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胚移植(Embryo Transfer)
【用語説明】  着床前の胚を、他の雌の生殖器に移植して妊娠および分娩させる技術。
バイオテクノロジー(Biotechnology)
【略語・別称】生物工学・生命工学
【用語説明】  バイオテクノロジーとは「バイオロジー(生物学)」と「テクノロジー(科学技術)」を合成した言葉で、日本語では「生物工学」または「生命工学」などと訳される。  
 言葉自体は1980年頃から使われた新しいものである。しかし、昔から作られている、ビール、ワイン、酒、納豆、味噌、パン、チーズなどの発酵食品、農作物の育種などの品種改良もバイオテクノロジーといえる。20世紀には、発酵技術を応用したクエン酸やアミノ酸、抗生物質なども生産されるようになった。これらは「オールドバイオ」と呼ばれる。  
 1970年代以降になり、遺伝子組換え技術、細胞融合、組織・細胞培養などの実用化技術が急速に発展した。これらは「ニューバイオテクノロジー」と呼ばれ、最近では、遺伝子治療、クローン技術など、様々な分野での応用が進んでいる。
バイオマス(Biomass)
【用語説明】  一般的には植物の光合成によって作り出される再生可能な生物由来の有機性資源のこと。化石資源を除いたものを指す。  
 バイオマスには生ゴミや家畜排泄物などの「廃棄系バイオマス」、もみ殻や稲わらなどの「未使用バイオマス」、トウモロコシなどの「資源作物」に分類される。  
 バイオマスは、エネルギー、プラスチックなどの製品、農作物を作る肥料など、様々な形で利用することができる。また、二酸化炭素を増やさないなど環境へのメリットが大きい。しかし、バイオマスを集めるのに手間がかかるため、十分に利用されていない。
バイオ燃料(Biodiesel Fuel)
【略語・別称】BDF、バイオディーゼルオイル
【用語説明】  主に植物をエネルギー原料として作られるアルコール系燃料を指す。具体的には木材やでんぷんなどからエタノールやメタノール、食用として用いられる植物油(ナタネ油など)からメチルエステルなどを作り、これを自動車用燃料として利用することが多い。これらは、そのままエンジンで燃やしたり、化石燃料系のガソリンや軽油と混ぜて利用されることもある。  
 バイオディーゼルオイル、BDFともいう。  
 この燃料は、自動車用燃料として利用した場合、地球温暖化の原因とされる化石燃料由来の二酸化炭素の排出がない。また、硫黄酸化物排出がないほか、一酸化炭素・炭化水素(すすや黒煙)が少ないなどの特徴がある。
培養細胞(Cultured Cell)
【用語説明】  多細胞生物から分離し、生体外で維持・増殖されている細胞。
パーティクルガン法(Particle Gun, Gene Gun)
【略語・別称】遺伝子銃法
【用語説明】  遺伝子銃ともいう。遺伝子組換え技術の一つで、導入したい有用遺伝子を直接細胞にいれる方法。  
 手順としては、目的の遺伝子を金などの微粒子にまぶし、ガスなどの圧力で葉などの植物組織、細胞に打ち込むことによって遺伝子を細胞に導入する。このようにして、有用遺伝子が目的の植物のDNAに取り込まれ、組換え植物が完成する。
発現ベクター(Expression Vector)
【用語説明】  導入しようとする遺伝子が組み込まれたベクター(目的とする遺伝子を宿主に運搬するDNAのこと、DNAの運び屋)のこと。  
 細胞内で特定の外来遺伝子を発現させようとする場合に用いられるベクターであり、発現ベクターは、発現させようとするタンパク質の塩基配列のほか、転写の開始を指令する塩基配列や転写の終了を指令する塩基配列などの遺伝情報を含んでいる。  
 遺伝子組換え技術では、発現ベクターを用いて目的とする遺伝子の形質発現を行わせることに利用する。
Btトウモロコシ(Bt Corn, Bt Maize)
【用語説明】  昆虫病原菌の一種、バチルスチューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis, Bt)の遺伝子を導入して害虫抵抗性を持たせた遺伝子組換えトウモロコシのこと。  
 茎の内部に入り込んでトウモロコシを食害する「アワノメイガ」等の害虫の駆除はとても困難で、農家などの生産者に大きな被害をもたらしていた。その対策として、遺伝子組換え技術により、Btタンパク質を作る性質を持ったBtトウモロコシが開発された。  
 Btトウモロコシを「アワノメイガ」などの特定の昆虫が食べると、Btタンパク質により餓死する。これは虫の消化液がアルカリ性のためにBtタンパク質が活性化され、これらの昆虫の腸管にある受容体に結合して、栄養素を吸収できなくするためである。これらの昆虫と違って消化液が酸性である人間や他のほ乳類は、Btタンパク質を他のタンパク質と同じようにアミノ酸にまで分解し、また、受容体を持っていないので、食べてもまったく害がない。消化器官の違いを上手に利用した遺伝子組換え技術により、使用する農薬(殺虫剤)の量は削減され、収穫量を増やすことができる。
Bt細菌(Bacillus thuringiensis
【略語・別称】Bt・バチルスチューリンゲンシス
【用語説明】  バチルスチューリンゲンシスともいい、略称してBtともよばれる。土壌中に生活している昆虫病原菌の一種で、自然界に広く分布している。  
 Btには様々な系統があり、その系統ごとに異なった種類の害虫(昆虫)に対し殺虫効果のあるタンパク質が含まれ、葉とともに虫が食べることにより殺虫効果を発揮するため、微生物農薬として用いられる。このBt遺伝子を農作物に組み込むことで農作物を害虫から守り、農薬(殺虫剤)の使用量が削減され、収穫量を増やすことができる。また、穀物を汚染することで問題になっている毒性のカビ菌を大幅に減少させるという利点がある。  
 Btの遺伝子はδ(デルタ)エンドトキシンという特定の殺虫タンパク質を生み出す性質がある。この殺虫タンパク質は特異(選択)性が高く、ほ乳類や鳥類などの脊椎動物には無害である。これを利用した作物としてトウモロコシ、ナタネ、ジャガイモ、ワタなどが実用化されている。
ピギーバック(piggyBac
【用語説明】  転移因子の一種。イラクサギンウワバという蛾の培養細胞のゲノムから見つかった。自身の両端を切断することによりゲノムから切り出してゲノム上の他の場所に挿入する転移酵素の遺伝子を持つ。主に昆虫を始めとする動物へ遺伝子を導入するためのベクターとして用いられている。
PCR(Polymerase Chain Reaction)
【略語・別称】ポリメラーゼ連鎖反応・複製連鎖反応
【用語説明】  ポリメラーゼ連鎖反応、複製連鎖反応ともいわれる。  
 DNAの特定部位をはさむ2種類のDNA断片(プライマー)とDNAを合成する酵素(DNAポリメラーゼ)によるDNA鎖の合成反応。この反応の繰り返しにより、DNA特定部位を数十万倍程度まで増幅させることができる。  
 また、DNA合成のプロセスには、時間が数分しかかからないことから、このPCR法の利用が急速に広まった。PCR法は遺伝子配列の決定や遺伝子の定量など、遺伝子研究の基本技術として確立されている。
ファイトレメディエーション(Phytoremediation)
【用語説明】  ファイトレメディエーションは、バイオレメディエーション(生物による環境修復)の一つで、ファイト(植物)レメディエーション(修復)を意味し、植物などによって土壌中の汚染物質(重金属、有機塩素系化合物、芳香族有機化合物など)を除去したり、分解することによって土壌汚染を浄化するプロセスをいう。
ファミリアリティー(Familiarity)
【用語説明】  遺伝子組換え生物について、安全性とリスクを判断するための安全性評価概念で、用いる作物や栽培される環境などについてこれまで蓄積された知識と経験を指す。経済協力開発機構(OECD)により、遺伝子組換え生物の大規模野外試験に関する指針の議論の中で作られた。  
 農作物の栽培や育種の経験や知見を環境に対する安全性に活かそうという考え方。例えば米国ではジャガイモやトウモロコシ、日本ではイネや大豆のように、非遺伝子組換え作物の長年の栽培経験に基づき、環境や人に対する特性について把握することは容易であるので、ファミリアリティーは高いといえる。一方、これまで利用経験の少ない新しい種類の遺伝子組換え体については、そのリスクについて慎重に判断していく必要があると考えられ、ファミリアリティーは低いと評価される。
フィブロイン(Fibroin)
【用語説明】  カイコの絹糸腺で作られる、絹糸の素になるタンパク質。繭(サナギを除く)の75%がフィブロインであり、繊維構造を形成する。フィブロインは、分子量35万のフィブロインH鎖、分子量3万のフィブロインL鎖、及び分子量2.5万のP25、以上3種類のタンパク質からできている。アミノ酸組成に関しては、グリシン、アラニン、セリン、チロシンが多く含まれ、この4つが全アミノ酸の90%を占める。  
 フィブロインは生体、特に細胞に馴染みやすく、細胞が再生しやすいという特性を有するので、医療用素材としての研究開発が進められています。
フェロモン(Pheromone)
【用語説明】  動物の体内で生成され、体外に分泌されて同種他個体に作用し、特定の行動や生理的変化を引き起こす物質の総称。昆虫類を中心に多くの種で存在が確認されている。  
 フェロモンの効果には、行動の触発に直接関与するリリーサー効果と、生理的変化を起こすことによって間接的に行動に影響するプライマー効果があり、昆虫の雌が放出し雄を誘引する性フェロモンや、同種の他個体を誘引する集合フェロモンの作用は前者であり、階級分化フェロモンは後者である。  
 昆虫においてリリーサー効果を起こすフェロモンは、一般に鎖状または環状の炭化水素を基本とした比較的簡単な構造の有機化合物で、蒸発拡散しやすく、種特異性が高く、他個体の嗅受容器内の受容体タンパク質に結合することで効果を現す。しかも、ごく微量で作用する。
プライマー(Primer)
【用語説明】  DNAを酵素的に合成する際に使われる20〜30塩基対の短いDNA断片。プリンまたはピリミジン塩基、糖、リン酸からなる化合物で、DNA、RNAの基本単位であるヌクレオチドの複製開始点となる相補的ヌクレオチド断片。主にPCR法でDNAを増やすときに使われ、増やしたい部分の両端に結合する塩基配列を持
プラスミド(Plasmid)
【用語説明】  制限酵素の遺伝子や抗生物質を破壊する酵素の遺伝子を含むリング状のDNAのこと。  
 大腸菌のような細菌の中で染色体とは別に存在する環状二本鎖DNAで、細胞分裂や染色体DNAの合成とは無関係に増殖できる。  
 組換えDNA実験において、プラスミドに他のDNA断片を組み込ませ、プラスミドの自立的増殖能を利用したベクター(目的とする遺伝子である異種DNAを宿主に運搬するDNA、DNAの運び屋)として用いられる。
プロテオーム(Proteome)
【用語説明】  Protein(タンパク質)とGenome(ゲノム)を合成した造語で「タンパク質(Protein)の集団(Ome)」を意味する。具体的には、特定の細胞が特定の条件下に置かれたときに、その細胞内で発現している(発現する可能性をもつ)全タンパク質のことを指す。  
 プロテオームの研究では、種々の生物において生育時期など特異的に発現しているプロテオームを比較・解析することにより、生命現象を総合的に理解する上で重要であると考えられている。
プロモーター(Promoter)
【用語説明】  mRNA合成(DNAからRNAを合成する段階;転写)の開始に関与するDNA上の特定領域の短い塩基配列。  
 ここにRNAポリメラーゼ(RNAを合成する酵素)が結合し、転写が開始される。
ベクター(Vector)
【用語説明】  目的とする遺伝子を宿主に導入し、発現させるための運搬体DNAのこと。  
 宿主内に遺伝子を組み込むための「運び屋」で、ある生物から取り出した遺伝子を他の目的生物に移植する際に遺伝子を運ぶ役割をする。