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バイオ燃料変換技術研究開発

農研機構
バイオマス研究センター
食品総合研究所

平成20年度 研究成果報告

バイオマスの熱分解による燃料ガス生産技術の高度化

長崎総合科学大学 人間環境学部、工学部
(独)農研機構 九州沖縄農業研究センター 九州バイオマス利用研究チーム

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バイオマスガス化発電・C1化学変換コンバインド高効率発電

  • 各種の草木バイオマスを浮遊外熱式ガス化法(図1)によってガス化し、高品位生成ガスを得ることができた(図2)。
  • 生成ガスの理論燃焼温度は天然ガス・石油より高く、ガスエンジン発電で高い発電効率を示した。バイオマス1kgで1kW/hの電力を得ることができる。
  • 生成ガスはH2とCOが主成分で、化学原料として液体燃料合成に利用できる。通常の8〜10MPa圧力を2MPaの低圧多段合成法(各段階で生成メタノールを液として採取)によって、低動力・高効率の合成が可能となった(図3)。バイオマス2Kgからメタノール1L(メタノール純度96%以上)が得られる(図4)。
  • 本プラントは昼間発電、夜間メタノール合成の併用運転が可能である。

図1.浮遊・外熱式高カロリーガス化
図1.浮遊・外熱式高カロリーガス化


図2.生成ガスの組成と発熱量
図2.生成ガスの組成と発熱量


図3.低圧合成で一般合成圧(10MPa)と同等の収率を得る
図3.低圧合成で一般合成圧(10MPa)と同等の収率を得る


図4.メタノール合成装置とバイオマスメタノール
図4.メタノール合成装置とバイオマスメタノール


家畜ふん堆肥の熱分解ガス化技術

  • バイオマス資源である牛ふんおよび鶏ふん堆肥をガス化しエネルギー利用するための問題点を克服する技術を開発した。
  • 家畜ふんのガス化適温は1,000℃以上であるが、牛ふん堆肥は900℃で溶解(液状化)しガス化炉が閉塞する。消石灰を乾物比で25%混合することにより溶解温度は1,300℃以上に上昇し、連続したガス化が可能となる(図1)。
  • 採卵鶏ふん堆肥だけでは、着火性が悪く発熱に寄与する可燃性ガス濃度は低いが、乾物比で60%のオガクズを加えると可燃性ガス濃度が高まり、牛ふん堆肥に匹敵する発熱量を得ることができる(図2)。

図1.牛ふん堆肥ペレットの溶解温度
図1.牛ふん堆肥ペレットの溶解温度(上)、
25%消石灰混合ペレット(20mm)と溶解せずに残った灰(下)
図1.25%消石灰混合ペレット(20mm)図1.溶解せずに残った灰


図2.材料別のガス組成
図2.材料別のガス発熱量
図2.家畜ふん堆肥ペレットでの熱分解ガスのガス性状