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バイオ燃料変換技術研究開発

農研機構
バイオマス研究センター
食品総合研究所

平成20年度 研究成果報告

「無触媒過熱メタノール蒸気法」によるバイオディーゼル燃料製造実証試験に成功

(独)農研機構 食品総合研究所 反応分離工学ユニット
東京大学大学院 農学生命科学研究科 農学国際専攻 国際情報農学研究室
滋賀県立大学 工学部 機械システム工学科
鹿島建設株式会社

区切り線

概要

  • 「無触媒過熱メタノール蒸気法」 では、遊離脂肪酸(FFA)もバイオディーゼル燃料に変換できること、トリグリセリド(TG)からの反応と比べて3倍反応速度が大きいことを明らかにした。
  • 400 L/d規模でバイオディーゼル燃料を連続製造する能力を有する実証プラントを設計・建設(図1)し、廃油(パーム油)を用いた試験では、425L/dのバイオディーゼル燃料の製造能力を確認した。
  • 6,000 kL/yの事業規模を想定した原料調達費を除くバイオディーゼル燃料の製造コストは、45円/L以下になることが示された(表1)。

実証プラントの全景
実証プラントの全景


反応器部分
反応器部分

図1.実証プラント(設計製造能力:400L/日)

        
表1. 過熱メタノール蒸気法によるバイオディーゼル燃料の製造コスト
項目 実証プラント
400L/日
(146kL/年規模)
事業プラント(6,000kL/年規模)
単純スケールアップ 熱量ロスを削減したケース 反応性が1.5倍に向上したケース
減価償却費 (円/kg) 39.2 8.6 8.6 6.6
補修費等 (円/kg) 0.9 0.2 0.2 0.1
人件費 (円/kg) 313.9 7.3 7.3 7.3
メタノール費 (円/kg) 18.0 10.0 10.0 10.0
熱源費 (円/kg) 82.7 22.5 13.6 9.0
電気代 (円/kg) 20.1 9.7 9.7 6.4
合計 (円/kg) 474.8 58.3 49.4 39.6
(円/L) 389.6 47.8 40.5 32.5
試算条件:24時間稼働、人件費:作業員8人(450万/(年・人))4班3交代制、
熱源費:C重油(53.6円/L 2008.9-12内航燃料油価格参照)
電力料金:高圧電力、FAMEの容量換算 1L=0.82kg

論文等

  1. 無触媒メチルエステル化法による廃食用油からのバイオディーゼル燃料製造(技術・参考)、平成19年度食品試験研究成果情報、20、40-41(2008)
  2. 鍋谷浩志、蘒原昌司;無触媒メチルエステル化法を用いたバイオディーゼル燃料の製造-国内の廃食用油への応用とアジアの油糧資源への展開の可能性-、環境システム計測制御学会誌、12(1)、24-27(2007)
  3. 鍋谷浩志、バイオディーゼル燃料利用実用化に向けての取り組み-無触媒メチルエステル化法に関する検討-、日本エネルギー学会誌、86(6)371-374(2007).

    他4報(国内2報、国際2報)