生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2008年度 採択された研究課題

作物の抵抗性誘導経路の強化による新規病虫害複合防除手法の開発

研究代表者氏名及び所属

光原 一朗
光原 一朗(独立行政法人農業生物資源研究所)

研究実施期間

平成20年度~24年度(5年間)

研究の趣旨・概要

植物本来の抵抗性を強化する防除手法は、農耕地周辺に生息する微生物や昆虫にも直接影響を与える可能性のある殺菌剤や殺虫剤とは異なり、生物多様性や環境への影響が少ないと考えられることなどから、有機合成殺虫剤や殺菌剤に替わる新たな病虫害防除法として注目されている。しかし、実用化されている抵抗性誘導技術は、植物の2つの主要な抵抗性経路のうちウイルスのような活物栄養型の病原体に対して有効なサリチル酸(SA)系を活性化するもののみであり、もう一方の経路である、害虫および萎凋病菌や灰色かび病菌のような殺生型の病原菌に対して有効なジャスモン酸(JA)/エチレン(ET)系の活性化・強化による病害虫防除技術の開発は世界的に進んでいない。本課題では、世界的にも重要な作物を含み、多くの難防除病害虫が存在するナス科植物(トマト、タバコ)をモデルとし、1JA/ET系誘導抵抗性を強化した組換え作物の作出および2天然物(植物や共生・寄生微生物)からの新規抵抗性誘導物質の探索により、抵抗性誘導経路の強化による新たな病虫害複合防除手法を開発することを目的とする。

研究項目及び実施体制(()は研究担当者)

  • 植物の病虫害ストレス応答機構の解析
    (農業生物資源研究所 植物・微生物間相互作用研究ユニット 光原一朗)
  • 抵抗性誘導物質の探索
    (農業生物資源研究所 植物・微生物間相互作用研究ユニット 瀬尾茂美)
  • 害虫防除のための抵抗性誘導手法の評価
    (農業環境技術研究所 生物多様性研究領域 望月 淳)

期待される成果、効果

本課題は、新たな作用機作を持った植物防御活性物質や病虫害抵抗性を強化した遺伝子組換え作物の開発に寄与し、殺虫剤や殺菌剤の使用の低減により、消費者の安心の確保にも寄与することが期待される。

作物の抵抗性誘導経路の強化による新規病虫害複合防除手法の開発