PRM
2017年5月30日更新
ゲノム情報等を活用した薬剤抵抗性管理技術の開発 (略称:薬剤抵抗性管理技術)
概要
生産現場で薬剤抵抗性の発達が問題となっている、あるいは今後問題になる恐れのある重要病害虫を対象として、薬剤抵抗性の遺伝子診断技術を開発し、薬剤抵抗性の発達レベルに応じて代替薬剤や各種防除手段を適切に組み合わせることにより、抵抗性の発達を回避または大幅に遅延させる薬剤抵抗性管理ガイドライン案を策定する。
研究目的
総合的病害虫管理(IPM)において、化学的防除は基幹技術に位置づけられている。しかし近年、病害虫の薬剤抵抗性の発達が各地で報告され、防除が困難となっている。そこで本研究では、薬剤抵抗性の発達が問題となっている重要病害虫を対象に、基幹薬剤に対する抵抗性原因遺伝子の変異の程度や発現量を指標にした薬剤抵抗性遺伝子診断技術、及び簡易な標準生物検定法を開発し、過去の抵抗性発達情報や数理モデルを基に薬剤抵抗性の発達・拡大を予測することにより、地域の栽培体系に応じた薬剤抵抗性管理技術の構築に必要な薬剤抵抗性管理ガイドライン案を策定することを目的とする。
達成目標
コナガ、チャノコカクモンハマキ、ワタアブラムシ、ネギアザミウマ、ナミハダニ、及びイネウンカ類を対象に、都道府県の病害虫防除所等で利用できる薬剤抵抗性原因遺伝子の変異の程度や発現量を指標にした薬剤抵抗性の診断技術を開発する。また対象病害虫の生物学特性等の情報や数理モデルに基づいて薬剤抵抗性の発達・拡大を予測し、基幹薬剤の使用基準や代替防除技術の提供など、薬剤抵抗性のレベルに応じた適切な防除体系を構築する薬剤抵抗性管理ガイドライン案を策定し、現地実証を経て現場への普及を図る。
研究内容
- コナガ、チャノコカクモンハマキ、ワタアブラムシ、ネギアザミウマ、ナミハダニ、及びイネウンカ類を対象に、現在基幹薬剤として使用されている殺虫・殺ダニ剤に対する薬剤抵抗性原因遺伝子を特定し、当該遺伝子の変異の程度や発現量を指標にした薬剤抵抗性の遺伝子診断技術を開発する。
- 上記の害虫を対象に、薬剤抵抗性発達の現状把握や発達要因の分析・評価を行うとともに、薬剤抵抗性の分子機構や遺伝様式の解明および生物学的特性に関する研究を行う。
- 2.の研究や過去の事例から得られる情報及び数理モデルを駆使して薬剤抵抗性の発達・拡大を予測し、遺伝子診断を基にして薬剤抵抗性のレベルに応じた防除体系を構築する薬剤抵抗性管理ガイドライン案を策定する。策定したガイドライン案は現場での実用性を検証した上で、地域の栽培体系に応じた薬剤抵抗性管理体系に組み込み、現場普及を図る。
- 薬剤抵抗性の遺伝子レベルでの解析が進んでいるいもち病菌を用いて、害虫の薬剤抵抗性を診断する技術及び薬剤抵抗性の発達・拡大を予測する技術の開発の有効性を検証するとともに、既存のいもち病薬剤抵抗性管理ガイドラインを高度化する。
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実施課題一覧(平成28年度〜)
課題番号・課題構成に変更がありました(平成28年4月より)
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課題番号 | 実施課題名 | 課題責任者 所属機関 |
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PRM01 | コナガの薬剤抵抗性機構の解明と管理技術の開発 | 農研機構 中央農業研究センター |
PRM02 | チャノコカクモンハマキの薬剤抵抗性機構の解明と管理技術の開発 | 静岡県農林技術研究所茶業研究センター |
PRM03 | ワタアブラムシの薬剤抵抗性メカニズム解明と管理技術の開発 | 農研機構 果樹茶業研究部門 |
PRM04 | ネギアザミウマの薬剤抵抗性メカニズム解明と管理技術の開発 | 農研機構 野菜花き研究部門 |
PRM05 | ナミハダニの薬剤抵抗性メカニズム解明と管理技術の開発 | 京都大学 |
PRM06 | 水稲害虫(ウンカ類)の薬剤抵抗性メカニズム解明と管理技術の開発 | 農研機構 九州沖縄農業研究センター |
PRM07 | 害虫タイプ別/薬剤組み合わせ別、抵抗性発達遅延戦略の構築 | 農研機構 農業環境変動研究センター |
PRM08 | 薬剤抵抗性水稲病原菌の発生・伝搬抑制技術の高度化 (平成28年度終了) | 農研機構 中央農業研究センター |
実施課題一覧(〜平成27年度)
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課題番号 | 実施課題名 | 課題責任者 所属機関 |
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PRM1101 | コナガのジアミド剤抵抗性原因遺伝子の同定と次世代判定手法の開発 | 農業生物資源研究所 |
PRM1102 | コナガの薬剤抵抗性の分子機構の解明 | 京都大学 |
PRM1103 | ジアミド系殺虫剤等に対するコナガの感受性検定及び遺伝様式の解析 | 日本農薬(株) |
PRM1104 | ローテーション構成殺虫剤の選択基準設定ならびに効果の確認 | 岡山大学 |
PRM1105 | 西南暖地におけるジアミド系殺虫剤抵抗性コナガ個体群の特性解明と抵抗性発達過程の解析及び殺虫剤抵抗性予測技術の検証と管理技術の策定 | 熊本県農業研究センター |
PRM1106 | 高冷地におけるコナガの分布拡大とジアミド系殺虫剤抵抗性発達過程の解析及び殺虫剤抵抗性予測技術の検証と管理技術の策定 | 長野県野菜花き試験場 |
PRM1107 | 非越冬地域におけるコナガの薬剤連用ほ場での防除効果の推移と抵抗性モニタリング及び春季飛来個体群の殺虫剤抵抗性検定による北日本越冬不可能地域に対応した管理技術の策定 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 中央農業試験場 |
PRM1201 | 次世代型シークエンサーによるチャノコカクモンハマキの殺虫剤抵抗性機構の解明とモニタリング指標の開発 | 農業生物資源研究所 |
PRM1202 | 殺虫剤抵抗性チャノコカクモンハマキの発生実態把握と管理技術の開発 | 静岡県農林技術研究所茶業研究センター |
PRM2101 | ネオニコチノイド剤抵抗性ワタアブラムシの遺伝子診断技術の開発と遺伝的多型解析による殺虫剤抵抗性発達過程の解明 | 果樹研究所 |
PRM2102 | ワタアブラムシのネオニコチノイド剤抵抗性の分子機構の解明と検証 | 日本曹達(株) |
PRM2103 | アブラムシ類の検定マニュアルの作成とネオニコチノイド剤抵抗性ワタアブラムシ個体群の適応度解明及び代替薬剤による薬剤抵抗性管理技術の策定 | 宮崎県総合農業試験場 |
PRM2104 | ネオニコチノイド剤抵抗性ワタアブラムシ既発生地における発生実態の解明と生物的防除を核とした薬剤抵抗性管理技術の策定 | 大分県農林水産研究指導センター |
PRM2105 | 新規発生地域におけるネオニコチノイド剤抵抗性ワタアブラムシの発生実態の解明と物理的防除を核とした薬剤抵抗性管理技術の策定及び検証 | 和歌山県農業試験場 |
PRM2201 | 微小害虫の網羅的遺伝子配列セットの整備と遺伝子診断技術開発 | 農業生物資源研究所 |
PRM2202 | ネギアザミウマの薬剤抵抗性発達を遅延させる適応度コストの解析と遺伝子診断技術を適用した防除体系の策定 | 野菜茶業研究所 |
PRM2203 | ネギアザミウマの合成ピレスロイド剤抵抗性簡易診断技術の開発と抵抗性系統の分布実態調査及びネギ属野菜での抵抗性予測技術の検証と薬剤使用判断基準の策定 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 中央農業試験場 |
PRM2204 | ネギアザミウマ薬剤抵抗性の発達状況と茨城県等の大規模畑作地帯における遺伝子診断技術を用いた生殖型と薬剤抵抗性解析による防除体系の検証 | 茨城県農業総合センター |
PRM2205 | アザミウマ類の薬剤検定マニュアル策定と大阪府におけるネギアザミウマの薬剤感受性の実態解明及び遺伝子診断技術を用いた薬剤抵抗性解析の有効性検証 | 大阪府立環境農林水産総合研究所 |
PRM2301 | ナミハダニ薬剤抵抗性原因遺伝子の解明と抵抗性診断法の開発 | 京都大学 |
PRM2302 | ナミハダニの薬剤抵抗性の実態解析と遺伝子診断・物理的防除法に基づく薬剤抵抗性管理技術の開発 | 静岡県農林技術研究所 |
PRM2303 | ハダニ類検定マニュアルの作成と遺伝子診断・生物的防除法に基づく薬剤抵抗性管理技術の開発 | 奈良県農業研究開発センター |
PRM3001 | ゲノム情報に基づくウンカ類の殺虫剤抵抗性原因遺伝子の同定と遺伝子診断技術の開発 | 農業生物資源研究所 |
PRM3002 | ウンカ類の殺虫剤抵抗性原因遺伝子産物の構造基盤と機能解析 | 近畿大学 |
PRM3003 | ウンカ類の殺虫剤抵抗性のモニタリング及び抵抗性管理方策の確立 | 九州沖縄農業研究センター |
PRM4101 | ワタアブラムシにおける殺虫剤抵抗性発達リスク解析と抵抗性管理のためのガイドライン策定 | 中央農業総合研究センター |
PRM4102 | ハダニ類における薬剤抵抗性発達リスク解析と抵抗性管理のためのガイドライン策定 | 京都大学 |
PRM4103 | コナガにおける殺虫剤抵抗性発達リスク解析と抵抗性管理のためのガイドライン策定 | 岡山大学 |
PRM4104 | アザミウマ類における殺虫剤抵抗性発達リスク解析と抵抗性管理のためのガイドライン策定 | 野菜茶業研究所 |
PRM4201 | 害虫タイプ別/薬剤組み合わせ別、抵抗性発達遅延戦略の構築 | 農業環境技術研究所 |
PRM4202 | 遺伝的構造の解析による殺虫剤抵抗性コナガの移動分散実態の解明 | 中央農業総合研究センター |
PRM5001 | 薬剤抵抗性水稲病原菌の発生・伝搬モデルの構築 | 中央農業総合研究センター |
PRM5002 | 薬剤抵抗性水稲病原菌の高感度検出・定量法と簡易検定法の開発 | 九州沖縄農業研究センター |
PRM5003 | 薬剤抵抗性菌広域発生地域における代替防除体系の確立と効果検証 | 福岡県農林業総合試験場 |
PRM5004 | 薬剤抵抗性菌低密度発生地域における防除体系の確立と効果検証 | 佐賀県農業試験研究センター |
PRM5005 | 薬剤抵抗性菌未発生地域における防除体系の確立と効果検証 | 三重県農業研究所 |