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農作業全般

全機種共通
 【1】取扱説明書を読んでから使用
 【2】服装を正して巻き込まれを防ぐ
 【3】農業機械の安全標識
 【4】危険を予測しよう
 【5】こんな時は運転しない
 【6】異常を感じたら止める
 【7】防護カバーをはずさない
 【8】路肩に気をつけよう
 【9】機械からの転落を防ごう
 【10】反射シールで夕方の交通事故防止
 【11】トラックへの積込みを安全に
 【12】バッテリーを正しく管理しよう

乗用トラクター
歩行用トラクター
コンバイン
刈払機
その他の機械





【ポイント1】 取扱説明書を読んでから使用
《なぜ》
  1. 機能を充分に使いこなすためにも、機械を使用する前には、必ず取扱説明書を読みましょう。
  2. 農業機械は、年中は使わないことが多いので、使用方法を忘れがちです。
《対策ポイント》
  1. 販売店からの引渡し時には、機械の操作、安全装備等について十分に説明を受けます。
  2. シーズン前には、取扱説明書を良く読んで機械を点検整備するとともに、使用方法を確認します。
  3. 取扱説明書は、保管場所を決め、いつでも取り出して読めるようにします。
《追加のヒント》
  1. 頻繁に読む部分をコピーして機械にぶら下げておくのも有効です。
  2. 他人に機械を貸す時には、適切な整備を行い、使用方法、安全上の注意を十分に説明するとともに、取扱説明書の熟読を指示します。
  3. 操作方法を知らない補助者は、思わぬ動きをして危険なことがあるので作業前に注意します。
  4. 万が一に備えて、機械の停止方法は家族にも教えておきます。
  5. 運転日誌を用意したり、メモ用紙を携帯し気付いたことを書き留めたりします。
取り扱い説明
他人に貸す時には、取扱説明書の熟読を指示します。

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【ポイント2】 服装を正して巻き込まれ事故を防ぐ
《なぜ》
  1. 農業機械に手や足等を巻き込まれる事故が多発しています。それらの多くは、衣服が巻き込まれて発生しています。
  2. 巻き込まれないように適切な服装で作業します。
《対策ポイント》
  1. 作業服の袖口を閉じます。
  2. 首に巻いたタオルは服の中に入れ、長い髪はまとめます。
  3. スカーフやタオルで頬かむりをしないようにします。
  4. ズボンの裾は、バンドで止めるか、長靴の中へ入れます。
  5. コンバインの手こぎ作業等では、手袋をはずします。
  6. 前掛けは、機械に巻き込まれた時のために、肩ひもがホックではずれやすいものもあります。
《追加のヒント》
  1. 回転中のPTO軸、ベルト等をまたぐのは危険です。
  2. ドライブシャフト等には必ずガードをつけ、回り止めチェーンを掛けます。
  3. 作業に応じて、手袋、保護メガネ、マスク、耳栓、ヘルメット等も着用します。
服装
作業に応じて、手袋、保護メガネ、マスク、耳栓、ヘルメット等も着用します。

《ヒヤリ、事故》
  1. コンバインで手こぎ中に、軍手をしていた手がフィードチェーンに巻込まれそうになった。
  2. コンバインのカッターにワラが詰まり、除去していたら、カッターに巻き込まれそうになった。
  3. 収穫したデントコーンをカッターブロワでサイロに投入中、カッターに巻きこまれて入院した。
  4. トレーラー付きの耕うん機に乗りハンドルを切ってバックしたところ、体のバランスを崩した。車軸へ作業ズボンの裾が絡まって、左足が巻き込まれた。
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【ポイント3】 農業機械の安全標識
《なぜ》
  1. ほとんどの農業機械には、下の写真のような安全標識が商品に貼られるようになりました。 危険の程度によって、異なる標識が貼られています。
  2. 危険の大きさを「被害の大きさ×発生する頻度」と点数化して評価するのが一般的になってきました。
    例 被害の大きさ:1、2、3、4(数字が大きい程被害が大きい)
      頻度    :1、2、3、4(数字が大きい程頻繁)
     @「被害の大きさ×発生する頻度」=1×4=4
     A「被害の大きさ×発生する頻度」=4×1=4
    これらより、@は被害が小さいがしばしば発生する。Aは被害が大きいがめったに発生しない。しかし、危険の大きさは同じくなります。
    これは、安全対策にもメリハリが必要なことを示しています。
  3. 巻き込まれないように適切な服装で作業します。
《対策ポイント》
    各安全標識の解説をします。
危険危険意味
危険写真
図1 燃料タンク付近のマーク
(マークには「給油口に火を近づけると火災になるおそれがあります。
給油中はエンジンを停止してください。」と記述。)


警告警告意味
警告写真
図2 自脱型コンバインの手こぎ部分付近のマーク
(マークには「定置脱こくをするときは、チェーン等に十分注意して作業してください。
服のそでや手が巻き込まれてケガをするおそれが あります。」と記述。)

注意注意意味
注意写真
図3 もみすり機のベルトカバー付近のマーク
(マークには「運転中又は回転中にカバーをあけると回転物に触れ、
ケガをすることがあります。カバーをあけないでください。」と記述。)

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【ポイント4】 危険を予測しよう
《なぜ》
  1. ことわざに「他人の振り見て我が振りなおせ」とあるように、他人のことはよく気付く半面、自分のことはなかなか気付かないものです。
  2. 「危険予知訓練とは、作業前に作業現場をイメージし、危険要因を予測することによって、実際に似たような場面に遭遇しても危険を回避できるという訓練手法です。
《対策ポイント》
    実際に危険予知訓練をしてみましょう。下の写真を見て、以下の点について、1つずつ思い当たることを挙げてみましょう。
     1)注意すべき点
     2)改善すべき点
     3)改善方法
    これらに加え、良い点も挙げてみましょう。
詰まり
図1 コンバインのカッターに詰まったワラを取り除こうとしています。

旋回
図2 中耕除草機が枕地で旋回しようとしています。

《追加のヒント》
    近所や家族とヒヤリ体験等話し合ってみましょう。
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【ポイント5】 こんな時は運転しない
《なぜ》
  1. 疲労や焦り、未熟練による無理な運転が事故につながります。
  2. 子供を機械に乗せたり、近づけたりして、事故につながることもあります。
《対策ポイント》
  1. 過労、病気やケガ、飲酒、服薬等による影響があるときは、機械の運転や作業をしません。
  2. 経験の浅い作業は、熟練者の指導の下で行います。
  3. 機械の運転や操作に必要な資格を取得します。
  4. 作業時は、周囲の第三者にも注意します。特に、子供は近づけません。
体調
《追加のヒント》
    高齢者や体調不良者、子供など、運転や作業に問題がないか、家族や仲間同士でお互いに注意を払うことが大切です。
《ヒヤリ、事故》
  1. 農繁期で疲労がたまっていた。居眠り運転をし、急斜面に乗り上げ転倒した。シートベルトをしていたのでケガはしなかった。
  2. 耕うん中、座席の横に乗せていた子供が転落し、ロータリーに巻き込まれた。
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【ポイント6】 異常を感じたら止める
《なぜ》
    機械の運転中にゴトゴト、キーキーと音が聞こえたり、ワラの巻き付きが気になったりします。「もう少しだから」、「ちょっとだけ」と思いがちですが、うっかり手を出して事故につながることがあります。
《対策ポイント》
  1. まず、エンジンを止めます。
  2. 深呼吸して、冷静に対処を考えます。
  3. 作業速度を下げたり、機械への供給量を減らしてみます。
  4. 点検や詰まりの除去は、エンジンを止めたまま行います。
異音
異常な音を聞いたらまず、機械を止めましょう。

《追加のヒント》
  1. 頻繁に詰まる場合には、機械を修理する等の対策を検討します。
  2. 軸受け(ベアリング)への注油、軸に巻き付いたワラの除去等の整備は、作業前に実施します。
  3. 余裕をもった作業計画を立てます。
《ヒヤリ、事故》
  1. コンバインで収穫作業中、稲の横搬送が悪くつまりが生じた。ワラを手で取り除いている時に刈取部が落下し、左足を挟んだ。エンジンを止めずにワラを除去したため、センサーに触れ機械が作動したものと思われる。
  2. 刈払機の刃先に草が絡みついた。足で取ろうとして地下足袋を切った。
  3. 稲刈中、コンバインの前に回って稲わらを取ろうとしたところ、コンバインの下敷になりそうになった。
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【ポイント7】 防護カバーをはずさないように
《なぜ》
    防護カバーがないと、危険な物(ベルト、刃等)がむき出しになったり、飛散した石等でケガをすることがあります。必ず防護カバーを取り付けて作業しましょう。
《対策ポイント》
  1. 点検、整備をした後は、必ず防護カバーを取り付けます。
  2. 防護カバーを必ず取り付けて作業します。
カバー
点検整備ではずした防護カバーは必ず取り付けましょう。
《追加のヒント》
  1. 防護カバーが破損した場合には、必ず修理します。
  2. 防護カバーをはずしたらエンジンが自動的に止まる機械や、防護カバーを取り付けないとエンジンが始動しない機械の開発も必要です。
《ヒヤリ、事故》
  1. 畦畔の草刈り中、刈刃が割れて飛び散り、足にぶつかった。防護カバーを取外していた。刈り刃の損傷が無いか点検するようになった。
  2. 草刈作業中、刈刃に触れた空き缶が飛んできて、足を直撃した。
  3. 点検後、ファンのカバーをはずしたままにしていたが、モーターのプーリーへ手を近づけたところ、プーリーの押しボルトに指をたたかれた。
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【ポイント8】 路肩に気をつけよう
《なぜ》
    農業機械の転倒、転落による死亡事故は、年間90〜120件で、そのほとんどがほ場や農道で発生しています。
《対策ポイント》
  1. 路肩が分るように、草刈りをしたり、目印を立てたりします。
  2. 前後輪の内輪差を考えて、カーブを曲がります。
  3. ほ場の出入口の傾斜方向に対し平行に進入します。
路肩
図1 路肩が分かるように、常時草刈りを実施。

進入路
図2 ほ場出入り口の斜面が削れ丸くなっていると車輪が浮きとても危険です。

《追加のヒント》
  1. 作業時以外は左右ブレーキを連結します。
  2. 万が一に備えて、安全キャブ・フレーム仕様のトラクタを使用します。
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【ポイント9】 機械からの転落を防ごう
《なぜ》
  1. 機械等からの転落事故が多数発生しており、注意が必要です。
  2. 転落の原因は、「滑った」、「足場や手がかりが壊れた」、「振り落とされた」、「大丈夫と思って飛び降りた」等です。
《対策ポイント》
  1. 機械の方を向いた状態で乗り降りします。(機械に背を向けて乗り降りしません。)
  2. 三点支持(両手両足のうち3点により身体を支える事)を守り、物を抱えたままの昇降、飛び乗り、飛び降り等はしません。
  3. 靴やステップの泥は取り除きます。
《追加のヒント》
  1. クローラー仕様のトラクターに乗り降りする時には、クローラーへ足を掛けないようにします。
  2. 乗車位置以外の場所へ人を乗せません。特に、バランスウエイトの代わりに人を乗せません。
ウエイト
バランス・ウエイトの代わりに機械へ人を乗せると振り落とされるおそれがあります。

《ヒヤリ、事故》
  1. コンバインがオーバーヒートしたため、機械の上に上がってラジエーターを掃除した。降りる時に滑って転落した。
  2. 稲の収穫後、コンバインをトラックに積み込んだ。その後、トラックから降りる時、靴の裏に付着した泥で滑り落ちた。
  3. 籾運搬の際、トレーラーに妻を乗せていたが、U字溝にはまりそうになり、妻が振り落とされそうになった。
  4. トラクター作業機を移動させて必要な作業機を取付けるため、格納庫に保管してある作業機を出し入れしていた。トラクターから降りるとき足を踏みはずし転落した。
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【ポイント10】 反射シールで夕方の交通事故防止
《なぜ》
    秋から冬にかけて、夕方に暗くなるのが早くなります。また、ちょうど9月〜10月上旬は、天気も不安定で農作業に追われがちです。実際に、路上での自動車と農業機械の衝突事故が増えています。事故を回避するため、互いの存在に早めに気付くことが重要です。  残念ながら、歩行用機械は反射シールが元々ないものがあります。また、あっても泥で汚れたり、積載した荷物で隠れてしまうこともあります。このためさらに危険性が増す可能性があります。
《対策ポイント》
  1. 農業機械の後方、側方に反射シールを貼り付けます。
    【改善事例】
    1)交差点の出会い頭事故防止のため、乗用トラクター側面に反射シール(黄色)を貼り付けた(写真1)。
    ウエイト
    写真1 乗用トラクター側面に貼り付けた反射テープ

    2)空き缶に反射シールを巻き、針金で機械に後からぶらさげるもの(写真2)。ぶらぶら揺れるので遠くから発見しやすく、荷物を積んでも後から取り付けられる特徴があります。
    ウエイト
    写真2 反射器具(空き缶に反射シールを巻き、針金でぶらさげる)

  2. 「低速車マーク(写真3)」を取り付けます。
    ウエイト
    写真3 低速車マークを貼り付けたコンバイン

《追加のヒント》
  1. ヘルメットや作業服にも反射シールを貼って目立ちやすくし、音や光による合図を考えます。
  2. 路上走行の前に、反射マークや灯火類等が、泥で汚れたり、積載した荷物で隠れていないか確認します。
《ヒヤリ、事故》
  1. トラクターで路上走行中、後続の乗用車に追突され、トラクタから転落し、腰と左手を強く打ちケガをした。
  2. トレーラーにコンバインを積載して路上走行中、右折しようとしたとき、後続の車に追突されそうになった。
  3. 農免道路を横断する時、左方向より車が走行してきていることに気づかず、急ブレーキになった。
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【ポイント11】 トラックへの積込みを安全に
《なぜ》
    トラックやトレーラー(以下、運搬用車輌)へ機械を積み降ろしする作業は、大変危険です。十分気を付けて行いましょう。
《対策ポイント》
  1. 準備
    1)アユミ板は、長さ、幅、強度が十分で、スリップしないものを用意します。
      (長さは運搬用車輌の荷台高さの4倍以上あるものを使用します。)
    2)平坦な場所で、運搬用車輌の駐車ブレーキを掛け、車止めで動かないようにします。
  2. 積み降ろし
    1)極力誘導者を決め、合図を決めてから行います。
    2)作業機等に応じ、前後進どちらか適切な向きで進行します。
    3)重い機械の場合、運搬用車輌が沈み込むことがあります。また、クローラー式の場合、荷台とアユミ板の継ぎ目を乗り越える時に機体が大きく揺れることがあります。機体をまっすぐにして十分低速にします。
  3. 機械の固定
    機械の駐車ブレーキを掛け、ロープや荷締器等で確実に固定します。
《追加のヒント》
  1. 最大積載量を守ります。また、合計の高さは3.8m以下で、側方や後方に出ないようにします。
  2. 荷台全体がスライドする運搬用車輌の方がより安全に積み降ろしできます。
積込み
荷台全体がスライドする運搬用車輌の方がより安全に積み降ろしできます。

《ヒヤリ、事故》
  1. トラクターをバックでトラックから下ろす途中で、前輪が浮き上がった。
  2. 傾斜のある道路でトラクターをトラックに積み込んでいたところ、アユミ板がずれてトラクターが転落しそうになった。
  3. 収穫後、道路に止めたトラックへコンバインを積み込もうとしたところ、アユミ板の片方を踏みはずし、転落しそうになった。
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【ポイント12】 バッテリーを正しく管理しよう
《なぜ》
    一般的に、農業機械は作業する季節しか使われないので、バッテリーの管理が不充分になりがちです。このことが原因で時折事故が発生します。正しく管理しましょう。
《対策ポイント》
 バッテリーの管理について、以下の項目を解説します。
  1. バッテリーの交換
    1)バッテリーの取り外し
    2)バッテリーの取り付け
  2. 使用中の保守・点検
    1)バッテリー液面の点検
    2)バッテリー液の補水
    3)バッテリーの清掃
    4)取り付け金具・ケーブル端子の取り付けの点検
  3. バッテリーがあがったときには
    1)ブースターケーブルによるエンジン始動
    2)充電器による補充電
  4. バッテリーの寿命
 (解説)
  1. バッテリーの交換
    1)バッテリーの取り外し
      @農業機械のエンジンを止め、キーを抜きます。
      Aライト等のスイッチはOFF(切)にします。
      B端子のナットを緩め、−側ケーブル端子を外します。
      C+端子カバーがある場合は、カバーを取り外し、端子のナットを緩め、+側ケーブル端子を外します。
      Dバッテリー固定金具を外し、バッテリーを取外します。
      (ケーブル端子の腐食や汚れはワイヤーブラシ、サンドペーパーなどで清掃します。この時、端子が工具や機械へ直接触れないようにします。)
    2)バッテリーの取り付け
      @バッテリーを取り付け位置へ置き、固定金具で確実に固定します。
      Aバッテリーの保護カバーが付いていた場合は、元どおりに取り付けます。
      B+側ケーブル端子をバッテリーの+端子に取り付け、ナットを締め確実に固定します。
      C−側ケーブル端子をバッテリーの−端子に取り付け、ナットを締め確実に固定します。
      D+側ケーブル端子に端子カバーが付いていた場合、元どおりに取り付けます。
       ケーブル端子の金属部分の錆を防止するために、錆止めグリースを塗ることをおすすめします。
       工具等はエンジンルーム等に置き忘れないように注意します。
       この時、端子が機械へ直接触れないようにします。
    バッテリー1

  2. 使用中の保守・点検
    1)バッテリー液面の点検
      @日常点検でバッテリー液面高さを確認します。使用しない場合でも、1カ月に1回は点検し、バッテリーの液面がUPPER(最高液面)とLOWER(最低液面)の間にあることを常に確認します。
      Aバッテリーの構造によりバッテリーの側面から確認できる方法と、液口栓を取外して液口スリーブで確認する方法があります。
      Bバッテリーの液面がLOWER以下では使用すると危険です。LOWERに近い場合は補水します。(LOWER以下での使用を防止するため、液面がUPPERとLOWERの中程以下の場合は補水することをおすすめします。)
    2)バッテリー液の補水
      @バッテリーの補充液(精製水)を準備します。(補充液は販売店等で購入し、精製水以外は入れません。)
      A液口栓を緩め取り外し、補充液(精製水)をUPPERまで補水します。
      BUPPER以上まで補水してはいけません。
      C液口栓を確実に締め付けます。
      ※インジケータのある機種は、取扱説明書を参考にバッテリー液比重および液量を点検します。
    3)バッテリーの清掃
      @水で濡らした布で清掃します。乾いた布で拭かないようにします。
      Aベンジン、シンナー、ガソリンなどの有機溶剤、洗剤、化学ぞうきんを使用してはいけません。
    4)取り付け金具・ケーブル端子の取り付けの点検
      バッテリー取り付け金具・ケーブル端子の取り付けが緩んでいないか確認します。緩んでいる場合は、ナットを締めて確実に固定します。

  3. バッテリーがあがったときには
    1)ブースターケーブルによるエンジン始動
      ※故障車(ここでは農業機械)と同電圧(12Vか24Vを確認)の救援車を依頼し、エンジンで始動します。
      ※エンジンルーム内にバッテリーがない車両や、バッテリーを2個使用している車両はその車両の取扱説明書に従います。
      手順1 救援車、故障車ともにエンジンキーはOFF(切)にします。
      手順2 ブースターケーブルを次の順に接続します。(下図参照)
        1本目 @故障車のバッテリーの+端子
            A救援車のバッテリーの+端子
        2本目 B救援車のバッテリーの−端子
            C故障車のエンジン本体(フックなど)やフレーム
        ※Cの接続は、必ずバッテリーから離れたエンジン本体(フックなど)やフレームに接続します。
        ※ブースターケーブルが冷却ファンやベルトに巻き込まれないようにします。

      バッテリー2
      ブースタ−ケーブルの接続順序

      手順3 救援車のエンジンを始動し、エンジン回転を少し高めにします。
      手順4 故障車のエンジンを始動させます。
      手順5 エンジンが始動したらブースターケーブルを接続時の逆の順に取外します

    2)充電器による補充電
      充電器でバッテリーを補充電する場合は、充電器添付の取扱説明書に従い正しい手順で行います。また、補充電電流の普通充電電流で充電します。(補充電完了の目安  *普通充電電流で5〜10時間が目安です。)

      @比重計をお持ちの場合:電解液比重が1.270以上となり、1時間以上一定状態を保ち、どの液口からも盛んにガスが発生している。
      A電圧計をお持ちの場合:充電中の端子電圧が15V以上となり、1時間以上一定状態を保ち、どの液口からも盛んにガスが発生している。
      Bいずれもお持ちでない場合:どの液口からも盛んにガスが発生している。

      ※バッテリーは、保管中でも自己放電しますから、取扱説明書の指示に従い定期的に補充電をします。
      ※充電中は、バッテリーの液口栓を開けておきます。
      ※室内の換気をしながら充電します。

  4. バッテリーの寿命
      バッテリーは使用中に、その容量が徐々に低下し寿命となります。補充電しても性能が回復しないものは寿命です。寿命末期には次のような兆候が起こります。

      @スターターモーターの回転音がいつもより低くて弱い。
      Aアクセルの踏み込み加減で、ヘッドライトの明るさが変わる。
      Bバッテリーの電解液の減りが速い。

      これらの兆候が現れたときは、充電器の取扱説明書に従い補充電を行います。補充電後も兆候がなくならない場合は、バッテリーの交換をおすすめします。
《追加のヒント》
    その他一般的な注意事項は以下のとおりです。
    【危険】
    • 火気を近づけない。
      (バッテリーから水素ガスが発生するので、引火爆発の原因となります。)

    • バッテリー図1

    • 子供に触れさせない。
      (引火爆発や、バッテリー液による失明や、やけどなど事故の原因となります。)
    • 密閉された場所で使用しない。
      (引火爆発の原因となります。)
    • 金属工具などで+端子と−端子を接触(ショート)させない。
      (引火爆発や火災の原因となります。)
    • バッテリー液は希硫酸なので、取扱いに注意する。
      (目に入ると失明、皮膚に付くとやけどする恐れがあります。衣服や器物に付くと損傷する恐れがあります。付着した場合には、多量の水で洗い流します。取扱い時は保護メガネ、ゴム手袋を着用します。)
    • 目にバッテリー液が入った時は、次の処置を行う。
      (@直ちに多量の水で洗眼。A速やかに眼科医の治療を受ける。)
    • バッテリー液が口に入るか、飲み込んだ時は、次の処置を行う。
      (@多量の水でうがいをする。A多量の水、または牛乳を飲む。B医師の治療を受ける。)

    【警告】
    • バッテリーを乾いた布などで清掃しない。
      (静電気による引火爆発の原因になる恐れがあります。)
    • バッテリーを改造、分解しない。
      (引火爆発や液漏れの原因になる恐れがあります。)
    • バッテリーの液口栓の排気孔はふさがない。
      (破裂の原因になる恐れがあります。)
    • さかさま・横倒し・傾け、落下や衝撃禁止。
      (バッテリー液で失明ややけど、衣服損傷の原因になる恐れがあります。)

    【注意】
    • バッテリーの交換、保守・点検後は工具等を片付ける。
      (エンジンルーム内などに工具等を置き忘れると、けがや機器損傷の原因になる恐れがあります。)
    • バッテリー液が機器等に付着した場合、次の処置を行う。
      (@ウエス等でふき取る。A水で洗い流す。)
    • バッテリーに取っ手がある場合、取っ手を持って振り回さない。
      (バッテリーが落下し、けがや損害の原因になる恐れがあります。)
    • バッテリーへは補充液(精製水)以外は入れない。
      (不純物を入れた場合、発熱、発火、有毒ガス発生の原因になる恐れがあります。)
    • バッテリーに直接電気機器を接続しない。
      (配線が焼損し車両火災の原因になる恐れがあります。)
    • 使用済みバッテリーはそのまま廃棄しない。
      (そのままにすると、事故の原因になる恐れがあります。新しいバッテリを購入された販売店に処理を依頼します。)
    • バッテリーは重量物です。取扱いに注意します。
      (腰を痛めたり、落下などによるケガ等の原因になる恐れがあります。)
《ヒヤリ、事故》
  1. バッテリー液の補給時に端子のねじと側に置いていたスパナが接触し、爆発した。
  2. バッテリ充電中に、爆発して硫酸や金属の破片が飛び散り両目を負傷した。
  3. コンバインのバッテリを交換しようとしたところ、手が滑って足に落とした。
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