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2013年07月17日
我が国の最大のばれいしょ生産地帯である北海道・十勝地方では、近年、初冬の積雪が多くなり、冬季に土壌が十分凍結しなくなってきています。土壌が凍結せず、圃場に残ったばれいしょ塊茎が翌年まで生き残り雑草(野良イモ、左写真)化すると、後作物の生育阻害や病害虫発生等の源となります。
農家は野良イモ防除のために夏場に多大な労力を要しています。この問題を解決するために、これまで一部の農家で取り組まれていた雪割り(冬季に圃場を縞状に交互に除雪し、土を表面にさらすことで土壌凍結を促進させる作業。右写真)に着目して、これを科学的手法に発展させた土壌凍結深制御手法を開発し、野良イモ防除効果を現地で実証しました。また、省力的かつ低コストで安定的な効果のある雪割り作業のタイミングを決定するための農業情報システムを構築しました。
この手法を用いた雪割りにより土壌凍結深は30 cm以上になり、野良イモ発生量は雪割りを実施しない場合にくらべて5%以下に減らすことができました。現在、本手法は十勝管内対象の農業情報システムに搭載され、十勝管内農協24団体と農協加入農家で利用されています。