取り組みについて
「環境の世紀」といわれる21世紀、人類は地球規模課題をはじめ様々な環境問題に直面しています。およそ1万年前、人類は地表面を半永久的に改変することで農業を開始し、それ以来増え続ける人口を養ってきました。その結果今日、物質循環は改変され生物多様性は減少するなど、地球の生物圏はその姿を大きく変えています。2011年3月11日に起きた大地震と大津波、さらには東京電力福島第一原子力発電所の事故は、この有限な地球で人々の暮らしがどうあるべきかを、あらためて問いかけています。
複雑な農業環境問題の解決は、科学の力なしには不可能で、ここに人類の英知が問われています。国立研究開発法人農業環境技術研究所(以下、農環研)は1983年に創設された、農業と環境に関する日本で唯一の公的研究機関で、人類が直面する食料問題と環境問題の克服に貢献するために、自然、社会、人間の調和と共存を目指す高い水準の研究を推進することを基本理念に謳っています。創造的な科学の発展、知の創造のためには、人材の多様性こそ活力になります。農環研は、国籍や性別を超え、考え方や背景の異なる多様な人材が集い、自由闊達な議論を繰り広げながら研究を行う研究環境を目指しています。
農環研は平成21年度から23年度まで、文部科学省女性研究者支援モデル育成事業「双方向キャリア形成プログラム農環研モデル」を実施しました。この農環研モデルでは、「次世代や若手の育成」と「それに関わる研究者の指導力や総合的な研究力の向上」の “双方向”な女性研究者のキャリア形成促進を目指し、様々な支援を実施しました。プログラム終了後も研究所独自の努力により、キャリア形成・研究力向上のための支援、出産・育児・介護との両立支援、次世代育成支援の3つの柱を中心に支援メニューを実施し、女性研究者支援・男女共同参画推進を図っています。
理事長 宮下淸貴