【ワークショップ−4】
水田を中心としたモンスーンアジアの農業生態系と生物多様性
概要
日程: | 10月6日(火)10:00-17:00 10月7日(水)9:00-12:00 現地検討会 |
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会場: | エポカルつくば(つくば国際会議場) |
使用言語: | 英語 |
- 【印刷用】ワークショップ-4 概要とプログラム(9月7日更新)
(PDF・324KB)
- 発表者用ガイドライン(9月14日更新)
(PDF・24KB)
開催趣旨
「生物多様性」は、今日、農林業と環境の関係を示す重要なキーワードの一つとなっています。農林業は、本来、自然と対立する形でなく順応する形で自然に働きかけ、上手に利用し、循環を促進することによってその恵みを享受する生産活動です。しかし、20世紀後半には、不適切な農薬・肥料の使用、経済性や効率性を優先した農地・水路の整備などの一部の農林水産業の活動が生物多様性に負の影響を及ぼすとともに、担い手の減少などによる農林水産業の活動の停滞に伴う農林地の管理放棄が農業生態系に依存してきた生物多様性に深刻な影響を及ぼしています。
こうした中、ヨーロッパ諸国では、伝統的なヘッジロウや畑作地縁辺部に作出したフィールドマージンなどをエコロジカルインフラストラクチャーとして機能させ、生物多様性の保全・活用と調和した農業生産の確立に向けた動きが活発です。一方、水田農業を中心としたアジアモンスーン地域では、これらの動きはあまり活発ではありません。
しかしながら、昨年(2008年)11月のラムサール条約締約国会議において鳥類生息に重要な湿地として水田が位置づけられたように、水田を中心とした農業生態系が持つ生物多様性保全上の機能に対する関心が高まっています。特に水田農業は、浅い止水域としての田面のみならず、灌漑・排水用の水路やため池、田面を取り巻く畦畔や森林などの多様な環境が混在しており、欧米諸国が指向するエコロジカルインフラストラクチャーや景観のモザイク性を自ずから有しているという特性を持ちます。
そこで本ワークショップでは水田農業と生物多様性との関係を検討し、欧米との比較から、アジアモンスーン地域に共通の概念形成に向けた検討を行います。
コンビーナー
安田耕司,山本勝利
口頭発表(招待講演)
10月6日(火) 10:00-17:00
キーノート
- 西ヨーロッパにおける農業と生物多様性に関する取り組み
William J. Sutherland(ケンブリッジ大学、イギリス)
プレゼンテーション
- 韓国の水因における動植物の生物多様化
Hea-san Bang(農業科学院、韓国) - 日本の農村景観における灌漑水路、畦畔草地、林地を伴う水田の組み合わせから成るカエル類の生息地
大澤啓志(日本大学生物資源科学部) - 台湾の水田における多毛作
Shan-ney Huang(台湾バナナ研究所、台湾) - ベトナム紅河デルタの水田における植食性および肉食性節足動物相の多様性
Ho Thi Thu Giang(ハノイ農業大学、ベトナム) - 島根県における水田とため池に生息する水生昆虫の季節消長と移動
西城 洋((独)農研機構 中央農業総合研究センター) - スリランカの低地水田における生物多様性
Buddhi Marambe, Gamini Pushpakumara and Pradeepa Silva(ペラデニヤ大学、スリランカ) - 日本の水田景観における生物多様性と半自然生態系
山本勝利((独)農業環境技術研究所)
10月7日(水) 9:00-12:00
現地検討会
筑波山麓北条、霞ヶ浦沿岸、筑波稲敷台地の谷津田