イネのDNAを知る
「ゲノム」とは、植物を含むあらゆる生物の「生命の基本設計図」。イネの場合は4種類の暗号(A/T/G/C)が4億個も並んだ「DNA」と呼ばれる物質でできています。

この暗号の並び順を解読し、イネがどのように組み立てられているかを研究する「イネゲノム計画」が、1991年からスタートしました。研究者たちは当初、イネゲノムのDNAをバラバラにして一つ一つの切れ端の暗号を解読し、ゲノムの上にたくさん置いた目印(マーカー)や隣との関係を手がかりにして当てはめるという、まるでジグソーパズルのような作業を続けました。

その後、98年からは世界10ヵ国と協力し合って作業を推進。7年後の2004年12月、全体の95%まで解読することに成功しました。が、これで充分というわけではありません。DNA暗号の本当の意味を知るには、DNAから作り出される色々な物質の働きや、合成、移動、分解など、細胞の内部の情報を“見える”ようにしなければならないのです。そこで現在、ゲノムの働きを色々な方法で把握しようとする研究が進められています。

イネは、世界中で様々な品種が栽培されているほか、イネの原種である野生の仲間もあります。進歩したDNAの解読技術を使って、これらのイネのDNAが、日本のイネとどう違うかを調べることで、世界的な食糧危機を防ぐのに役立つ新種のイネを作り出せるかもしれません。

DNAの解読技術は大幅に進歩!
「イネゲノム計画」がスタートした当時と比べ、DNAの解読技術は大幅に進歩してる。今後、もっと効率的に色んな種類のイネのDNAを調べ、品種改良を進めることで、これまでに無かったような優れた特徴を持つイネが生まれるかもしれないんだ。
