無駄なことは何もない どんなことも楽しんで



早野 美智子さん

物質循環研究領域
農環研特別研究員(ポスドク)

水田からのメタンガス発生量を計算

現在どんな研究をしていますか?

日本の水田から出る温室効果ガス、おもにメタンの発生量をシミュレーションで求めています。
水がずっと溜まっている水田で、泡がぷくぷく出ているのを見かけますが、あれがメタンです。メタン生成菌という微生物が、空気の少ない所で有機物があると活発に動きます。その活動によって生成されたメタンは温室効果に大きく影響しています。そこで日本全体の水田からどのくらい出ているのか、発生量は土壌の性質や気象条件でも変わるので、これらのデータを全国から集め、発生量を推定します。 また、お米の収穫量を減らさないでメタンを減らすにはどうすればいいか、田んぼの水管理や肥料のやり方などを研究しています。

どんどんその場に応じて必要なものを勉強

これまでの経歴は?

大学では都市公園緑地の水環境に関する研究を行っていました。集中豪雨で発生した洪水を公園の少しくぼんだ芝生広場がどれだけ貯めることができ、どのくらいの速さで地下に流せるかということを調べるためです。
その後最初に勤めた研究所では、温暖化による気候変動を予測するために、地表面付近の水の動きが気象条件でどう変わるかを調べました。次は、沖縄の試験場や海外で、干ばつ対策のために少ない水で作物を育てるための研究。 その後、家族の介護のため関東に戻ることを考えていたときに募集があったのが、農環研でのメコン川流域の水循環と食料生産に関する研究、そして現在の温室効果ガスの発生予測に関する研究・・・。テーマは行く先々でがらりと変わりますが、必要に応じて勉強して、を繰り返して、とにかく追いかけていくような感じです。

研究者になりたい!という一心で続けてきたのですか?

いいえ。振り返ってみると、今やっていることがおもしろくて、もう少し実験をしたいなぁというときに、それならもう少し勉強すれば?という機会に出会い、もうちょっと、もうちょっと、と、ここまで来てしまったというのが正直なところです。

人が喜ぶ仕事がしたい

ずっと持ち続けている志はありますか?

人が喜ぶ仕事がしたいなぁというふうに思っています。何らかの形で還元できればいいとは思うんですが・・毎日の事をこなしながら、そういうことがあればいいかと思っています。

自分の考えたことを形にするのが面白い

研究という仕事の面白さは?

自分の考えたことが形になって走っていると面白いと思います。それはどういうことであれ、どんな小さなことでも。たとえば小さなプログラムひとつが動いたり、いろんな試験をやってうまくいったり、栽培試験なら芽が出たとか、何でもいいんです。人から言われて行うことは「こなす」という感がありますが、研究というのは、自分でやってみようと考えたことをやっているので、たまにうまくいったら、わあうれしい!って、喜びも2倍以上という感じです。

体力が一番

家庭と研究の両立は大変ですか?

そうかもしれません。時間の管理にはちょっと苦労をしています。今は何かあれば呼び出されますので、どんどん休まなければいけない。年休はあっという間になくなります。
仕事も、あともう一歩粘ってやりたいと思ってもタイムアップ、時間が来ました終わりという感じで切って。ですので、いざというタイミングに粘るためには、やはり体力一番だなあと思います。しょっちゅう「いざ!」なんですが(笑)

女性研究者としてのメリットは?

特に考えたことはありません。皆、状況や条件は同じだと思います。

無駄なことは何もない

後輩へのメッセージをお願いします。

今でこそGISや計算などコンピュータを使った研究が主ですが、今のテーマに出会うまではそれが専門だったわけではありませんでした。以前に片手間でやっていたことが今のメインになったような(笑)。 将来何が役に立つかわかりません。一日一日、何かに対して努力をしてください。何も無駄なことはない。どんなことも楽しんで一生懸命取り組んでほしいと思います。

(取材日2010年2月、広報情報室)