研究情報2008
どんなプロジェクト?
本プロジェクトは、国内農林業/地域活性化を期待する未利用バイオマス材料からのバイオ燃料技術開発を目的とする、平成19年度に開始された5ヶ年の技術開発プロジェクトです。南北に多様な国内バイオマス資源を対象に5種の資源作物、稲わら、麦わら、木材、竹を材料にエタノール変換に関係する技術開発34課題と実証段階にあるバイオマスガス化技術、バイオディーゼル代替燃料技術開発3課題より構成されています。平成20年度は新たに2課題が追加されました。
たとえば?
エタノール変換技術
すべての対象作物・材料からの変換技術を統合して中心的に開発をすすめる食品総合研究所のチームと、すでに先行して完成度の高い技術開発実績を持つバイオマス燃料開発研究機関((財)地球環境産業技術研究機構、(独)産業技術総合研究所、(独)森林総合研究所)の3機関がそれぞれ稲わらあるいは木材等を材料に絞り込んで競争的あるいは協力的な環境で技術開発を進めています。
また、要素技術としての糖化・発酵技術の重要性から8課題も活動しています。飼料利用との共用を狙う各種固体発酵技術開発、各種酵素生産微生物からの繊維質分解酵素の探索、利用、生産あるいは利用性の低い5炭糖のエタノール発酵技術や各種の発酵阻害因子に対応するエタノール発酵あるいは連続発酵技術の開発に挑戦しています。
バイオマス資源活用は残渣の飼料利用のほか堆肥/肥料利用などの循環技術の採用が持続性の高いバイオマス資源循環利用に不可欠でもあり、その適切な利用の方策もきちんと提案し、技術アセスメントにも配慮する検討チームも発足しています。
ガス化変換技術
木材や稲わらなどからのガス化発電利用やメタノール変換技術が実用化段階にあり、効率のよい技術開発へのブラッシュアップが進行中です。また畜産糞尿は夾雑物の混入が問題でしたが堆肥の併用による改善策を検討しています。
ディーゼル代替燃料変換技術
食品産業から排出される廃食用油を材料に無触媒メチルエステル化技術の開発も実証試験を終え、平成20年度にて所期目標を達成し終了しました。エタノールに先行する燃料実用化技術として期待されています。当該技術は油脂利用の難点であった遊離脂肪酸の利用が可能なことが見出され、幅広い応用分野が期待されています。
チーム | 材料 | 前処理 | 糖化 | 発酵 | 目標 |
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草本系原料の総合的変換技術開発 | テンサイ、バレイショ、カンショ、ソルガム、サトウキビ、稲わら、麦わら | 粉砕、物理化学、生物、分画 | 酵素、C/H/P酵素糖化、酸/酵素、リアクター | C5・C6発酵技術、発酵阻害改善 | エタノール開発目標 100円/L |
稲わら変換総合技術の開発 | 稲わら | - | 酵素、セルロソーム、組換えコリネ菌 | 組換えコリネ菌、エタノール生産性改良 | |
粉砕/熱水 | 酵素、アクレモニウム | C5改良 | |||
木質バイオマス変換総合技術の開発 | 木材、竹 | 粉砕/化学 | 熱水、トリコデルマ酵素 | 同時糖化発酵、C5改良 | |
バイオマス変換要素技術の高度化 | 稲わら、資源作物、木材 | 担子菌 | 酵素生産、担子菌、セルロソーム | 担子菌、固体発酵、連続発酵、C5・C6改良 | |
副産物利用技術の開発 | (材料)テンサイ、バレイショ、カンショ、ソルガム、サトウキビ、稲わら、麦わら等の各々の発酵副産物 | エタノール生産プロセスの構築 | |||
バイオマスの熱分解による燃料ガス生産技術の高度化 | 草本・木質 | ガス化化学変換コンバインドシステム | 所定目標、実証 | ||
家畜排泄物 | 熱分解エネルギー化技術 | ||||
無触媒メチルエステル化法による廃食用油からのディーゼル代替燃料製造 | 廃食用油 | 無触媒メチルエステル化 |