国立研究開発法人農業生物資源研究所 遺伝子組換え研究センター
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QⅧ-23 | セラリーニ氏が、除草剤耐性トウモロコシをラットに長期間与えた結果、がんを発症するなどの悪影響が認められたと発表したと聞きましたが、事実関係を教えてください。 |

2012年(平成24年)9月、除草剤耐性トウモロコシNK603を2年間にわたってラットに与えたところ、乳がんの発生や肝臓の異常が多くなるなどの悪影響が認められたという、CRIIGENのSéralini博士などの研究グループによる論文が発表されました。∗1
これに対し、2012年11月には、論文の内容や結果の解釈が不適切だとする13本のコメントが同誌に掲載されたほか、欧州食品安全機関∗2や日本の食品安全委員会∗3も、この論文の内容を検討した結果、NK603による悪影響があるとは言えないとする報告を発表しました。
例えば、論文中に写真は示されていませんが、非遺伝子組換えの餌を与えられたラットも高率で乳がんを発症しており、この論文で用いたラットの数では、NK603の投与による悪影響を示すような統計的な有意差は認められなかったことなどが指摘されています。
なお、2014年1月、論文を掲載した学術誌は、再検討の結果、同誌が求める科学的水準に達していなかったとして、この論文を取り下げました。∗4