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QⅡ-4 耐病性の遺伝子組換え農作物とはどのようなものですか?

 世界の農業生産において、その収量の1割以上が農作物の病気により失われているとされています。病気を抑えることは農業生産において非常に重要です。

 全ての農作物にそれぞれ問題となる重要な病気があります。病気を防ぐには栽培法を工夫したり、農薬を使用するほかに、病気に強い品種を用いることも有効です。

 病気に強い品種を作るためには、少しでも病気に強い品種を探し出して品種改良の材料(育種母体)とするわけですが、遺伝資源に病気に強いものがない場合があります。 その場合、遺伝子組換え技術を用いて病気に強い性質を持たせることも重要な育種法となります。

 現在実用化されている耐病性の遺伝子組換え農作物には、パパイヤリングスポットウイルス抵抗性の遺伝子組換えパパイヤがあります。

 植物にウイルスの遺伝子配列の一部を導入すると、そのウイルスの増殖が阻害されることが知られていました。そこで、パパイヤに、 パパイヤリングスポットウイルスの外側の殻になる部分のタンパク質を作る遺伝子を導入することにより、ウイルス抵抗性のパパイヤを作り出すことができました。

 ハワイでは、パパイヤリングスポットウイルスの被害によりパパイヤ栽培は壊滅的な被害を受けましたが、ウイルス抵抗性遺伝子組換えパパイヤの開発により、パパイヤ栽培を復活させることができました。

 日本ではイネの最重要病害に、いもち病があります。これまでもいもち病抵抗性を高めるために多くの努力が払われてきました。

 イネが病気にかかった時に抵抗性を発揮するために働く遺伝子を調べたところ、遺伝子の発現を制御する因子(転写因子)のなかで、 WRKY45遺伝子の働きを高めると、いもち病だけでなく多くの病害に対して抵抗性が増すことが分かってきました。このWRKY45遺伝子を導入した遺伝子組換えイネは実用化を目指して、隔離ほ場における野外栽培によって、耐病性と生育特性などの評価を進めています。