可能性を十分に生かすことからはまだほど遠い。製品とサービスはまだ使いにくく、多くの人々には手の届かないところにあり、「情報格差*1」が欧州で、世界中で広がっている。研究は、コンピュータとネットワークを日常環境の中に統合される次世代の技術に重点をおき、使いやすいヒューマン・インタフェース*2によって、多くのサービスとアプリケーション*3を利用できるようにする。「知的空間(ambient intelligence*4」の展望では、万人を喜んで受け入れる知的基盤社会*5の将来発展の中心に利用者、すなわち個人をおいている。
 

*1: http://www.sm.rim.or.jp/~abc/cgi-bin/index.cgi?ID=11090 (対応するページが見つかりません。2010年5月)
    http://e-words.jp/w/E38387E382B8E382BFE383ABE38387E38390E382A4E38389.html
*2: http://www.rex-co.com/yougo/wordHI.htm (対応するページが見つかりません。2010年5月)
     http://www.his.gr.jp/information/index.html
*3: http://www.windowsfan.com/yougo/main3.htm#アプリケーション(Application%20Software)
    http://www.yamazenshoji.co.jp/paso_yougo/yougo_a.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*4: ユーザーの要求にさまざまな形で応えてくれる知的空間
    http://ascii24.com/news/i/topi/article/2002/02/10/633502-000.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
    http://it.jeita.or.jp/infosys/f-office/paris0205/paris0205.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*5: http://www.dove.co.jp/sumomo/siryou_folder/Salamanca.html (最新のページに変更しました。2012年1月)

 
 電子欧州行動計画*1を支援するISTの優先事項は、欧州中の情報と知識を基盤とした社会を構築し、遅れた開発地域の参加を促進する。これには、EUの取り組みと国際関係をつなぐ活動も含まれる。
目標は、適切ならば、たとえば、知的生産システム(IMS*2新計画あるいは信頼性問題に関する対話を通して、EUの取り組みの中に新加盟国の研究を統合し、発展途上国との協力を促進するために、テーマ別領域の世界的総意を達成することである。
 
 上記に加えて、優先テーマ領域は、IST分野の知識の新領域における将来展望と未来技術(emerging technology*3を調査・実験するための研究を支援する。
 
 下記で特定した優先項目の関連の範囲内で、優先テーマ領域には、汎欧州研究開発用ネットワーク(Géant*4とグリッドコンピューティングシステム(GRIDs*5の開発に関連する活動も含まれる。
 

*1: http://www.nttdata.co.jp/event/report/usinsight/us_2001/pdf/usi_vol11.pdf (Report2-2) (最新のURLに修正しました。2010年5月)
*2: http://www2.odn.ne.jp/~win530/keiei/words.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
IMSの項)
    http://www.ims.mstc.or.jp/activity/ims_program.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*3: http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20020801301.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*4: http://www.juniper.co.jp/company/presscenter/pr/2003/pr-030303.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*5: http://www.sw.nec.co.jp/lecture/tech_word/gc/ (対応するページが見つかりません。2010年5月)
    http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20020730305.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)

 
研究の優先項目
 
(i) 重要な社会経済的問題に取り組む応用IST研究
 
 目的は、重要な社会経済的問題に取り組むISTに基づく解決手法*1の範囲と効率を拡大し、住民、ビジネス、組織がもっとも信頼される自然な方法で、いつでも、どこからでもアクセスを可能にすることである。
 

*1: http://www.pfu.fujitsu.com/recruit/itword.htm#a08 (対応するページが見つかりません。2010年5月)
(ソリューションの項)

 
信頼とセキュリティ*1の技術: 目的は、「完全デジタル(all-digital)」の世界によって、また個人や社会の権利を保証する要求からだされた重要なセキュリティ問題の技術を開発することである。
 
研究は、動的な移動システムのビジネスと組織機能を支援するために、基本的なセキュリティ機構とそれら相互運用性、機能的なセキュリティ手続き、先端の暗号技術、プライバシー向上技術、電子資産を処理する技術、および信頼性技術に重点をおく。
 

*1: http://yougo.ascii24.com/gh/10/001062.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
    http://www5.big.or.jp/~uckey/pc/word/security.htmlpc/word/security.html

 
社会問題に取り組む研究: 情報社会への市民のより広範な参加のため、健康、セキュリティ、移動性および環境のより効果的な管理と支援のシステムと、文化的遺産の保存のために、「知的空間」を重視し、これらのさまざまな領域にまたがる複数の機能を統合*1することを支援する。
 
e−インクルージョン(e-inclusion)」*2の研究活動は、万人にアクセス*3可能なシステム、情報社会への完全参加のためのバリアフリー技術*4、ならびに機能を回復し、あるいは介護を必要とする人々とその介護人の生活のより高い質を可能にするによって、身体障害を補う支援システムに集中する。保健の領域では 、業務は保健専門職を支援し、個人化された*5健康管理と情報を患者に提供し、一般地域住民の健康増進と疾病予防を促進することをめざした知的システムに重点をおく。国民と財産の保護を強化し、市民の生活基盤を保証し、保護するための知的システム の研究にも取り組む。
 
移動性の領域では、研究は安全性、快適性、効率性を統合化し、先端流通の情報化交通(infomobility*6)と位置情報サービスを備えた交通基盤と携帯型システムに重点をおく。環境領域の研究では、天然資源の管理と、人道的地雷除去を含めたリスク防止および危機管理のための知識基盤システムに重点をおく。余暇活動の領域では、研究は、知的移動システムと娯楽への応用に重点をおく。観光旅行の領域では、研究は知識の共有と対話型サービスに取り組む。文化遺産では、有形、無形の文化的、科学的な資源への動的なアクセスと保存のための知的システムに取り組みの重点をおく。
 

*1: http://www.ntt-east.co.jp/ced/glossary/a/integration.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*2: 情報格差を解消するための活動
    http://homepage3.nifty.com/hamachan/koyousenryaku.html  の11
*3: http://www.jetsnet.co.jp/nyumon/opyougo/roma/aa.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*4: http://www.navigate-inc.co.jp/term/term-ha.html
(バリアーフリーの項)
*5: http://www.atmarkit.co.jp/icd/root/32/78621132.html
*6: infomobilityhttp://www.jsk.or.jp/monthly/2001-05.pdf (対応するページが見つかりません。2010年5月)

 
労働とビジネスの問題に取り組む研究: 目的は、信頼される知識基盤経済の発展に十分に貢献し、そこから利益を得る手段をビジネス、個人、行政および他の組織に提供し、同時に、労働と労働生活の質*1を向上させ、労働技能を向上させる生涯継続学習を支援することである。研究は、IST発展の社会経済的誘導要因(driver*2)とその影響力をさらに良く理解することもめざしいる。
 
電子ビジネスと電子政府*2の研究は、欧州の官民、組織、とくに中小企業に知識経済における技術革新の能力、価値創造および競争力を高めるための相互運用システムとサービスを提供し、新たなビジネス環境(「ビジネス生態系」)を支援することに重点をおく。組織の知識管理に関する研究は、情報の抽出、共有、売買および供給によって、組織の技術革新と対応(responsiveness*3)を支援することを意図している。電子商取引とエムコマース(mobile commerce*4の仕事は、異なるネットワークを結ぶ相互運用性、多機能のアプリケーションおよびサービスを目標にする。これには、広範な製品とサービスの価値創造サイクルのすべてに、いつでも、どこからでも適応する売買、共同作業(collaboration*5、仕事の流れ(workflow*6および電子サービスが含まれる。
 
eワーク(eWork*7システムの研究は、創造力と共同作業を促進するための革新的な技術を取り入れた新たな職場設計、資源利用効率の向上、および地域社会のすべての人々に就業機会を拡大することに重点をおく。eラーニング(eLearning*8の仕事は、知的空間の発展を利用して、学校、大学、職場で、そして一般の生涯学習の先端的学習環境はもちろん、個人化されたアクセスと学習の配信に重点をおく。
 

*1: http://www.asia-u.ac.jp/gs/pp/B/Ono.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
    http://www.erp.gr.jp/old/006/books/022/013.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
QWLの項)
*2: http://www.e-gov.go.jp/
*3: http://www.nict.go.jp/publication/shuppan/kihou-journal/kihou-vol47no2/toku5.pdf (最新のURLに修正しました。2010年5月)
*4: http://e-words.jp/w/ME382B3E3839EE383BCE382B9.html (対応するページが見つかりません。2011年1月)
*5 コンピュータシステムを活用した多人数の共同作業
    http://e-words.jp/w/E382B3E383A9E3839CE383ACE383BCE382B7E383A7E383B3.html
*6: 文書処理業務の流れ(の電子化)
    http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/workflow.html
    http://yougo.ascii24.com/gh/22/002238.html (対応するページが見つかりません。2012年1月)
    http://www.beasys.co.jp/e-docs/wlintegration/v2_1/gloss/glossary.htm#237850 (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*7: 情報通新手段を活用した新たな勤務形態
    http://nsk-network.co.jp/ework.htm
*8: 高度な情報通信を活用した教育や研修
    http://www.nextet.net/e-learning/08/feature/sp01-2.html
    http://terakoya.yomiuri.co.jp/shiro/nyumon/yougo/window/interview/elearning.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)

 
科学、技術、ビジネスにおける、また社会の複雑な問題の解決: 目的は、地理的に散在した計算リソース*1と記憶リソースを利用する技術、ならびに科学、工業、ビジネスおよび社会における複雑な問題を解決するために、分断されない(seamless*2)方法でそれらにアクセスできるようにする技術を開発することである。応用分野では、環境、エネルギー、健康、輸送、インダストリアル・エンジニアリング*3、金融とニューメディアが含まれる。
 
研究は、非常に広い範囲に分散している計算リソースと記憶リソースを使用するため、また大きさの変更が可能(scalable*4) で、拡張性が高く、信頼性のある、安全なプラットフォーム*5を開発するため、計算と情報グリッドシステム(GRIDs)、ピア・ツー・ピア型技術*6、および関連するミドルウェア*7を含む新たなコンピュータ利用モデルに重点をおく。これには、アプリケーションの相互運用性と、シミュレーション、視覚化とデータマイニング*8ツールの新世代を支援する新たな協調ツールとプログラミング手法が含まれる。
 

*1: http://www.kobuta.com/pcyougo/010.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
    http://www.orixrentec.co.jp/cgi-bin/itsite/dictionary.cgi?INDEX=initial&WORD=r (対応するページが見つかりません。2015年6月)
*2: http://e-words.jp/w/E382B7E383BCE383A0E383ACE382B9.html
*3: http://www.miejnews.com/mame/yougo1.htm (対応するページが見つかりません。2010年5月)
(インダストリアルエンジアリングの項)
*4 http://www.ssscore.org/ssscore/gloss-j.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*5: システム開発の基盤となる技術やハードウェア、ソフトウェアのこと
    http://www.metro.tokyo.jp/ETC/DTOCHO/Dictionary.htm (対応するページが見つかりません。2010年5月)
(プラットホームの項)
    http://www.tech.ed.oita-u.ac.jp/data2000/fuji/HomepageHA2.html
(プラットホームの項)
*6: 個々の機器の間で対等に情報を共有できるということを意味する。どの機器でも情報のアップロードとダウンロードが可能
     http://www2.nsknet.or.jp/~azuma/p/p0053.htm (対応するページが見つかりません。2014年12月)
    >http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/whitepaper/ja/yougo/index.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
PtoPの項)
    http://www.nikkei4946.com/today/0203/09.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*7: http://e-words.jp/w/E3839FE38389E383ABE382A6E382A7E382A2.html
    http://www.rand.co.jp/glossary/ta_ma.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
(ミドルウエアの項)
    http://www.cri-mw.co.jp/products/aboutmw_j.htm (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*8: http://www.epiphany.co.jp/market/glossary.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
    http://e-words.jp/w/
E38387E383BCE382BFE3839EE382A4E3838BE383B3E382B0.html

 
(ii) 通信、計算、およびソフトウェアの技術
 
 目的は、移動体通信*1、家電製品および組み込み型のソフトウェアとシステム*2などの領域で欧州の強みをさらに強化し、発展させることであり、かつアプリケーションについての高いニーズに応えるために、通信と計算の性能、信頼性、費用効果、機能および適応能力を向上させることである。仕事は次世代インターネット(IPv6*3を含む)にも結びつく。
 

*1: http://computers.yahoo.co.jp/dict/mobile/2329.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*2: http://www.esol.co.jp/company/recruit/graduates/faq_2.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
    http://it.jeita.or.jp/infosys/f-office/paris0105/paris0105.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*3: http://yougo.ascii24.com/gh/77/007720.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
    http://e-words.jp/w/IPv6.html

 
通信とネットワークの技術: 目的は、ネットワークの透過性*1と容量を向上させるための全光ネットワーク、ネットワークの相互運用性と順応性を向上するための解決技術(solution)、およびネットワーク化された音声・画像(AV)システム*2に個人化されたアクセスのための技術はもちろん、どこにでも最適の接続サービスを可能にする次世代の移動無線のシステムとネットワークを開発することである。
 
地上波と衛星波(4)に基づく第3世代を越える移動無線システムとネットワークに関する仕事は、デバイス、システムおよびネットワークを割り込み可能にする無線再構成可能IP(インターネット・プロトコル*3)を構築するために、共通のIPプラットホーム、ならびに新たな周波数効率の高いプロトコル、ツールと技術によって、多重無線技術の利用者データ処理と制御データ処理*4の協調と途切れることのない相互利用(インターワーキング)*5を保証する次世代技術に重点をおく。
 

(4) 衛星通信に関するこの活動は優先テーマ4「航空と宇宙」中の活動と連携して実施される。
*1: http://www.soi.wide.ad.jp/class/20000005/slides/06/4.html
*2: http://www.kaigisho.ne.jp/literacy/midic/data/k10/k10392.htm (対応するページが見つかりません。2010年5月)
(AVの項)
*3: http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-ij.html (対応するページが見つかりません。2013年12月)
IPの項)
    http://www.hi-jax.com/DIC/dic-i.html (対応するページが見つかりません。2013年12月)
IPの項)
*4: http://www.atmarkit.co.jp/news/200204/10/cisco.html
    http://networks.nec.co.jp/products/network/nwsw/ (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*5: http://www.kanto-bt.go.jp/shiryou/inquiry/1403/06/6index.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
(資料1の項)

 
全光*1ネットワークに関する研究は、サービスの配備と供給において柔軟性と高速性および、光ファイバー*2によるLAN*3システムを可能にする光波長の回線管理に重点をおく。エンド・ツー・エンドのネットワーク管理*4を含む、相互接続可能なネットワークの解決技術に関する研究は、汎用的なサービス提供とインターワーキング、およびヘテロジナスネットワーク*5とプラットホーム間の相互運用を支援する。研究には、ネットワークリソースの適応的実時間割付けと、利用者によるサービスの拡張された管理機能を提供するためのプログラム可能なネットワーク*6が含まれる。
 

*1: http://www.oki.com/jp/NSC/JIS/PROD/OXC/glossaryjp.htm (対応するページが見つかりません。2010年5月)
(オール光の項)
*2: http://ad.impress.co.jp/tie-up/ntt0303/index2.htm (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*3: http://www.suntex.co.jp/PcBook/PcWords/words.htm#LAN
*4: http://www.csl.sony.co.jp/~kjc/papers/e2e_and_ipv6.html
    http://dictionary.rbbtoday.com/Details/term113.html (対応するページが見つかりません。2013年12月)
*5: http://webcse.pit-nagano.ac.jp/p-and-e/LTTC/s-s-hp/95a4/term/RFC1392JP.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
hererogeneous networkの項)
    http://yougo.ascii24.com/gh/78/007866.html (対応するページが見つかりません。2012年1月)
(ヘテロジナスの項)
    http://www.ecom.jp/jecals/wwwJ/materials/ncals/glossary/yk77.htm (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*6: http://www.cisco.com/japanese/warp/public/3/jp/news/packet/images/03-newyear_02.pdf (対応するページが見つかりません。2010年5月)

 
研究は、ネットワーク化されたAVのシステムとアプリケーションへの個人化されたアクセスを可能にする技術、ならびに媒体変換サービス*1のプラットホームとネットワーク、信頼されるデジタルテレビのアーキテクチャー*2複合3次元マルチメディア*3信号とオブジェクト*4を加工、符号化、記憶、知覚、および表示することが可能な器機にも取り組む。
 

*1: http://www.labs.fujitsu.com/News/1999/Dec/9-2.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
    http://www.glode.co.jp/solution/crossmedia.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*2: http://www.kipwmi.com/fm/ijiten.htm#architecture
    http://www.e-cat.ro/28iun-bror/sld007.htm (対応するページが見つかりません。2012年1月)
*3: http://www.taf.or.jp/report/kjosei_17/pdf/p151.pdf (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*4: http://lavender.system.nitech.ac.jp/comp/pea/pea-086.htm (対応するページが見つかりません。2010年5月)

 
ソフトウェア技術、組み込みシステムと分散型システム*1 目的は、「知的空間社会システム(ambient intelligence landscape)」*2を実現し、アプリケーションとサービスの予想される発達と拡大に対処するための複合分散システムを制御するツールはもちろん、新たなソフトウェア技術、多機能サービス作成環境*3を開発することである。
 
研究は、組み合せ可能性(composability*4、拡張性、信頼性と頑健性(robustness)*5ならびに自律的自己適応に取り組むソフトウェアとシステムのための新技術に重点をおく。これには、完全に分散したリソースを管理、制御、利用するためのミドルウェア*6が含まれる。多機能サービス作成環境と新たなコンポーネント*7の枠組みの仕事は、基本単位のメタ情報*8、セマンティクス*9と用語体系など、サービス機能の開発をめざしている。
 

*1: http://ichi2.hannan-u.ac.jp/~tanaka/body.html#1.1.0 (対応するページが見つかりません。2010年5月)
    http://www.ds.cs.toyo.ac.jp/cgi-bin/index.cgi (サーバが見つかりません。2011年3月)
*2: http://www.ipv6style.jp/jp/special/20030120/8.shtml (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*3: http://ascii.jp/elem/000/000/327/327791/ (最新のURLに修正しました。2011年3月)
    http://www.bell.jp/pancho/terminology/hyper-dictionary/50-sa/sa/scef.html
*4: http://www.gimlay.org/~andoh/vrml/spec/VRML97/part1/introduction.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*5: http://www.fuji-ric.co.jp/shuppan/meme/200302/system.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
    http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~wwc1013/Soft.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*6: 特定のアプリケーションに依存せず、広くさまざまな用途に使うことができる、ひとまとまりのソフトウェア
    http://www.rand.co.jp/glossary/ta_ma.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
(ミドルウエアの項)
    http://www.computerworld.jp/resource/keyword/back/20001020.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*7: http://www.netbgi.com/BGI/infos-jp/word.htm (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*8: http://www.ecom.jp/jecals/wwwJ/materials/ncals/glossary/yk81.htm (対応するページが見つかりません。2010年5月)
    http://www.rise.waseda.ac.jp/proj/tech/T02P23/j-T02P23.html (対応するページが見つかりません。2013年12月)
*9: http://lmj.nagaokaut.ac.jp/gnu_manual/bison-1.28/bison-ja_14.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
(意味の項)
    http://www.zdnet.co.jp/enterprise/0108/20/01082088.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)

 
複合分散システムの体系的で精密な設計、プロトタイピング*1および、制御のための新たな戦略、アルゴリズム*2およびツールに取り組む。仕事には、組込みシステムのネットワーク化、分散した計測、計算、記憶の機器および関連する相互通信が含まれる。動的なリソースの割り付けは、汎用オブジェクトと現象認識のための認知技術であると同時に重要なフィーチャ*3でもある。
 

*1: http://yougo.ascii24.com/gh/03/000376.html (対応するページが見つかりません。2012年1月)
    http://www.assistmicro.co.jp/home/dckm/dockm22.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*2: http://yougo.ascii24.com/gh/07/000737.html (対応するページが見つかりません。2012年1月)
    http://research.nii.ac.jp/~uno/algo_2.htm
*3: http://www.absystem.co.jp/ffmodeler/surfaceft.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
    http://gaudi.sk.tsukuba.ac.jp/watanabe/courses/02H3051/lesson03/index_ja.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)

 
(iii) コンポーネントとマイクロシステム
 
マイクロエレクトロニクス*1、ナノエレクトロニクス*2およびオプトエレクトロニクス*3 目的は、マイクロ電子部品、ナノ電子部品、光電子部品およびSoCsystems-on-a-chip*4の経費を削減し、性能を高め、再構成可能性、拡張性*5、適応性、および自動調整機能を向上することである。ISTシステムの環境影響を考慮する。
 

*1: http://www.ne.jp/asahi/anemone/net/factory/glossary/factglos_al.html#m (最新のURLに修正しました。2011年3月)
MEの項)
*2: http://www.phen.mie-u.ac.jp/Lab/ne.html (対応するページが見つかりません。2015年6月)
*3: http://www.sergt.jp/pclib/o.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
(オプトエレクトロニクスの項)
*4: http://www.pc-view.net/Help/manual/1052.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
    http://www.nedo.go.jp/iinkai/hyouka/bunkakai/14h/13/1/6-1.pdf (対応するページが見つかりません。2011年10月)
*5: http://www.sw.nec.co.jp/word/sa/sa011.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)

 
研究は、CMOS*1の加工技術と実装技術の限界に挑み、デバイスの機能の強化と性能の向上、および機能の集積化を増進することに重点をおく。研究は、通信と計算の要求を満たすための他の加工技術、デバイスのタイプ、材料およびアーキテクチャーに取り組む。高周波設計*2、信号混載(mixed-signal)回路設計*3および低消費電力設計についてとくに重視する。光学、オプトエレクトロニクスおよびフォトニックの分野の機能部品に関する仕事は、情報処理、通信、切替え、記憶、検出および画像処理*4のためのデバイスとシステムに取り組む。電子ナノデバイスならびに分子エレクトロニクスのデバイスと技術に関する研究は、広範な機能性を備えることが見込まれ、集積と大量の組立ての可能性があるものを対象にする。
 

*1: CMOS 「相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)」の略称。現在主流となっている半導体回路技術
    http://yougo.ascii24.com/gh/30/003057.html (対応するページが見つかりません。2012年1月)
*2: http://www1.nisiq.net/~cpulot/Dicr.htm (対応するページが見つかりません。2011年10月)
    http://www.geocities.jp/rfpagejp/rfpage.html#online
*3: http://web.kyoto-inet.or.jp/people/fukucome/com.html
*4: http://www.microsoft.com/japan/windowsxp/experiences/glossary.asp

 
マイクロテクノロジー、ナノテクノロジー、マイクロシステム、ディスプレイ: 目的は、サブシステムとマイクロシステムの対費用効果、性能および機能性を向上させることであり、加えてそれらの周辺、およびネットワーク化されたサービスやシステムとの接続を向上させるための、集積化と小型化の水準を高めることである。
 
研究は、ミクロおよびナノの構造体や新素材の使用によって結びつけられた多くの学問領域との連携(エレクトロニクス、力学、化学、生物学など)を利用した新たな応用と機能に重点をおく。目標は、革新的な、対費用効果が高く、信頼性のあるマイクロシステムと、再構成可能な*1小型化されたサブシステム・モジュールを開発することである。仕事は、低コストの視覚センサとバイオメトリック・センサ*2と触覚デバイス*3を含む高度なセンサばかりでなく、低コストで、豊富な情報、そしてより高解像度のディスプレイも含まれる。ナノデバイスとナノシステムに関する仕事は、新規のあるいは改良された検出あるいは駆動の機能、それらの集積化と製造見込みがある基礎的な現象、プロセスおよび構造の市場性開発に取り組む。
 

*1: http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/02012401.html
*2: http://jp.accenture.com/jp/digitalforum/archive/articles/silent_glossary.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
    http://japan.internet.com/allnet/20020405/1.html (対応するページが見つかりません。2014年5月)
*3: http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Namiki/6533/study/haptic.htm
    http://pipi.iis.u-tokyo.ac.jp/hapticsync.htm (対応するページが見つかりません。2010年5月)

 
iv)知識技術とインタフェース技術
 
 目的は、ISTのアプリケーションとサービスのユーザビリティ*1と、より幅の広い適用とより速い開発を促進するために体系化された知識へのアクセスを向上することである。マルチメディア*2の研究技術に関係する統合の問題にも取り組む。
 

*1: http://nttcom.e-words.ne.jp/w/
E383A6E383BCE382B6E38393E383AAE38386E382A3.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*2: http://www.town.yashima.akita.jp/ziten/n-ma.htm (対応するページが見つかりません。2010年5月)
(マルチメディアの項)
    http://yougo.ascii24.com/gh/69/006909.html (対応するページが見つかりません。2012年1月)
(マルチメディアの項)

 
知識技術と電子情報: 目的は、根本的に新たな情報と媒体のサービスとアプリケーションを刺激するために、仮想知識空間(たとえば、共有メモリー、電子図書館*1)を作成し、組織化するための自動化ソルーションを提供することである。
 
仕事は、知識の収集とモデル化、操作と検索、表示と視覚化、解釈と共有のプロセスを支援するための技術に重点をおく。これらの機能を、認識ツールやエージェント・ベース*2のツールを含む新たなセマンチック(semantic)・ベースシステム*3およびコンテキストアウェアシステム*4に統合する。仕事は、サービスの相互運用性を容易にし、次世代のセマンティク・ウェブ*5のアプリケーションを可能にする、拡張性のある知識リソースとオントロジー*6に取り組む。研究は、利用者の期待に自己適応の能力をもつ固定ネットワークとモバイルネットワーク、およびデバイスにわたるマルチメディア・コンテンツ*7の設計、作成、管理および出版を支援する技術にも取り組む。目的は、個人化放送と信頼性の高い通信媒体のための豊富な双方向のコンテンツ*8および娯楽アプリケーションの作成を刺激することである。
 

*1: http://www.jipdec.or.jp/archives/icot/FTS/REPORTS/H10-reports/AITEC9903Re2_Folder/AITEC9903R2-sec3-5.htm (最新のURLに修正しました。2010年5月)
*2: http://www.sra.co.jp/public/doc/GSletter/vol.31/agent/agent.pdf (対応するページが見つかりません。2015年5月)
    http://it.jeita.or.jp/document/publica/geppou/yogo/yougo08.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*3: >http://shiten.s9.xrea.com/etc/accessibility/jiten.htm (対応するページが見つかりません。2010年5月)
(セマンティック・ウェブの項)
*4: 文脈に応じた、ユーザーの状況に配慮した
    http://biz.ascii24.com/biz/column/sunview/article/2001/ (対応するページが見つかりません。2010年5月)
    http://www.natureinterface.com/j/ni10/P16_18/
*5: 意味解析に基づく検索・推論などの自動的な処理が可能な次世代情報ネットワークシステム
    http://s-web.sfc.keio.ac.jp/intap-public/data/TR/2-1.html (最新のURLに修正しました。2010年5月)
    http://sigswo.org/ (最新のURLに修正しました。2010年5月)
(設立趣旨の項)
*6: http://expc2.indsys.chuo-u.ac.jp/yogo-kaisetu.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*7: http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/11018.html
    http://www.hitachi.co.jp/Div/bisd/acvancedmiddleware/multi_content.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*8: http://www.soho-web.jp/contents/net50/contents.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)

 
知的インタフェース*1と知的サーフェイス*2 目的は、ユビキタス(ubiquitous*3情報にアクセスする効果的な方法、およびわれわれを取り巻くインテリジェンス*4とのより簡単で自然な対話モードを提供することある。
 
研究は、われわれの存在、個性とニーズを認識し、言葉、身振り、あるいは他の感覚に知的に応答することが可能な周囲の背景について、自然で適応可能な、複数の感覚のインタフェースと対話型サーフェイスに重点をおく。目標は、人と人との間、 人とデバイスとの間、仮想と現実のオブジェクト*5と日常の環境に組み込まれた知識の間の、 分断されることがない対話を支援することによって、複雑な技術を表に出さないことである。これは、仮想と強化された現実*に関する研究が含まれる。
 

*1: http://www.komazawa-u.ac.jp/~tommy/PC_yogo.html (対応するページが見つかりません。2011年10月)
    http://www.jipdec.or.jp/archives/icot/FTS/REPORTS/H8-reports/H08NAI-WG/H0903R1-fuB.html (最新のURLに修正しました。2010年5月)
*2: http://etlab.mis.ous.ac.jp/knowledge_e/095/modeling.html (対応するページが見つかりません。2010年5月)
(サーフェイスモデルの項)
*3: http://www.ntts.co.jp/SO/so9/kantou/words.html (対応するページが見つかりません。2015年5月)
(ユビキタス環境の項)
    http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/h14.html (最新のURLに修正しました。2010年5月)
(第3章7節11)
*4: http://www.blackbox.co.jp/blackbox_fix0826/jiten/kana_i1.html#22
    http://www.jipdec.jp/chosa/hakusho2002/soronzenbun.htm#chapter1 (対応するページが見つかりません。2010年5月)
*5: http://www.soi.wide.ad.jp/class/20020008/slides/06/23.html

 
仕事は、多言語多文化的なアクセスと通信の技術に取り組み、言語と文化的に多様な社会の構成員すべての、個人的要求、専門的要求およびビジネスの要求を満たす双方向的情報豊富なサービスを適時に低コストで供給することを支援する。
 
vISTの未来技術
 
 目的は、IST関連科学技術の新たな分野と集団の出現を促進することであり、それらのいくつかは、経済社会的な発展の戦略となり、将来にISTの活動の主流になるだろう。予期できない着想の公開、戦略的焦点を必要とする研究の限界規模、およびISTの新分野の分断されない対象領域を確保するために、二つの補完的な取り組みを利用する: 一方は、適時に受け入れ、広範囲の研究活動であり、他方は先取りした研究活動である。
 
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