PGE
2015年4月23日更新
人工制限酵素等を用いて有用遺伝子を創出する技術の開発 (略称:ゲノム機能改変)
概要
標的組換え技術(ジーンターゲティング)や人工制限酵素を利用した標的変異技術、標的遺伝子制御領域へのメチル化導入技術等は、標的遺伝子に狙いを定めた植物分子育種技術として期待されている。本研究では、これらの技術を実用レベルの技術に高めるために必要な要素技術の開発を行う。また、これらの技術を活用してイネ等において農業上有用な遺伝子座を創出することを試みる。
研究目的
染色体上の標的遺伝子の特定の塩基を改変して、標的遺伝子産物の機能を改変できれば、農業上有用な遺伝子座を計画的に創出できることになる。また標的遺伝子の制御領域のメチル化状態を改変して、遺伝子発現制御する技術の開発も期待されている。本研究においては標的遺伝子の塩基配列編集とエピゲノム編集のための要素技術の開発を通して、農業上有用な遺伝子座を創出する実用的な技術を開発する。
達成目標
- イネを材料に標的組換え(ジーンターゲッティング)の効率を飛躍的に向上させ、又、マーカー遺伝子の正確な除去により、標的遺伝子に必要な変異のみを導入する技術を開発する。
- 人工制限酵素による効率的な標的変異技術を構築するために、エピゲノム情報も考慮した人工制限酵素の設計を試みると共に、人工制限酵素の活性と特異性の効率的な評価系を構築する。
- 標的組換え技術と標的変異技術をイネやナス科植物に適用して、農業上重要な形質を支配している遺伝子の改良を行う。
- RNA指令型DNAメチル化(RdDM)により、標的遺伝子のプロモーター領域のDNAメチル化状態を改変し、標的遺伝子の発現量を制御する技術を開発する。
研究内容
- 非相同組換えの抑制、標的遺伝子の人工制限酵素による切断、鋳型DNAの導入系の改良により、標的組換えの効率を向上させる。
- 遺伝子導入に用いるイネカルスのエピゲノム解析を行い、その結果を人工制限酵素の設計に反映させる。
- 標的組換え・標的変異技術を活用し、イネの根系形態の改良・制限アミノ酸高蓄積米の作出・病害虫抵抗性ナス科植物の作出に取り組む。
- イネにおいてRdDMの人為的導入による形質改良の効率化について取組むと共に、形質の安定性について検討を行う。また、病害抵抗性遺伝子を標的に、RdDMの人為的導入による形質改変を試みる。
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実施課題一覧(〜平成27年度)
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課題番号 | 実施課題名 | 課題責任者 所属機関 |
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PGE1001 | 標的組換え技術の高度化とそれによる重要遺伝子の精密改変 | 農業生物資源研究所 |
PGE1002 | 標的変異技術の高度化とそれによる遺伝子の機能解析と破壊 (平成26年度終了) | 農業生物資源研究所 |
PGE1003 | ナス科作物をモデルとした新規ゲノム編集技術の開発 (平成26年度終了) | 農業生物資源研究所 |
PGE1004 | 人工制限酵素によるゲノム切断効率向上のためのエピゲノム解析 | 農業生物資源研究所 |
PGE1005 | RNA指令型DNAメチル化による標的遺伝子の発現制御の利用 (平成26年度終了) | 農業生物資源研究所 |
PGE1006 | 人工制限酵素を利用したイネ根系形態の改良 (平成26年度終了) | 名古屋大学 |
PGE1007 | 人工制限酵素を利用した制限アミノ酸高含有飼料米の作出 (平成26年度終了) | 作物研究所 |