根が侵されて倒伏等の被害が生じる糸状菌病。九州で発生する。冠根及び支根に褐色〜黒褐色で中央部が陥没している病斑を形成する。病勢が進むと根量が極端に少なくなり、侵された個体は弱い風雨によっても根の片側をはね上げるようにして倒伏する。また、倒伏しなくても機械刈りの時にうまく刈れず収量が減少する。病原菌は様々な植物に根腐症状を引き起こし、ソルガムにも同様の病気を起こすことが確認されている。 |
北海道でまれに発生する以外は、ほとんど発生記録がない。 |
感染株が叢生し、奇形となる糸状菌病。上位節での分けつの極端な増加、葉の縮れ、雄穂の奇形・増生、雌穂の葉化など激しい病徴となる。罹病葉は雨が降った後、表面が白い粉を吹いたようになることがあるが、これは病原菌の遊走子のうで、これが水中で発芽して遊走子を出し、まん延する。病原菌は寄主範囲が広く、イネ、ムギなど140種以上のイネ科植物に寄生するため、イネ科の雑草が感染源になっていると考えられている。 |
出芽時に多湿条件にあうと苗が枯死する。種子が感染して出芽しないこともあるが、出芽後3ー4葉時に苗が萎凋枯死することが多い。葉は初め灰色のすじが入ったようになり、この時根は完全に褐変し、表面は菌糸に覆われる。苗立枯病が高温時に発生することが多いのに対し、本病は低温時に発生することが多い。圃場の排水を良くすることで発生を軽減できる可能性がある。 |
幼苗または黄熟期に近い植物で発生する。初め根に黒褐色の病斑を形成し、植物体が成熟するにつれ、地際部の稈内に広がり、倒伏を引き起こす。稈内部には黒色の微少菌核が形成され、黒くすすけたように見える。子実にも発生することがある。マメ類など他の作物の炭腐病菌はトウモロコシには病原性を示さないとされる。 |
1988年に熊本県で初めて発見された。病徴は幼苗の葉脈がこぶ状に隆起し、新規の展開葉の成長が著しく阻害され、株が極端に矮化する。20世紀初頭にオーストラリアで発見され、罹病した株の葉がワラビー(小型カンガルー)の耳のように見えることから命名された。当初、病原はMaize wallaby ear virus (MWEV)とされたが、その後吸汁害虫であるヨコバイの一種(Cicadulina bimaculata)の吸汁害および虫の産生する毒素によるとされた。我が国ではアジアに分布するフタテンチビヨコバイ(Cicadulina bipunctata)によるが、気候温暖化に伴って北上しつつあり、今後の発生激化が懸念される。国内で抵抗性品種「なつひむか」が育成されている。
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