平成20年度 研究成果報告
バイオエタノール抽出残渣の飼料調製
(独)農業・食品産業技術総合研究機構・畜産草地研究所・機能性飼料研究チーム

概要
バイオエタノールの原料となる稲わらなど繊維性農産副産物および食品の製造過程に生じる副産物にはエタノール抽出後も、エネルギー、繊維、タンパク質およびビタミン類などの栄養成分が含まれ、家畜飼料としての利用が可能である。
本研究は、各種繊維性農産副産物および食品製造副産物を利用したバイオエタノール抽出残渣の飼料成分を明らかにし、優良乳酸菌を選抜して高品質サイレージの調製技術の開発を目指す。
研究紹介


図1.小規模サイレージ発酵試験法による乳酸菌の添加とサイレージ調製
- 無添加区
- 乳酸菌Lactabatillus plantarum 「畜草1号」(乳酸発酵能が高い)添加区
- 乳酸菌Lactabatillus casei NE1(アルコール耐性菌)添加区
- 乳酸菌Lactococcus lactis RO50 バクテリオシン生産、不良菌抑制)添加区


サイレージ調製試験では、乳酸生成能と酸耐性が高く、バイオエタノール残渣サイレージ発酵に有効な乳酸桿菌NE1を選抜した。選抜した乳酸菌の添加により、乳酸が高い良質なサイレージを調製でき、長期貯蔵も可能であることが認められた(図1、図2)。 稲わらバイオエタノール抽出残渣の粗蛋白質と繊維成分のロスは少なく、可消化養分含量が通常の稲わらの90%以上の栄養価値を保ち、牛の餌として利用できると考えられる(図3)。