平成21年度 研究成果報告
稲わら変換総合技術の開発

稲わら水熱・酵素糖化・エタノール発酵基盤技術研究開発
(独)産業技術総合研究所バイオマス研究センター
本課題の目標
環境負荷が低く経済的で効率の高い、稲わらからのバイオエタノール製造技術の確立を研究目的として、製造原価100円/L以下を達成する技術開発を行う。前処理・糖化・発酵について得られた実験データから稲わらバイオエタノール技術開発のポートフォリオを作成するとともに、当該システムの経済性シミュレータを構築し、経済性の解析を行って技術開発にフィードバックする。
【研究内容】
環境負荷が低く経済的なバイオエタノール生産技術確立を目指し、稲わらに適した水熱、酵素糖化、発酵法について基盤技術の研究開発を行い、当該システムの経済性を検討する。
これまでの主な成果
前処理
【稲わらの水熱処理におけるリン酸添加の効果】
・160℃程度の水熱処理鑿で稲わらに含まれるキシランの収率が大幅に向上した。
・160℃のリン酸水熱処理で180℃の水熱処理と同等の糖収率が得られた。
【湿式ディスクミルと水熱法の組み合わせ】
・AU135×DMが効果的
糖化
【稲わら前処理物を炭素源にしたセルラーゼ生産】
【Acremonium cellulolyticus培養液によるDM稲わらの酵素糖化】
・糸状菌糖化酵素および発酵性糖生産のための稲わらの前処理には、ディスクミル処理が効果的
発酵
【草本系バイオマスからのエタノール生産に適した実用酵母の開発】
・キシロース代謝遺伝子の導入によって、キシロースからのエタノール発酵特性がIR2株とほぼ同等な一倍体宿主候補株(17α)を得ることができた。
経済性評価
【リン酸の購入費用や回収費用によるコストアップと糖化率向上によるコストダウンのトレードオフ関係を明確化】
・平成20年度までに開発したシミュレーターを用い、各実験データを基に前処理工程のエタノール製造コストおよび必要エネルギーの評価、分析を実施。リン酸水熱の有効性分岐ラインを明確化。脱水工程導入の有効性を確認。