国立研究開発法人 農業生物資源研究所 遺伝子組換え研究センター
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QⅠ-7 | 遺伝子組換えカイコはどのように作るのですか? |

遺伝子組換えカイコを作るためには、次のような手順を踏みます。
ⅰ | ある生物から目的とする有用な遺伝子を見つけ、その遺伝子だけを取り出します。 | ||
ⅱ | 改良しようとするカイコの卵に、取り出した遺伝子を導入します。 | ||
ⅲ | 卵から生まれたカイコを成虫まで飼育し、交尾させて得られた卵の中から、目的の遺伝子が導入されているものを選んで飼育します。 | ||
ⅳ | さらに交配して、この形質が次世代に安定的に伝わるかを確認します。 |
例えば蛍光シルクを作る遺伝子組換えカイコを作る場合、まず蛍光を発するクラゲやサンゴなどから、蛍光タンパク質を作る遺伝子を取り出して、カイコから取り出した絹タンパク質の遺伝子とつないで、カイコに導入します。
導入には、生物のゲノム上の様々な場所に挿入される転移因子(トランスポゾン)の一種であるpiggyBac(ピギーバック)が主に使われています。 piggyBac は、イラクサギンウワバという蛾の培養細胞に由来する転移因子で、様々な動物への遺伝子導入に用いられています。
piggyBacは、ゲノムへの挿入に必要な転移酵素を作る遺伝子を持っています。転移酵素は、piggyBacの両端を切断してpiggyBacを切り出し、ゲノム中に挿入する働きをします。
遺伝子導入にpiggyBac を用いる場合、まず、piggyBac 内にある転移酵素遺伝子を取り除き、その部分に目的とする有用遺伝子をつないだものを持つプラスミドDNAを作成します。 これとは別に、転移酵素を一時的に供給するプラスミドDNA(ヘルパー)を作成します。この2つのプラスミドDNAを同時にカイコの卵に注入することで、転移酵素の働きにより、目的遺伝子を持つpiggyBacをカイコのゲノム中に挿入します。
