仕事か家庭かではなくどっちも取れるといい



酒井 順子さん

生物生態機能研究領域
主任研究員

土壌の中の微生物をDNAで解析

現在どんな研究をしていますか?

私は土壌の微生物の専門家として働いています。
土壌の中の微生物っていうのは99%が培養できないと言われていて、これまで解析があまり進んでなかったんですが、最近、分子生物学の発展によって、DNAを使って解析できるようになってきました。土から微生物を取るのではなく、DNAを直接取ってきて解析するということを時間をかけてやっています。

多様で漠然とした微生物の世界の規則性を探る

土壌の微生物は培養できないのですか?

土の中にいるのはすごく成長が遅い微生物が多くって、ほんのちょっとの養分をゆっくりゆっくり使ってゆっくりゆっくり大きくなる。基本的に土の中は養分の少ない状態なんです。そういう所で生きられる微生物は、逆に培養が難しいのかなと思います。 微生物は大きく分けて、細菌、古細菌、真核生物(糸状菌)という3つのグループがあり、日本中の土の中にどの微生物がどれくらいの割合でいるのかを今年度は調べていました。
土の中の微生物は非常に多様ですが、分子生物学を使った研究で、漠然とした中にも規則性みたいなものが見えてきていて、物事のバランスがどういう所でとれているのかということに、今、興味を持っています。
1グラムの土をぱっと取ってもその中に何億以上、たぶん10の9乗くらい微生物がいるのですが、ほんの一部しか何をやっているのかわからない。神秘的で、いったい何をしているんだろうっていう興味があります。

新しい方法を思いつくとワクワクする

研究の面白さは?

一番のやりがいは、他の人に自分のやったことを認めてもらえることだと思います。あとはこれまでこう言われていたけど、実は違うんじゃないかということを見つけた時だとか、まだ他の人がやっていない、こんな方法で調べたらこんなことがわかるんじゃないかっていうのを、思いついた時。いい考えが浮かんだっ!ていうときはワクワクしますよね。

まさか研究者になれるとは思っていなかった

研究者を目指したきっかけは?

理科は小学生の時から好きでした。大学では植物病理を専攻して、土の中に住んでる植物の病気を対象にしてました。そこから土壌中の微生物はおもしろいと考えるようになって。ただ研究者をそんなに目指していたというわけでは正直な所、ないですね。なれたらいいなとは思っていたんですけど、まさか自分がなれるとは。
実は私は試験採用っていうのがあった時代に、大学4年生卒で、マスターコースにもドクターコースにも行かないで、採用されたという経緯があります。でも、実力が無いままにここに入ってしまって、後から苦労したんですけども(笑)でもこういう職業につけただけでも非常に幸せだなと思います。

子どもは3人。パートナーの協力あっての子育て

お子さんはいますか?

子供は今3人いまして、一番下はまだ2才です。

家庭と仕事の両立はどうですか?

両立は、正直出来ていないのかも・・・(笑)
私が恵まれているのは、実は同じ研究所に伴侶がおりまして、家事育児もかなり分担してやってもらっているので、3人も子供を持つことができた。 パートナーの協力あっての子育てです。例えば、保育園の送り迎えは一週間交代でやっていて、送り迎えをしない人が夜ご飯を作るというルールになっています。これはここの研究所に、一週間交代ルールでやっている研究者夫婦がいて、それを真似て、模範にしました。そういう意味ではたぶん、普通の主婦よりは楽をしています。(笑)

研究現場に女性が少ないのは不自然

もっと女性研究者が増えればいいと思いますか?

女性がこんなに少ない方が不自然な感じがしますけどね。農学部なんて女性の方が多かったのに、なぜここに来るとこんなに少なくなってしまうんだろうって。
私のように試験採用だと子育ての時期と重ならないですが、今、ドクターを卒業してここに就職するとなると、結婚とか出産の時期と微妙に重なり、よけいに女性が入りにくいのかもしれません。
仕事か家庭か、どっちを取るかじゃなく、どっちも取れるようになればいいなあと思うんですけど。

研究は間違いなく面白い!

研究者を目指す人へのメッセージをお願いします。

研究は間違いなく面白いです!!
アドバイスというと・・・自分の反省でもあるんですが、一人でいろいろ考えるのもいいけれど、周りの人と常にディスカッションをして意見交換をして、よりいいアイデアを生み出して行くっていうことがとても大切だなと、最近感じています。

(取材日2010年2月、広報情報室)