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QⅠ-6 遺伝子組換え農作物はどうやって作るのですか?

 遺伝子組換え農作物を作るためには、次のような手順を踏みます。

ある生物から目的とする有用な遺伝子を見つけ、その遺伝子だけを取り出します。
改良しようとする農作物の細胞の核に、取り出した遺伝子を導入します。
遺伝子導入処理をした細胞の中から、目的の遺伝子が確実に導入されているものだけを培養・選抜し、増殖させ、植物体を再生させます。
得られた遺伝子組換え農作物の中から、有用な形質が発現している個体を選抜します。
交配などにより、この形質が次世代に安定的に伝わるかを確認します。

 例えば『病気に強い』遺伝子組換え農作物を作る場合、まず植物や微生物などの中から『病気に強い』性質を持っている生物を探します。そして、その生物が持つ多くの遺伝子の中から『病気に強い』性質を持たせる遺伝子を見つけます。

 見つかった『病気に強い』遺伝子だけを取り出し、改良したい農作物の細胞に導入します。実際には、対象となる農作物の葉や種子などの組織、組織培養から得たカルスという細胞のかたまりを用ることが多いです。

 導入の方法としては主に、アグロバクテリウム法とパーティクルガン法が使われています。アグロバクテリウム法とは、植物に感染する土壌微生物のアグロバクテリウムが元々持っている遺伝子組換え能力を利用した方法です。 パーティグルガン法とは、目的の遺伝子をコーティングした金の微粒子(0.6〜1.6μm)を、高圧ガスなどの力で植物細胞に打ち込むことによって、遺伝子を導入する方法です。

 アグロバクテリウムは、自身が持つプラスミドのT-DNAと呼ばれる領域を自分で切り離して、感染先の植物のゲノムに組み込む能力を持っています。元々のT-DNA領域はアグロバクテリウムの生存と増殖に必要な遺伝子が含まれています。 それらの遺伝子の代わりに、導入したい有用遺伝子をプラスミドに組み込んだのちに、アグロバクテリウムを植物に感染させると、その有用遺伝子が感染先の植物のゲノムに組込まれます。このような過程を経て、有用遺伝子を持った遺伝子組換え植物を作り出します。

 できあがった遺伝子組換え農作物を実用化する場合には、環境に対する影響、食品や飼料としての安全性の確認のための厳密な試験が行われ、大臣承認を受けたもののみが栽培・流通できることになります。

 『遺伝子組換え』と聞くと、細胞中の遺伝子のすべてが組み換えられているようなイメージがありますが、目的とする1〜数個の遺伝子だけを、改良したい生物の細胞の中に導入して、目的とする形質を発現させようとするものです。